2024.07.17

ユーザー分析・顧客分析の重要性と6つの手法。分析データの活かし方

ユーザー分析・顧客分析の重要性と6つの手法。分析データの活かし方

売上向上やLTV向上には、顧客データを使ってユーザー・顧客を分析し、理解を深めることが重要です。

そのために、昨今ではGoogle Analyticsなどのアクセス解析ツールやMAツール、CRMツールなど顧客の行動を収集・分析するためのツールが多く存在します。しかし、実際にはツールを導入するだけで、分析を行い、顧客理解を深めることができていない企業は多いかと思います。

本記事では、ユーザー分析・顧客分析の重要性と手法について紹介します。

顧客理解のためのデータ分析とダッシュボードの構築方法

分析の目的やメリットなどについて理解している方は、こちらをクリックしてください。具体的なユーザー・顧客分析の手法を紹介している部分までスキップできます。

ユーザー分析・顧客分析の目的

ユーザー分析・顧客分析とは、顧客(ユーザー)の属性や行動データ、購買履歴などを用いて理解を深めるための分析のことを指します。顧客理解を深めることは、現代の顧客視点のマーケティングに必要不可欠です。

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世界的に有名なアメリカの経営学者であるフィリップ・コトラー教授は、テレビや新聞などで広く認知させるマーケティング2.0や、セグメント別に認知させて契約まで至るマーケティング3.0を経て、個別の体験を提供することの重要性を説いた「マーケティング4.0」を提唱しました。

マーケティング4.0では、消費者は製品やサービスを購入するだけでなく、購入したことによって自らの「精神的欲求を満たすこと」を重視するようになっています。利益を上げるためにはユーザー分析によって顧客を理解し、顧客視点のマーケティングを実施していくことが大切であると説かれています。

顧客理解について、詳しくは下記の記事をご覧ください。

関連:顧客理解を深める2つのポイントとマーケティングにおける課題

ユーザー分析・顧客分析のメリット

ユーザー分析・顧客分析を行うことには、下記のようなメリットがあります。

  • 顧客やニーズの理解を深められる
  • 施策の効果測定を行える
  • 新サービスや商品開発に役立つ

顧客やニーズの理解を深められる

ユーザー分析・顧客分析により、ターゲットとする顧客が持つニーズや、その顧客自身を把握することができます。

近年ではライフスタイルや好みなどが多様化・複雑化しており、顧客のニーズをマスでカテゴライズすることは難しくなっています。また、顧客は全員が同じレベルで製品を購入したりサービスを利用しているわけではありません。購入へのモチベーションも、求めているコミュニケーションの方法や心に響くポイントもさまざまです。

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全員を一括りにして考えるのではなく、ユーザー分析によって特性ごとにさまざまな切り口で顧客をグループ分け(セグメンテーション)することで、顧客の理解を深めていくことができます。

より深掘りしていくことで、顧客自身も気づいていない無意識に存在する理由や本音を洞察する顧客インサイトを突き詰めることもできるでしょう。

それにより、サービスや商品の改善、マーケティング施策の改善に繋がります。実はニーズが一致するユーザー層が、社内で考えていたものと異なっていたという発見もあるかもしれません。

施策の効果測定を行える

現在行っている施策が本当に顧客にとって意味のあるものなのか、売上に繋がっているのかなど、施策の効果もユーザー分析で知ることができます。

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顧客への理解を深めた後には、実際に仮説を立てて施策を実施していきますが、その仮説が合っていたのかを図ることができます。

さまざまな切り口で施策を実施していくことで、オンラインストアの数字ばかり見ていたが、実はオフラインの施策が後押しをしているという今まで見えていなかった結果が得られるかもしれません。

また、効果が可視化されていると、その後の意思決定もスピーディーになり、より良い施策へ繋がり、PDCAの循環が早くなることでしょう。

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新サービスや商品開発に役立つ

ユーザー分析は、効果測定や顧客ニーズの確認などすでにあるものを可視化することでより深く理解するだけではなく、その先にある新しいニーズへの気づきのヒントを与えてくれることもあります。

