2025.04.01

CDPとは?機能や部門・業界別の活用例、今後の動向などをまとめて解説

CDPとは?機能や部門・業界別の活用例、今後の動向などをまとめて解説

CDP(カスタマー データ プラットフォーム)は、米国や欧州を始めとして、ここ数年で導入する企業が急増しているマーケティングシステムです。Forbesの調査によると、CDPを効果的に利用している企業は顧客生涯価値が2.5倍高くなるという結果も出ており、注目を集めています。

本記事では、CDPとはどのようなシステムなのか、機能やメリット、ほかのマーケティングツールの違い、CDP市場の今後の動向などを紹介します。

CDP(カスタマーデータプラットフォーム)とは

integralcore integration

CDP(カスタマーデータプラットフォーム)とは、顧客理解を深めることを目的としたマーケティングシステムです。顧客データ活用に特化したシステムであり、オンライン・オフライン問わずあらゆる顧客データを各ツールから収集して「実在する個人」にデータを紐付けて一元管理したうえで、各マーケティングツールに合わせて加工・連携することができます。

CDPを導入することで、部門をまたいだ横断的なデータ共有が容易になり、マーケティング活動だけでなく、営業活動やカスタマーサポートなどの業務にも活用できます。その結果、一貫した顧客体験の提供が可能となり、顧客満足度の向上や売上の拡大、業務の効率化による工数削減といった効果が期待できます。

CDPを導入するメリットについて、詳しくは下記の記事をご覧ください。

関連:CDP導入の5つのメリット|失敗しないツールの選び方・導入時の注意点

CDPの機能・役割

CDPには主に4つの機能があるので、それぞれ紹介していきます。

cdp flow

顧客データの収集

CDPは、オンライン・オフラインを問わず、あらゆる顧客データを収集し続けます。顧客データにはさまざまな種類があり、下記が一例として挙げられます。ゼロパーティデータや1st Party Dataをメインにして、3rd Party Dataなども収集可能です。

  • 基本情報(ID、メールアドレス、電話番号、住所など)
  • 店舗への来店履歴
  • webや店舗での購買履歴
  • 自社サイト内の行動データ
  • 他社サイト内の行動データ
  • 実施した施策の結果データ
  • スマホアプリのログデータ
  • 天気や位置情報などのデータ
  • 民間企業からの情報(口コミなど)
  • 国や地方公共団体からの情報(国勢調査など)

CDPはデータ収集において、さまざまな顧客接点における基幹システムやツールに入力・登録されたデータを該当のシステム・ツールと連携して行います。

ツール名 webアクセス解析ツール CRM / SFAツール EC / 購買データ管理ツール ID-POS
ツールの例 ・Adobe Analytics
・Google Analytics
・Ptengine など
・Salesforce
・Synergy!
・HubSpot CRM
・eセールスマネージャー
・F-RevoCRM
・kintone
・Zoho CRM など
・EC being
・Shopify
・EC-CUBE
・ecforce
・EPR(マクロミル)
・W2 Unified など
・スマレジ
・airレジ
・ORANGE POS
・POS+retail
・shopping Scan(True Data)
・ユビレジ など

顧客に関するデジタルデータは今後も増加すると言われています。例えば、店舗の来店をビーコンで検知したり、AIカメラによる顧客の識別などの利用にすでに取り組んでいる企業も増えています。

関連:顧客データ収集の方法と有効なツール4選|収集すべき2種類のデータとは

顧客データの統合

CDPは顧客を1人の人物として管理できるように、名寄せ処理をしてデータを統合します。

さまざまなツールで収集したデータは、システムごとに顧客IDが割り振られた状態であり、同一人物が「PCで1名、スマホで1名」とカウントされ、別の人物として扱われてしまいます。CDPを利用することで、異なるIDを持つデータを統合し、個人プロファイルとして管理できるようになります。

統合後のデータの持ち方としては、顧客ごとに参照できる形にすることが多いですが、事前にデータを加工しておくことで、時系列での参照や特定のサブジェクトごとの参照も可能です。また、顧客に紐付かないデータについてもCDPと別途連携させることで、一部DWHとして運用することもできます。

