2022.06.08

顧客ロイヤルティの計測指標と顧客満足度との違い、向上のために必要なステップ

顧客ロイヤルティの計測指標と顧客満足度との違い、向上のために必要なステップ

マーケティング活動をする中で「顧客ロイヤルティ(ロイヤリティ)」を重要視する企業・ブランドが増えています。顧客満足度と同じようなイメージを持ちがちですが、明確な違いがあります。

本記事では、顧客ロイヤルティの概要、計測指標と計測方法を説明し、顧客ロイヤルティ向上のために必要なステップと役に立つツールを紹介します。

顧客ロイヤルティ(ロイヤリティ)とは

顧客ロイヤルティとは、顧客が企業やブランドに対して持っている愛着や信頼の度合いを指します。ただ商品やサービスに満足しているだけでなく、企業やブランドそのもののファンであることが重要なポイントです。顧客ロイヤルティの高い顧客を「ロイヤルカスタマー」とし、顧客ロイヤルティを意識したマーケティングをロイヤルティマーケティングと呼びます。

顧客ロイヤルティの英訳は「Customer Loyalty」で「Loyalty」の直訳は忠誠、忠義などです。日本語ではカタカナでロイヤルティと表記されることが多いですが、同じ意味でロイヤリティと表記されていることもあります。また、発音の似た単語に「Royalty」がありますが、こちらは王族、王位、気品と言った意味のまったく別の単語です。

顧客ロイヤルティが注目される背景

以前に比べて顧客ロイヤルティが注目されている背景として、日本国内において、少子化による人口の減少や市場の成熟が進んだことで、新規顧客を獲得するコストが上昇している現状があります。

企業は、定着するかわからない新規顧客獲得にコストを割くよりも、既存顧客のロイヤルティを向上させ、より多くロイヤルカスタマーを獲得し、その良い関係性を維持することが継続的な利益獲得に繋がると考えられています。

顧客満足度との違い

顧客満足度は顧客がサービスや商品に満足しているかを表す指標です。顧客が持っていた期待値を満たしているかどうかが評価の基準になります。つまり、特別な信頼や愛着がない場合でも、不満がなければ高い点数をつけている可能性があります。そのため、顧客満足度が高い=ロイヤルティが高いとは限らない点に注意が必要です。

心理的ロイヤルティと行動的ロイヤルティ

顧客ロイヤルティは心理面と行動面の2つに分けて考えます。

心理的ロイヤルティ

心理的ロイヤルティは、顧客が企業やブランドに対して信頼や愛着の感情を持つことを指します。例えば「あのブランドの服を切ることが誇らしい」「機能が多少劣っていてもこのメーカーの製品を使いたい」などです。

行動的ロイヤルティ

行動的ロイヤルティは、心理的ロイヤルティが高い企業、ブランドを継続的に利用したり、他者推奨をするなどの行動をとっていることを指します。例えば、同じブランドの服を買い続けたり、お気に入りのブランドの商品やそれを身に着けた自分をSNSに投稿するなどの行動です。

2つのロイヤルティを持ち合わせた顧客が企業にとって真のロイヤルカスタマー

customer loyalty 01

顧客ロイヤルティの2面性について下記のようなことが考えられます。

  • 単発のセールやキャンペーンなどでも一時的に行動的ロイヤルティを高めることは可能
  • 心理的ロイヤルティが伴わないと離脱しやすい
  • 心理的ロイヤルティだけが高くても収益には繋がりにくい

よって、企業の利益に貢献してくれる本当の意味でのロイヤルカスタマーを獲得するには、心理と行動の両面ともロイヤルティを高める必要があります。

顧客ロイヤルティ向上の3つのメリット

継続的な購入・利用、解約率の低下

顧客ロイヤルティの高い顧客は、リピート率も高い傾向にあります。特に消耗品は継続的に同じ商品を購入してもらうことで、安定した利益が得られます。サブスクリプションモデルでは顧客ロイヤルティの向上によって解約率を下げられます。