例えば、製造小売業などの場合、実店舗とECサイトなどチャネルに問わず顧客が関わるすべてのデータを分析することで、ユーザーの一連の体験に関する行動が可視化されます。

ECサイトのみで見ると成果が出ていなかった場合も、実際にはECサイトにて商品を見定めた後に店舗に来店し、直接体験することで満足感を得て店舗で購入するという行動をしている人がいることが分かるかもしれません。

分析できるようにするには来店を検知できるデータを取得する必要がありますが、店舗で体験をした後にECで購入するというショールーミングといった行動が見られる可能性もあります。その場合、実店舗では「体験」を提供できる施設に作り替えることやオンラインでも同様の体験を提供できるサービスはないかなどの展望を広げることができるでしょう。

現状を把握するためではなく、未来に繋がるヒントを得るためにもユーザー分析は必要となっていきます。

顧客理解に役立つユーザー分析・顧客分析の手法6つ

ユーザー分析・顧客分析の手法にはいくつか種類があり、目的によって適切な手法を選ぶことが重要です。顧客理解に役立つ、ユーザー分析・顧客分析の主な手法を6つ紹介します。

  • 行動トレンド分析
  • セグメンテーション分析(クラスタ分析)
  • RFM分析
  • デシル分析
  • コホート分析
  • LTV分析

行動トレンド分析

行動トレンド分析は、過去の購買傾向からシーズンごとの購買率を導き出す手法です。分析の結果を商品展開の判断材料とすることで、季節におけるユーザーのニーズの変化にあわせて適切な事業展開ができます。

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上記の画像では、12月に売り上げが伸び、翌年1〜2月にかけて売り上げが落ち込んでいることが分かります。売れるものと同時に売れないものも予測できるため、無駄な経費の削減にも繋がります。

セグメンテーション分析(クラスタ分析)

セグメンテーション分析(クラスタ分析)とは、既存ユーザーの共通項を洗い出し、自社のターゲットユーザー像の指標を作成するための分析手法です。類似性の高いユーザーを居住地・年齢・趣向・行動パターンなどの属性でグルーピングしていくことで、各グループに有効なマーケティング施策を出し分けることができます。

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上記の例は、売上と利用回数を軸とした分布図をセグメントした図になります。Bの利用回数が高く売上金額も高い層は、顧客ロイヤルティが高く、企業として増やしていきたいユーザーの層になるでしょう。ここの数を減らさぬよう継続的なコミュニケーションを図っていきましょう。

では、他の群に属する方々をBへ近づけるためには、どんなマーケティング施策が必要かを考えていきます。Aは、利用頻度は低いが売上は高いため、1回の利用金額が高いと読み取ることができます。そのため、関連のおすすめ商品情報を発信するなどの「利用頻度を上げる」ための施策を講じる必要があります。

対してDは、売上金額は低いですが、利用頻度が高いです。このような層には、「1回の利用金額を上げる」ための施策を講じることが必要になります。セットでの販売や何品以上購入で割引になるなどの情報を発信することで、顧客ロイヤルティの高いB群に近づけることができるでしょう。

Cは、売上も低く利用回数も低いです。この場合はまず「継続的に自社の商品やサービスを利用してもらう」ための施策を打ちましょう。ECサイトなどではよく、2回目利用の方には何%オフなどのクーポンを発行する施策が見られます。

このようにセグメンテーション分析(クラスタ分析)を行うことで、会社にとってロイヤルティが高い層の見極めと同時に、それぞれに適したマーケティング施策を打つことができるようになります。

関連:顧客ロイヤルティとは?顧客満足度との違い、顧客ロイヤルティの高め方&事例

RFM分析

RFM分析は、以下の3つの指標からユーザーをグルーピングする分析手法です。

  • Recency (直近購入日)
  • Frequency(購入頻度)
  • Monetary (購入金額)

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指標をもとに売上貢献度が高いグループを洗い出し、そのグループに対して有効と思われるマーケティング施策を講じることにより、購買率や顧客満足度を高める施策へと繋げます。

