2022.08.24

顧客理解を深める2つのポイントとマーケティングにおける課題

顧客理解を深める2つのポイントとマーケティングにおける課題

市場の変化に伴い、顧客理解の重要性が増しています。顧客理解を進めるうえでデータを使ったアプローチは重要ですが、断片的なデータのみでしかデータを活用できていないケースも少なくありません。

この記事では、顧客理解の重要性と正しく顧客理解を深めるためのポイント、顧客理解が進まない原因について紹介します。

顧客理解のためのデータ分析とダッシュボードの構築方法

顧客理解とは

顧客理解とは、顧客が求めている製品や商品を生み出したり、顧客にとって役に立つコミュニケーションを提供することで、売上の向上や顧客の継続的な利用を促進するために、自社の製品やサービスを利用している顧客の購買行動や属性などからニーズや考えを見出す取り組みのことです。

顧客が「どのような意図で商品を購入したのか」「購入を迷った他社製品はあったのか」「抱えていた不満・課題は何か」「自社サービスに対してどのような価値を感じたか」など、顧客の視点に立って詳しく分析していきます。

顧客理解がマーケティング活動に欠かせない理由

昨今、市場環境は大きく変化しています。特に日本においては人口減少により市場が縮小する一方で、企業が発信する情報も含めて世の中に存在する情報が爆発的に増加しています。

マスに対するアプローチによって認知を促進することも重要ですが、情報が溢れ消費者が情報を選択して取得できるようになっていることから、選択の幅が広がり一人ひとりのライフスタイルや好みも多様化しています。

このような状況から従来のマーケティング手法のみでは事業をスケールさせられないだけでなく、競合他社に対して劣勢になってしまう可能性さえあります。現在の市場環境において適切なアプローチを考える必要があり、それらを行うための土台を作る必要性が増しています。

One to Oneマーケティングという言葉やCX(カスタマー・エクスペリエンス)、CE(カスタマー・エンゲージメント)といった言葉もバズワードとして存在しますが、その前提として顧客目線でどのようなサービスが求められているのかを考え、自社のアセットとシナジーのある新たなサービスの提供や既存サービスの拡張を視野に戦略を立てるために、顧客理解が重要です。

正しく顧客理解を深めるためのポイント

企業視点ではなく顧客視点で見る

企業視点で見ると、その顧客がどのような特徴を持った人か、他の顧客層とどのように異なるかという相対的・客観的な見方にしかならず、本当の顧客の気持ちや考え、ニーズを知ることはできません。正しく顧客を理解するためには、顧客視点に立って考えることが何よりも大切です。

marketing customer understanding 01

世界的に有名なアメリカの経営学者であるフィリップ・コトラー教授によると、テレビや新聞などで広く認知させるマーケティング2.0や、セグメント別に認知させて契約まで至るマーケティング3.0を経て、昨今のマーケティングは個別の体験を提供する「マーケティング4.0」の時代だと提唱しています。

マーケティング4.0では、消費者は製品やサービスを購入するだけでなく、購入したことによって自らの「精神的欲求を満たすこと」を重視するようになっており、利益を上げるためには顧客視点のマーケティングが大切であると説いています。

顧客視点を取り入れると、顧客のニーズに合致した製品や商品を生み出すことができ、また顧客にとって役に立つコミュニケーションを行うことができれば、顧客ロイヤルティを高められ、企業側から働きかけなくても周りへ商品を薦めてくれたり、SNSで広めてくれるようにもなるでしょう。

顧客インサイトを深める

顧客理解は「お腹が空いたから」「好きなアイドルの映像が見たいから」「痩せて綺麗になりたいから」など顧客が自覚しているニーズだけでなく、顧客自身も気づいていない無意識に存在する理由や本音を洞察する顧客インサイトを深めることが重要です。

例えば、スーパーで買い物をする場合に広告の品は「お得に買えるから」という理由で購入することが分かります。しかし、見慣れた商品やいつも購入している商品については、顧客自身も無意識に手を伸ばしている場合があり、なぜ購入したかを質問しても「なんとなく」や「いつも購入しているから」という曖昧な回答が返ってくるでしょう。