関連:顧客データ統合の失敗ケースと最適な進め方|解決策となるデータ基盤のCDP

顧客データの加工

CDPを導入することで、統合した顧客データを利用してマーケティングの目的に応じたセグメントを作成したり、分析データとして加工することができます。

セグメントは、年齢、性別、居住地、購入金額、顧客ランクなどの条件をもとに細かく分類して作成できます。CDPの中には、管理画面上でGUIで直感的に操作できるものもあれば、SQLを用いてセグメントの作成が必要なものもあります。

また、BIツール単体ではデータの整形が難しい場合でも、CDPのデータ加工機能を活用することで、より柔軟に分析できます。例えば、売上の店舗別一覧を作成したり、顧客の居住地ごとにECサイトと実店舗での累計購入金額を集計することが可能です。行動データの量が膨大な企業や、複雑なレポートの作成が必要な場合に特に有効です。

顧客データの連携

CDPは顧客理解を深めたうえで顧客により良いアプローチを行うために、分析・施策を行うツールと連携できるようになっています。例えば、以下のようなBIツールやMAツール、プッシュ通知、web接客ツールなどと連携可能です。

ツール名 BI / 分析ツール MA / メール配信 / その他施策
ツールの例 ・Tableau
・Looker Studio(旧Google Data Portal)
・Yellowfin
・Amazon QuickSight
・DOMO
・Redash など
・Marketo
・Marketing Cloud Account Engagement(旧 Pardot)
・HubSpot
・Synergy!
・Karte
・DLPO
・LINE
・Repro
・WEBCAS email など

CDPの導入が増えている理由

CDPは、顧客理解を深めることやより良い顧客体験を提供するためのデータ活用基盤の構築といった観点から、多くの企業で注目を集めています。

近年の消費者は、単なるモノの価格よりも企業の信頼性や得られる体験を重視する傾向が強くなっています。

cdp 02

出典:PR TIMES「Sitecore、顧客ロイヤリティに関する日本の消費者意識調査の結果を発表

このような顧客の期待に応えるためには、興味・関心、行動傾向を正しく理解し、タイミングやチャネルを踏まえて柔軟かつ一貫性のあるコミュニケーションを行うことが重要です。そのためには、webサイトの閲覧履歴やメールの開封履歴などのオンラインデータだけでなく、実店舗での購買履歴やコールセンターへの問合せ内容といったオフラインデータも統合し、顧客を多角的に捉える必要があります。

また、世界的なプライバシー規制の動きが加速していて、企業はプライバシーへの配慮とデータ活用の両立という課題に直面しています。さまざまなプライバシー規制の中で、Cookieの取り扱いは大きなトピックであり、3rd Party Cookieの利用は各ブラウザによって大きく制限されています。その結果、外部のデータを使ったデジタル広告のターゲティングの精度が低下しています。

このように、プライバシー問題に対応しつつ顧客理解を深めて一人ひとりに最適な体験を提供することや、3rd Party Data以外を利用したデジタル広告のターゲティングの実施に向けて、顧客が自発的に提供したゼロパーティデータや1st Party Dataの活用に注目が集まっています。

関連:ゼロパーティデータとは?1st Party Dataとの違い、収集・活用事例を紹介

ゼロパーティデータや1st Party Dataを含む顧客データを効果的に活用するためには、ツールや部門ごとのデータを収集・統合し、一元管理できるデータ基盤が必要です。しかし、多くの企業ではツールや部門ごとにデータがバラバラに管理され分断されている「データのサイロ化」が起きています。

data silos

データのサイロ化が起きていると、正確な分析や顧客目線での施策の実施が難しくなる可能性があります。例えば、分析面では、本来は同じ顧客であるにもかかわらず、異なるツール上で別の人物としてカウントされてしまい、誤った分析に基づいて施策を評価してしまうケースが考えられます。施策の面では、同じ顧客に対してメールやプッシュ通知、DMなどで同じ内容を送信し、顧客にストレスを与えるコミュニケーションになっていることがあります。

CDPはゼロパーティデータや1st Party Dataを含めたすべての顧客データを一元管理することでデータのサイロ化を解消し、あらゆる視点で顧客を分析し理解するためにデータを活用できます。加えて、MA・メール配信ツールと連携し、顧客データを活用した施策の実行も可能です。