顧客単価の向上

ロイヤルカスタマーは企業自体のファンであるため、自社の他サービスの利用、別ブランドの商品の購入も期待できます。また、同サービス・ブランド内でも顧客ロイヤルティが高い人ほど利用単価が高い傾向が見られます。よって、顧客ロイヤルティの向上は顧客単価の向上に繋がります。

口コミでの宣伝効果

ロイヤルティが高い顧客による口コミや、SNSでの発信などの他者推奨は、新規顧客の開拓や他の既存顧客のロイヤルティを高めることが考えられます。既存顧客のロイヤルティを向上すると、宣伝効果も生まれます。

顧客ロイヤルティの主な指標

顧客の主観感情を大きく反映する顧客ロイヤルティはどのようにして定量評価するのでしょうか。顧客ロイヤルティは複数の指標を参考に、総合的に判断する必要があります。企業によって重要視するポイントはそれぞれ違いますが、主な指標と計測方法を紹介します。

NPS(ネットプロモータースコア)

NPSとは、顧客の満足度とともに、他者推奨をするかどうかをアンケートで調査します。0から10までの11段階ですべての質問に回答してもらい、点数で評価します。これによって、満足度とともに他者推奨意向を調べることで、感情面と行動面のどちらも測ることができます。

LTV(ライフタイムバリュー)

LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)とは、1人の顧客が生涯をとおして企業にもたらす価値を表した指標です。この指標には感情の要素は含まれず、行動面のロイヤルティを測るのに有効です。

LTVについて、詳しくは下記の記事をご覧ください。

関連:LTV向上に必要な4つのポイントとビジネスモデル別LTV向上施策

CES(カスタマーエフォートスコア)

CESとは、日本語では顧客努力指標といい、顧客が目的を達成するために要した負担を数値化したものです。目的を達成する過程で感じたストレスや負担について7段階程度の選択式のアンケートに回答してもらい調査します。

数値は低いほうが良いとされており、感情面のロイヤルティを下げるリスクを測ることができます。

NRS(ネットリピータースコア)

NRSとは、継続利用意思を数値化したもので、1年後もサービスや商品の利用を継続しているかを5段階で回答してもらいます。NPSが低く、かつNRSが高いユーザーは感情面のロイヤルティだけが高い状態と考えることができます。

顧客ロイヤルティ向上のステップ

1. 顧客データを収集・整理

上記で紹介した指標を把握するために必要に応じてアンケートを実施します。また、顧客ロイヤルティの指標だけでなく、顧客の基本情報や購入履歴、サイト内の行動履歴などさまざまなデータと紐づけて分析を行う必要があるため、顧客データの整理もあわせて行います。

2. 顧客ロイヤルティの把握、セグメント分けと目標設定

整理したデータをもとに自社の顧客ロイヤルティの現状を正しく把握します。想像ではなく、データに基づいて評価することが重要です。

ロイヤルティの状況に応じてセグメント分けし、施策のターゲット層と目標を決定します。例えば、以下のように設定することができます。

  • 感情面のロイヤルティのみが高い顧客は、行動面のロイヤルティの向上を目標にする
  • 一方で、どちらのロイヤルティも低い顧客は対策にコストがかかるので一旦保留にする

3. ロイヤルティを向上するCX設計

ステップ2で決めた目標を達成するのに必要なCX(カスタマーエクスペリエンス)を設計します。それぞれのセグメントの状態によって、必要な施策は異なりますが、共通しているのは顧客ロイヤルティの向上、その先に利益の向上や、顧客の離脱防止に繋がるCXを考えるということです。

CXについて、詳しくは下記の記事をご覧ください。

関連:顧客体験の向上に必要な5つの準備とCX管理に役立つマーケティングシステム

4. 的確な施策の実施

CX設計に基づき、施策を実施します。顧客にアプローチする方法はさまざまありますが、ここで重要なのは、データとツールを活用し、適切なタイミング、チャネル、相手に対して施策を行うということです。

CRMやMAといったマーケティングツールもありますが、CDPと各種ツールを連携して利用するのがおすすめです。CRM・MAについて、詳しくは下記の記事をご覧ください。