このように顧客も購入している理由が明確ではない場面が存在し、それを理解するためには顧客の声を鵜呑みにするのではなく、その発言の背景にある想いや無意識下に眠る購入根拠を深堀りしていくことが必要になります。顧客インサイトについて、詳しくは下記の記事をご覧ください。

関連:顧客インサイトとは?事例から学ぶ顧客の本音の見つけ方

顧客理解を深めるために必要なデータ分析

顧客理解にはさまざまなアプローチが存在しますが、1つの手法としてデータをもとに顧客を把握することが挙げられます。

データと言ってもさまざまなものが存在しますが、顧客の属性データやアンケートなどによるリサーチのデータ、行動データがあります。

顧客の属性データやリサーチのデータの分析を利用して顧客を理解するアプローチは古くから利用されている手法ですが、顧客を特定せずに分析しているケースが多いかと思います。また、顧客の行動結果としての売上に関するデータをもとに顧客を理解する手法についても同様に顧客を特定していないケースがあります。

顧客理解を進めるためには、そこからもう一歩踏み込んで、顧客を特定したうえで分析を行うことが必要です。

小売のビジネスを例にすると、属性情報として実店舗の会員カードやECサイトの会員データに紐付いた、年齢・性別・居住地域のような属性データがあります。また、行動データには、実店舗ではID-POSにある購買データ、ECサイト上の購買データなどがあります。さらに、既存顧客のみでなく新規顧客も含めたwebサイトやECサイト上の行動データ、モバイルアプリの行動データ、メール配信やアプリのプッシュ通知配信などの配信キャンペーンに対する反応結果に関するデータなども存在します。

これらのデータを断片的なデータとしてではなく、統合したデータとして分析を行うことが顧客理解を深化するために重要です。顧客分析の手法について、詳しくは下記の記事をご覧ください。

関連:ユーザー分析・顧客分析の重要性と6つの手法。分析データの活かし方

顧客理解が進まない原因

統合データをもとにした分析による顧客理解を進めようとしても、ハードルが存在するのも事実です。

各接点での分析やチャネルに合わせたコミュニケーションを行うために、各種分析ツールやメール配信、アプリのプッシュ通知の配信ツールなどさまざまなマーケティングツールを導入している企業は多いかと思います。

しかし、ツールごとに顧客の属性データや行動データ、キャンペーンの配信結果のデータなどがすべてバラバラに存在する状態になっているケースは少なくありません。さまざまなシステムに点在するデータを統合すること自体が大きなハードルとなっており、このような状態を「データのサイロ化」と呼びます。

顧客理解を阻害する「データのサイロ化」に対しての解決策として、データの統合を目的とした統合データベースの開発やサービスの導入があります。すでに構築されているシステム自体をそのまま活かしながら、データの統合が行えます。

関連:顧客データ統合の失敗ケースと最適な進め方。マーケティングDXにおける重要性

顧客理解を深化するソリューション、CDP

顧客ベースでのデータの統合を行う場合の選択肢の1つに、CDPがあります。CDPは、マーケティング観点でのデータ統合・活用のために必要な機能を備えています。

CDPは「実在する個人」に紐づけて顧客データを集めるプラットフォームです。統合データをもとにした分析による顧客理解の促進や、それをもとにした各種施策の実施に向けた顧客データを「収集」「統合」「連携」する機能を備えています。

「データのサイロ化」に対して、システムとして統合されている状態ではなく人手をかけることで対応することは不可能ではありません。ただし、統合して利用したいデータを保有しているシステムが多数存在したり、マーケティングツールが多ければ多いほど、当然ながら工数が膨大になっていきます。例えば、マーケティングの担当者がCRMの顧客情報をエクセルで出力して、MA用に加工してアップロードするといった施策実施までの作業や、振り返りに必要なレポートを抽出する作業にも時間がかかり、プランニングや施策の立案などではなく「作業」を行う時間が増えてしまいます。