このような背景から、プライバシー保護の問題に対応しつつ顧客一人ひとりに最適な体験を提供できる環境を整える基盤として、CDPを導入する企業が増えています。

CDPとほかのマーケティングツールとの違い

CDPと似たようなマーケティングツールとしてDMPやCRM、DWH、MAなどがあります。

CDPはあくまで顧客データ管理の中心となるものであり、DMP・CRM・DWH・MAなどで収集したデータを統合し、各ツールで施策を実行する際にデータを返したり、ほかのツールと連携する役割です。CDPとそれぞれのツールの違いについても解説します。

CDPとDMPの違い

CDPとDMPは、どちらもデータ集めて統合するためのプラットフォームで同じような機能を提供しているツールも多いですが、もともとのツールの思想や目的において異なる点があります。

データプラットフォーム CDP プライベートDMP パブリックDMP
使う目的 顧客理解 広告の最適化 広告の最適化
設計 個人データ中心 セグメント中心 セグメント中心
主に扱うデータ 1st Party Data(2nd・3rdも可能) 1st Party Data(2nd・3rdも可能) 3rd Party Data(匿名情報)
使用者 マーケティングや営業などの部門間、グループ会社間など多岐にわたって利用可能 デジタルマーケティング担当のみ デジタルマーケティング担当のみ

DMPの主な利用目的は、デジタル広告ターゲティングの精度を改善し、広告を最適化することです。また、DMPが扱うのはサイト訪問者の年齢や性別などの匿名トラッキングデータがメインです。

一方、CDPの主な目的は顧客理解をもとにした施策の実施です。CDPはセグメントではなく「実在する個人」に紐付けて顧客データを集めるので、個人にフォーカスしたデータを中心として、それらのデータを活用していきます。

CDPとDMPの違いについて、詳しくは下記の記事をご覧ください。

関連:CDPとDMPの違いとは?どちらを使うべき?比較表付きでそれぞれの機能を紹介

CDPとCRMの違い

CDPとCRMは、顧客データを収集・管理しその後のマーケティング施策を管理するためのツールですが、扱うデータや備わっている機能に違いがあります。なお、CRMはツールとしてではなく、顧客関係を管理する手法を指す場合もあります。

データプラットフォーム CDP CRM
既存顧客の情報管理
見込み顧客の情報管理 ×
施策実施 △(他ツールとの連携が必要)

CRMは、主に既存顧客のデータを収集しアプローチすることを目的としています。一方で、CDPは既存顧客だけでなく、特にオンラインの見込み顧客のデータも収集・管理するため、取り扱うデータの範囲は多岐に渡ります。

機能面では、CRMはメール配信機能に特化してるものが多く、さまざまなツールと連携することをあまり想定されていない場合があります。一方、CDPは各種施策を実施するための機能を備えていないものが多いものの、ほかのツールと連携することを想定して設計されています。

CDPとCRMの違いについて、詳しくは下記の記事をご覧ください。

関連:CDPとCRMの違い、CDPの利用で広がる顧客とのコミュニケーション

CDPとDWHの違い

CDPとDWHはどちらもデータを集めて統合するためのプラットフォームですが、もともとのツールの目的や機能面において異なる点があります。

データプラットフォーム CDP DWH
使う目的 顧客理解 データの統合・分析
データの収集
データの統合 ○(顧客ごとに記録) ○(時系列・サブジェクトごとに記録)
データの分析 △(分析ツールと連携が必要)
※データ加工の一部を管理画面上で可能
△(分析ツールと連携が必要)
データの連携 ○(さまざまなツールと連携できる) △(大変)
操作性 自由自在で分かりやすい 専任のデータベース管理者(DBA)を必要とすることが多い

DWHはデータを統合して分析に用いることが目的で、各ツールで蓄積された過去のデータを時系列ごとなどに整理して格納するシステムであり、あくまでデータを溜めておくデータベースです。DWHに格納されているデータを扱う際には、必要な形に整形したりほかのツールに連携するための中間サーバーを立てて利用するケースが多く、新たにデータを連携する際や分析内容を変更する際に都度、開発が必要となります。

対してCDPは顧客理解が目的で、各ツールで蓄積された過去のデータを人ごとに紐付けて個人プロファイルを充実させていくシステムです。DWHの機能を備えていることがほとんどで、分析にとどまらずメールやプッシュ通知、web接客などの施策を実施するツールと連携するための機能を持っています。