関連:CDPとCRMの違い、CDPの利用で広がる顧客とのコミュニケーション

関連:CDPとMAの違い、マーケティング活動を加速させる2つのプラットフォーム

5. 施策の効果の計測・検証

マーケティング施策はただ実施して終わりではなく、効果を計測し、検証し、ステップ2に戻ることを繰り返して、顧客ロイヤルティ向上のPDCAを回し続けることが大切です。どのようにすればデータとして効果を計測できるか、を考えることも重要なポイントといえます。

顧客ロイヤルティ向上の成功事例

マインドシェアを作り続けるパタゴニア

世界的なアパレルブランドであるパタゴニアの事例を紹介します。

パタゴニアは、過去30年間に渡り売上の1%を自然環境問題の保護・保全に還元したり、持続可能性に配慮した製造方法を採用することで、顧客から好意・信頼を得ています。

それと同時に、ロイヤルティプログラムを通じたパーソナライゼーションとエンゲージメント構築、つまり顧客を本当の意味で大事にし、プログラムの一員として大切に扱うことによって好意度を高めることに成功しています。

パタゴニアのように好意度が高まり、マインドシェアが高まれば、自ら進んでブランドの支持者となりインフルエンサーとして情報発信をし、さらに売上が生み出されます。

以前はプログラムの効果を出すのに年単位の時間がかかったところ、近年はさまざまなツールや機能を活用することで、より短期間で売上への効果を見られるようになっています。

マインドシェアが獲得できるようにロイヤルティプログラムを徹底することで、他者との差別化に成功し、顧客の好意度や指示が生まれ、顧客ロイヤルティが向上し、売上に寄与していくという循環が重要ということがわかります。

新プログラムでロイヤルティを向上したサッポロライオン

「銀座ライオン」や「ヱビスバー」などを運営する株式会社サッポロライオンの事例を紹介します。

サッポロライオンは以前から会計時に会員カードの提示で値引きクーポンを発行する「club LION」というロイヤルティプログラムを実施していました。顧客の維持には一定の効果はあったものの、グループで来店した顧客のうち、会計をした人の情報しか収集できない点が悩みでした。

そこで2018年からヱビスバーで「YEBISU BAR アプリ」の提供を開始し、スマートフォンアプリと電子スタンプを活用したロイヤルティプログラムを提供しています。アプリにはヱビスバーで提供されているビール・ビアカクテルの一覧が表示され、注文ごとに店員が電子スタンプを押します。注文時なので顧客全員が参加できる点がポイントです。

溜まったスタンプの数に応じてステータスが設定されており、ステータスに応じて特典を提供しています。公表されている一番上位のステータス「マイスター」よりも上の「幻の称号」があることを示唆し、利用者の興味を引いたり、初回登録時にビールを1杯プレゼントする施策も好評です。

また、アプリをとおして新商品を告知したり、会員からアンケートを収集できる機能も備えています。会員数はプログラム提供開始後から順調に増加しており、これまであまり人気がなかったメニューも引き合いが増えるといった効果も生まれています。

サッポロライオンでは、アプリをとおして収集した顧客情報をマーケティング活動に活用し、顧客属性別のビール購買趣向を分析したり、アンケートから得た情報を同社の新メニューやサッポロビールの新商品の開発に活かしています。

顧客ロイヤルティの把握、向上に有効なCDP

顧客ロイヤルティの向上の中でPDCAを効率的に回すためには、取得したアンケート結果や、既存の顧客データを整理したり、新たに必要なデータを収集するデータ基盤が必要になります。

データ基盤を0から自社で構築するという選択肢もありますが、1つの手段としてCDPが有効です。CDPはいろいろな状態で管理されているあらゆる顧客データを収集・統合し、データを活用できるマーケティングシステムです。

さらに、CDPはBIやMA、プッシュ通知、web接客ツールなどのアクションツールと自由に連携することができるため、データにもとづいて施策を実施することができます。

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顧客データをCDPで一元管理し、顧客ロイヤルティを正しく評価し、適切な施策の実施、分析のサイクルを回しましょう。

関連:CDPとは?カスタマーデータプラットフォームの機能やメリット、活用例を解説

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