CDPで顧客データを一元管理することで、人手をかけて対応している状況の解消、本質的な業務にかける時間を増やすことにも繋がります。CDPについて、詳しくは下記の記事をご覧ください。

関連:CDPとは?カスタマーデータプラットフォームの機能やメリット、活用例を解説

顧客一人ひとりを深く分析

CDPを利用することで、顧客一人ひとりを深く分析し、より深く理解することができるようになります。「データのサイロ化」が起き複数のシステムに点在しているデータをCDPに入れて統合することで、一人の顧客の情報として扱えるようになります。また、それらのデータ統合の処理を自動化することで効率よく顧客を分析できるようになり、会社全体を通して共通のデータをもとにした理解を形成できます。

実際にダッシュボードやレポートを作成する際には、BIツールなどを利用して行います。BIツールはあくまで可視化を目的としたツールであるため、分析のために必要なデータを作成しておく必要があります。CDPでは、BIで効率よく可視化を行うためのデータの構築が可能です。

CDPでのデータ分析について、詳しくは下記の資料をご覧ください。1人の顧客を深掘りする360°顧客分析(n1分析)をはじめ、セグメンテーション分析(クラスタ分析)などの顧客理解を深める分析手法について、図で分かりやすく解説しています。

無料資料:CDPによる顧客理解と分析|BI連携でひろがるデータの可視化をダウンロードする

CDPによる顧客理解と分析

顧客を個人単位で認識し、最適なマーケティング施策を実施

顧客一人ひとりを分析する際と同様に、まず統合した顧客のデータを作ることで顧客の状態をより細かく把握したうえで、コミュニケーションが行えるようになります。

顧客のデータを統合することで、例えば店舗とECサイトを運営する事業を展開している企業であれば、店舗での購入とECサイトの購入を踏まえた形でのDMやメールなどによるコミュニケーションが可能です。

「ECサイトでお気に入り機能を利用してチェックされている情報をもとに値下げのタイミングで通知する」といった施策を例にすると、実際には店舗で該当の商品を購入したばかりだった場合、ECサイトのみで見たときには顧客のためになる良いコミュニケーションであったはずが、購入直後のユーザーに対して値下げ通知を行うというあまりよくない体験を提供することになってしまいます。店舗とECサイトでのユーザーごとの購買情報のデータが統合されていれば、いずれかで購入をしている人を除外することでこのような問題を解決できます。

また、メールとモバイルアプリのプッシュ通知、といった複数のプッシュ型のコミュニケーションチャネルを提供している場合に、同じ内容を何度も送信してしまっているケースも多く存在します。顧客ごとに受け取りたい情報が異なり、チャネルも異なるため、それらの配信を行うマーケティングツールのデータを統合して、適切な配信除外の設定が行えるようにすることで、より良い顧客体験の提供が可能になります。

より良い顧客体験が求められる一方で、世界的にプライバシー保護への取り組みが進んでおり、顧客から得られるデータの種類は限られてきています。データを活用したマーケティングの最適化には、顧客データの収集段階から施策実施後のアクションまで、顧客とのコミュニケーション全体を設計しておくことが必要です。

選ばれ続ける企業となるために取り組むべきコミュニケーションの全体設計について、詳しくは下記の資料をご覧ください。

無料資料:データによる顧客中心のコミュニケーション再構築|これからの市場で選ばれる企業になるために

データによる顧客中心のコミュニケーション再構築|これからの市場で選ばれる企業になるために

EVERRISEが提供するCDP「INTEGRAL-CORE」

CDPを導入をする場合、顧客理解という大きなテーマを持ちつつも、より具体的にデータを利用してどのような分析を行いたいのか、どのような施策を行いたいのかなど具体化したうえでプロジェクトを推進することが大切です。

弊社EVERRISEでは、顧客データをノーコードで管理できるCDP「INTEGRAL-CORE」を提供しており、これまでTVerさまやキーコーヒーさま、hoyuさまなどを含め複数社の導入実績がございます。

  • CDP「INTEGRAL-CORE」の特長
    • 顧客に関するあらゆるデータを収集・統合
    • ノーコードでデータ集計やセグメント作成
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