CDPとDWHの違いについて、詳しくは下記の記事をご覧ください。

関連:CDPとDWHの違い|個人プロファイルと柔軟なセグメント作成による分析を可能にするCDP

CDPとMAの違い

CDPとMAはそれぞれ想定している役割が違うため、扱うデータや備わっている機能も異なります。

データプラットフォーム CDP MA
役割 各ツールで蓄積された過去のデータを人ごとに紐付けるデータプラットフォーム 見込み顧客の情報の取得・育成や既存顧客の育成を行うマーケティングツール
主な機能 それぞれのツールで集めたデータを収集・統合/顧客の可視化/顧客データの分析/さまざまなアクション系ツールへの連携 リスト作成/フォームの作成/メール配信/社内アラート/リード選別・スコアリング/レポーティング
扱うデータ 会員ID/氏名/住所/生年月日/メールアドレス/位置情報/webの行動履歴/アプリの行動履歴/店舗への来店履歴/購買情報などのオンライン・オフラインデータ 会員ID/氏名/住所/生年月日/メールアドレス/メール配信履歴/web上の一部の行動履歴などのオンラインデータ
施策 ・ほかの製品と組み合わせてメール配信やプッシュ通知、webポップアップなど顧客に合わせた最適なコミュニケーション
・BIツールとの連携による細かな顧客分析
メール配信
活用フェーズ すべてのフェーズ リードの育成

MAはマーケティングツールの1つであり、 顧客のweb上の行動情報を取得、フォームを作成して顧客情報を取得、メールによるコミュニケーションを中心として、見込み顧客の情報の取得・育成や既存顧客の育成を行うプラットフォームです。

対してCDPは、各ツールで蓄積された過去のデータを人ごとに紐付けるシステムです。MAで蓄積した顧客データとほかのツールで蓄積した顧客データを繋げることができるプラットフォームです。

webサイト上での行動のトラッキングについては、MAでもCDPでもunknownユーザーからユーザーまでのトラッキングができます。MAはweb行動に対するトリガーでのコンテンツ配信ができるのに対し、CDPだとオフラインの行動を含むほかの接点におけるデータや属性情報も収集・統合したうえでセグメントを作成することが可能です。

CDPとMAの違いについて、詳しくは下記の記事をご覧ください。

関連:CDPとMAの違い、マーケティング活動を加速させる2つのプラットフォーム

【部門別】CDPの効果・活用例

CDPはマーケティング部門だけでなく、全社的に利用することで部門ごとに利益向上やコスト削減を進めていくことができるシステムです。ここからは部門別のCDPの具体的な使い方について紹介します。

経営層・役職者のCDP活用例

経営層・役職者としては、利益向上・コスト削減のために、数字という客観的な事実で仮説を立て、実行できる組織にしていきたいと思われる方が多いのではないでしょうか。

CDPを導入することでデータを1つのシステムに統合し、BIツールとの連携でエリア別の売上達成率や年間実績、店舗とECサイトの売上比較などがほぼリアルタイムで可視化できるようになります。これにより、客観的なデータに基づく強み・課題の発見やスピーディーな意思決定が可能になります。

また、CDPは全社的に顧客データを共有できるため、組織的にPDCAサイクルを回し改善できる環境を作れます。例えば、企画部門は顧客ニーズを踏まえた新商品開発に、マーケティング部門は顧客へのマーケティング施策に、製造部門は生産数や期間の調整に顧客データを活用でき、各部門で業務改善や生産性の向上を実現できます。

さらに、複数のブランドを保有している企業では、ブランドによっては顧客層が似ていることがあるため、CDPで統合したデータをブランドをまたいで活用することも可能です。

マーケティングのCDP活用例

マーケティングにおいてはデータ活用できる場面が多く、新規顧客・リピーターの獲得からリピート率の向上、OMOの推進まで、CDPによってさまざまな課題にアプローチできます。

例えば、新規顧客の獲得の観点では、オンライン・オフラインデータの統合により、顧客の一連の動きが分かるようになり、webサイトやECサイトの訪問、店舗への来店に繋がる販促方法を正しく評価できます。