デシル分析

デシル分析は、売上貢献度の高い順番にユーザーを10のグループに分類し、各グループの特徴を洗い出す分析手法です。

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例えば、100名のユーザーを購買金額の高い順に並べて10等分し、購買金額の比率を各グループに算出します。そして、全体の購買金額の比率から、各グループの購買金額が何%締めているのかを算出します。このデータから、各グループの売上比率が分かり、効率的に売上を伸ばすには、どのグループを重要視してアプローチをするのが良いかが分かります。

コホート分析

コホート分析は、ユーザーをグループごとに分類し、その行動や定着率を分析する手法です。近年、SaaSやサブスクリプションビジネスの登場・普及によって、さらに注目されるようになっています。

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ユーザーが継続してサービスを利用してくれているかが分かり、リピーターの割合を見ることでコンテンツやサービス内容の満足度を確かめたり、改善点を見つけることができます。

LTV分析

LTV分析は、顧客が企業に支払った金額をもとにして商品やサービスの貢献度が高い顧客層を抽出する手法です。顧客にかけているコストを明確にすることにより、コストと売り上げを関連付けてマーケティング施策を検討できます。

関連:LTV向上に必要な4つのポイントとビジネスモデル別LTV向上施策

ユーザー分析・顧客分析を行う際の注意点

ユーザー分析・顧客分析に着手し、思ったような成果が得られないケースは少なくありません。適切な分析結果を得るための4つの注意点を紹介します。

  • 分析の目的を明確にする
  • 必要なデータを把握する
  • データを統合する
  • 適切なツールを選定する

分析の目的を明確にする

分析を行うこと自体が目的にならないよう、何を達成したいから分析をし、可視化を行うのかを明確にしましょう。

「なんとなく」でマーケティング施策を行っている企業であれば、まずは「ペルソナを作る」ということを目的とし、すでに購入や利用の実績のあるユーザー・顧客の分析(ターゲットユーザーの特定)から行うのが良いかもしれません。

アプローチすべき顧客像を明確にしてペルソナを作り、マーケティング施策を行い、その後、施策の効果測定を行います。良し悪しを判断することで次に生かすことができるようになり、施策の精度が上がり、購入数の増加に繋がるでしょう。

必要なデータを把握する

目的に対して分析を行うためには、どのようなデータが必要なのかを洗い出し、自社のデータと見比べる必要があります。自社のデータをどのシステムやツールにどのような状態で保有しているのかが分からなければ、分析を行うことはできません。

もし、必要なデータを取得できていない場合は、ユーザーから集めることが優先されるケースもあるでしょう。その場合は、分析よりもデータを集めるために何をすべきかを先に考える必要性が出てきます。場合によっては、本当にそのデータが必要なのかという議論も出てくるかもしれません。まずは、求める分析結果を得るために必要なデータを把握するのがおすすめです。

関連:顧客データ収集の方法と有効なツール4選|収集すべき2種類のデータとは

データを統合する

顧客に関するデータが部署ごとや店舗ごと、チャネルごとにバラバラに管理されている企業が多いです。このように、データがバラバラに管理され連携できていない状態をデータのサイロ化と呼びます。

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関連:「データのサイロ化」5つの問題と解決策。攻めのDX推進を妨げるサイロ化の原因とは

それぞれのシステムに格納されているデータを統合しデータのサイロ化を解消することで、一人ひとりの顧客を正しく・深く分析できるようになります。

分析というとBIツールを思い浮かべる方が多いかと思われますが、BIツールで分析を行う前にもこのデータの統合で、データを綺麗にしてからでないと、思うような分析結果を得られません。分析の前にデータの整理などの事前準備という工程が必要であるということを認識しておきましょう。

関連:顧客データ統合の失敗ケースと最適な進め方。マーケティングDXにおける重要性

下記の無料動画で、顧客データを統合することの重要性やデータ統合により期待できる変化をビジネスモデル別に紹介しているので、ぜひご覧ください。

無料動画:データ統合で何が変わる?顧客体験を高める顧客データ統合の基礎の動画はこちら

データ統合で何が変わる?顧客体験を高める顧客データ統合の基礎

適切なツールを選定する

分析を行えるツールやシステムはさまざま存在します。

例えば、有名なGA4はユーザーのweb上の行動を分析することができ、web広告の投資収益率の分析にも測定にも適しています。ユーザーIDをセットすることで、一人ひとりの行動分析を行うことも可能です。しかし、セットしたタイミングからの情報しか取得することができず、過去を遡って計測することは難しいです。