リピーターを増やしたい場合には、CDPで1st Party Dataを収集・統合することでリピーターの属性を把握し、自社の商材にメリットを感じやすい層に集中的にアプローチすることが可能です。

また、優良顧客の属性や行動を分析し「新作ページを閲覧している顧客は、店舗への来店および高単価商品の購入が多い」といった傾向を把握し、分析結果をもとに「新作ページを閲覧している顧客に店舗への来店を促すメールを送る」といった施策をワンストップで実施できます。

さらに、CDPでの顧客データの一元管理により、販売チャネルごとの顧客の来店動機や売上への関与を正しく評価することが可能です。

実店舗のCDP活用例

インターネットの利用が拡大する中で、ECサイトと比較して実店舗での売上を伸ばすことに課題を感じている企業は多いかと思います。CDPでオンラインとオフラインのデータを統合・管理して実店舗でもデータを利用できる環境を整えることで、実店舗ならではの顧客体験の強化や売上拡大を実現できます。

例えば、ECサイトと実店舗での累計購入金額を顧客ごとに出し、それに合わせて会員ランクを付与します。顧客ランクをもとにイベント・販売会において接客の優先順位を設定することで、購入意欲の高い顧客にリソースを割けるようになります。

また、ポイントシステムを導入している企業の場合、ECサイトと実店舗のポイントを統合することで顧客の利便性を高められます。

CDPで統合したデータは、実店舗の運営最適化にも有効です。時期や店舗別のデータを活用して商品陳列に活かしたり、天候や時間などデータも合わせて統合して来店数を予測することで商品ロスの軽減や人員配置に役立てられます。

このようなオンラインとオフラインのチャネルを融合させ、徹底した顧客目線でより良い顧客体験を提供しようという考え方はOMO(Online Merges with Offline)と呼ばれており、顧客とのコミュニケーションを設計するためのキーワードとして注目を集めています。

CDPを導入することで実現可能となるOMO戦略について、詳しくは下記の無料資料をご覧ください。

無料資料:顧客体験を向上させるOMO戦略|オンラインとオフラインを繋げるCDP

カスタマーサポートのCDP活用例

カスタマーサポートは既存の顧客が継続的に利用や購入をし続けてくれるか、また利用を迷っている顧客が契約や購入に進んでくれるかを左右する重要な業務です。

しかし、カスタマーサポートのよくある問題として、ほかのオペレーターや実店舗でのやり取りがすぐに把握できず、顧客への回答に時間がかかることが挙げられます。このような問題は、CDPを導入して過去のやり取りやweb上の行動データなどを一元管理することで解決でき、コールセンターの業務負担を軽減できます。

例えば、その顧客が直前に閲覧していたFAQのページやECサイト・実店舗で最近購入した商品をひと目で確認できれば、オペレーターは対応するべき内容を予測しやすくなり、顧客とのやり取りがスムーズになります。

また、問合せは顧客が求めていることや疑問点を直接収集できる貴重な機会です。問合せ内容をデータ化しておくことで、商品企画部がその内容をもとに新商品を開発したり、担当者の接客対応を改善するための参考材料にするなど、さまざまな形で活用できます。

部門別のCDP活用事例について、詳しくは下記の無料資料をご覧ください。

無料資料:部門別CDP活用事例集

部門別CDP活用事例集

【業界別】CDPの効果・活用例

業界によってデータ活用の悩みや課題はさまざまあるかと思います。CDPは幅広く活用できるため、業界別のCDP活用例を紹介します。

製造小売業界のCDP活用例

消費者のオンラインシフトに伴い、消費者は実店舗に行かずにアプリで情報を得たりECサイトで買い物ができるようになり、製造小売業界では店舗の役割や顧客へのコミュニケーション方法を見つめ直すことが求められています。

顧客にとって便利でストレスのない購買体験を提供するためにはさまざまなチャネルを活用したアプローチが必要であり、CDPのようなオンライン・オフラインのデータを一元管理する基盤が不可欠です。

また、特にアパレル・日用品販売では、需要予測や在庫管理の問題もあります。CDPを利用して購買データや行動データを統合することで、データに基づいたトレンド予測を行い、余剰在庫を削減できます。

製造小売業界のデータ活用・CDPの効果や活用例について、詳しくは下記の無料資料をご覧ください。

無料資料:製造小売業界でのCDPの効果と活用事例|アパレル・日用品販売・家具メーカー向け

不動産業界のCDP活用例

不動産業界は、一定の検討期間を要する商材であるため、営業担当者は契約率を引き上げるために後追いが必要になるケースが多いです。しかし、データが分断されていると適切な後追いができず、機会損失に繋がることがあります。

また、不動産販売(建売、注文、分譲)では、営業の個人活動や自社サイトの問合せ、展示場の来場予約などで新規顧客とのタッチポイントを作り、賃貸では物件情報サイトを中心として内覧を進めていくような流れが多いです。

いずれの場合も、新規顧客の接点は多岐に渡り成約までの接点も多い一方で、商談から成約までのデータが分断されていて、パイプラインを一連の流れとして捉えて評価できていないケースが少なくありません。

さらに「企画・開発」「販売」「賃貸・仲介」「管理」などいくつかの事業を展開している場合は、事業部や事業会社ごとにデータが分断され、顧客情報を統合的に管理できていない課題も発生します。

CDPを導入し部署間・事業所間でのデータを統合的に活用できる環境を構築することで、営業担当者が適切なタイミングで顧客にアプローチできるようになったり、商談から成約までの一連の評価を各部門で適切に行えるようになり、成約率の向上や業務改善に活かせます。

不動産業界のデータ活用・CDPの効果や活用例について、詳しくは下記の無料資料をご覧ください。

無料資料:不動産業界でのCDPの効果と活用事例

小売業界のCDP活用例

小売業界は「モノが売れない」時代に突入していると言われており、その要因はライフスタイルとともに多様化するニーズや情報量の増加、実店舗とECサイトのあり方の変化にあると考えられています。

現代社会において今後も売上を伸ばしていくためには、変わりつつある顧客の期待に応えることが重要です。CDPで購買履歴や行動データを統合することで、顧客理解が深まり最適なコミュニケーションがとれるようになります。

例えば、自社のプライベートブランドを持っている場合、CDPで統合したデータをもとに顧客が求める商品を開発することで、顧客の期待に応えつつ売上を拡大できます。また、統合したオンライン・オフラインのデータを実店舗での商品陳列に活かすことで、顧客体験の向上が可能です。

小売業界のデータ活用・CDPの効果や活用例について、詳しくは下記の無料資料をご覧ください。

無料資料:小売業界でのCDPの効果と活用事例|百貨店・スーパー・コンビニ向け

メーカーのCDP活用例

メーカーは顧客との距離が遠いため、顧客データを取得できる機会が限られます。また、貴重な顧客接点であるサポート業務でも収集したデータがバラバラに管理されていたり、部署ごと・ブランドごとでデータが分断されていて、顧客データを十分に活用できないケースも少なくありません。

CDPを導入することで、サポート業務で収集した問合せ履歴や製品の利用データ、マーケティング部が管理するキャンペーンデータなどを一元管理できます。その結果、顧客の購買行動やニーズを深く把握できるようになり、顧客との関係強化や事業成長に繋げることができます。

メーカーのデータ活用・CDPの効果や活用例について、詳しくは下記の無料資料をご覧ください。

無料資料:メーカーでのCDPの効果と活用事例

ホテル業界のCDP活用例

ホテル・旅館業界では、OTA(Online Travel Agent)経由の予約が大部分を占めていることにより集客コストが増大し、利益率が圧迫されていることが大きな課題です。

自社の直接予約を強化するには新たな集客経路の獲得とブランドの構築が重要で、直接予約のデータに加え、顧客の属性データやwebサイト上での行動データ、宿泊後のアンケート情報などを統合・分析し、自社の強みを生かしつつ顧客からも共感を得るブランディング戦略とそれをもとにした集客の戦略を練る必要があります。

CDPを導入しデータを一元管理することで、顧客を多角的に分析して理解を深め、ブランディングに活かせるようになります。例えば、CDPで統合したデータをもとに宿泊客の食事傾向を属性別に分析し、顧客のニーズに合わせた宿泊プランの作成やプロモーションを実施できるようになります。