個人を特定したweb上の行動分析には、MAツールが有効です。web上のユーザーの行動分析であれば、MAツールを利用するのが手段の1つかもしれません。しかし、実店舗を持つビジネススタイルでは、MAツールのみでユーザー分析を行うとwebの行動に限定されてしまい、一連のユーザーの行動を理解することは難しくなってしまいます。ビジネスモデルや分析の目的に合わせ、ツールやシステムを見極めを行いましょう。

関連:MA導入のメリット・デメリット、マーケティングオートメーションの課題とは

ユーザー分析・顧客分析の先まで見据えたプラットフォーム「CDP」

ユーザーの分析を行うには、データをただ保有しているだけでは実現できません。目的を定め、データの収集・統合などの準備を行う必要があります。顧客データの収集や統合、さらに加工や各種ツールへの連携も可能とするのがCDPです。

CDPは「カスタマー データ プラットフォーム:Customer Data Platform」の略称で、あらゆる顧客のデータを収集・統合し、データを活用できる環境を整えるマーケティングシステムです。

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関連:CDPとは?カスタマーデータプラットフォームの機能やメリット、活用例を解説

CDPを導入することで個人情報を含めたあらゆる顧客データを一元管理できるようになるだけでなく、分析や施策の実行にも役立ちます。

分析の精度を上げる

CDPは分析の精度を上げることに役立ちます。

実店舗や営業所などで取得できる購入履歴や営業の履歴、ECサイトやwebサイトの行動履歴や会員情報などをCDPを利用して紐付け・統合することで、ユーザーの行動全体からユーザー・顧客分析が可能になります。

例えば小売事業の場合、ECサイトのデータだけを利用した分析では、ユーザー理解やターゲットユーザーの特定などを行うのに不十分な場合が多いです。実店舗で商品を見てからECサイトで購入したり、逆のケースも考えられます。

CDPを導入することで、オンライン・オフライン問わず、ユーザーが関わるすべてのチャネルのデータを収集・統合することが可能となり、分析の精度を上げることができます。

BIツールの連携で効率的なユーザー・顧客分析が可能

CDPとBIツールを連携することで、より効率的なユーザー・顧客分析が可能となります。

CDPはユーザーデータを収集・統合・連携するためのデータ基盤のため、単体での分析はできません。しかし、BIツールとの連携が可能であり、ダッシュボードなどを構築すれば顧客に関するデータをわかりやすい形に可視化できます。

BIツールを使用する際、データのインプット前にDWHなどで必要なデータを集め、ETLでデータの加工や抽出を行う必要がありますが、CDPにはDWHやETLの機能も備わっています。したがって、CDPとBIツールを連携することで、データの加工や抽出がCDP上で行えるため手間を省くことができ、効率的なユーザー分析が可能です。

CDPによるユーザー分析について、詳しくは下記の資料をご覧ください。本記事で紹介した分析手法をまとめてあるほか、1人の顧客を深掘りする360°顧客分析についてや、顧客分析の事例についても紹介しています。

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CDPによる顧客理解と分析

分析後の施策にも繋がる

CDPは、ユーザーとコミュニケーションを取るためのアクションツールとの連携も可能です。

分析結果をもとに、セグメントされたデータを使用して、アクションツールにてコミュニケーションを行うことで、ユーザーと適切なコミュニケーションを図ることができます。例えば、メール配信ツールと連携することで、商品を購入したことのある顧客と未購入顧客にそれぞれ別の内容のメールを配信する、といったコミュニケーション施策が可能です。また、アクションツールでの結果もBIツールで可視化できるため、施策の効果測定にも適しています。

下記の無料資料では、CDPの基本機能やほかのツールとの違い、CDPの導入が増えている理由などを紹介しています。ユーザー・顧客を分析する環境を整えるための第一歩として、本資料をぜひご活用ください。

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