ホテル・旅館業界のデータ活用・CDPの効果や活用例について、詳しくは下記の無料資料をご覧ください。

無料資料:ホテル業界でのCDPの効果と活用事例

CDP導入時のポイント

CDPを導入する目的を明確にする

CDPを導入する際は、あらかじめ導入プロジェクトの明確な目的を設定することが重要です。

例えば、活用できる顧客データが少なく高度な分析やデータの統合・管理の必要性が低い場合や、既存のCRMやDMPツールで目的を十分に達成できている場合、CDPを導入するメリットは限定的です。一方で、実在する個人にデータを紐付けてマーケティング施策の精度を上げたい、オムニチャネル対応を強化しシームレスな顧客体験を提供したいなどの課題がある場合、CDP導入が有効な手段となります。

「どのような課題を解決するためにCDPを活用するのか」 を具体的に定めることで、自社にとって本当にCDPが必要かを判断できるようになります。また、導入前に目的を明確にしておくことで、CDPの活用が進まずに次第に利用されなくなるリスクを避け、実際の業務に活かせる仕組みを検討・構築しやすくなります。

自社に適したベンダーを選ぶ

多くのベンダーがCDP製品を提供していますが、それぞれで特徴や機能が異なります。導入する目的をもとに各製品を比較し、自社に最適なCDPを選定しましょう。

ベンダーを選ぶ際は、必要な機能が揃っているか、コストが適切か、既存ツールと連携できるか、などのポイントを踏まえて検討する必要があります。加えて、サポート体制が整っているベンダーを選ぶことも重要です。

CDPを効果的に活用するためには、どのデータを収集・統合すべきか、全社的にどのように運用・推進していくべきかといった課題に直面することが多くあります。サポート体制が充実しているベンダーを選ぶことで、スムーズにCDPを導入できるだけでなく、自社に最適な運用方法を決められるため、よりCDPの導入効果を感じやすくなります。

自社に合ったCDPの選び方について、詳しくは下記の無料資料をご覧ください。よくある失敗例やCDPの種類についても紹介しています。

無料資料:自社に合ったCDPの選び方|CDPの選定でよくある3つの失敗とは

自社に合ったCDPの選び方|CDPの選定でよくある3つの失敗とは

CDP導入事例

弊社EVERRISEでは国産CDP「INTEGRAL-CORE」を提供しています。ご利用いただいている企業さまの中から、2つの事例を紹介します。

キーコーヒー

海外でのコーヒー農園事業からコーヒーの製造・販売、飲食事業まで、コーヒーに関するさまざまな事業を手掛けているキーコーヒー株式会社の事例を紹介します。

キーコーヒーは、メーカーとしてのBtoB、BtoCのビジネスだけではなく、コーヒーファンのためのコミュニティサイトやセミナー、直販のECサイトなど顧客と直接コミュニケーションを行うサービスも展開しています。

それぞれのサービスでデータをもとにした改善は進めていましたが、より良い顧客体験を提供するためにバラバラに管理されているデータの統合を検討していました。

キーコーヒーは、EVERRISEの提供するデータ基盤、CDP「INTEGRAL-CORE」を導入し、複数のwebサイトやECサイトなどのデータを統合しました。

case keycoffee

また、チャネル別の会員数推移やwebサイトのページ別訪問数と各種CVR・CVユーザー数の相関などを容易に把握できるダッシュボードの作成したり、CRMツールやweb接客ツールと連携して顧客とのコミュニケーションの最適化を行えるようにしました。

ダッシュボードを使用することでチャネルを横断した分析が可能になり、より精度の高い施策に活かせる情報を得られるようになったほか、施策の効果検証がしやすくなりました。今までチャネルごとの担当者に依頼して抽出してもらっていたデータも主要な部分はBIツールで確認できるようになり、作業時間の削減に成功しています。

web接客においては、今までは「特定のページに対して特定のコンテンツを表示する」というページ単位でのセグメントしか条件にできませんでした。「INTEGRAL-CORE」を導入して顧客単位のセグメントでコンテンツを出し分けられるようになったことで、より良い顧客コミュニケーションを目指しています。

無料資料:導入事例|キーコーヒー株式会社・CDPで複数チャネルのデータを統合、顧客コミュニケーションの最適化へ

あなぶき興産

マンション分譲、戸建請負・不動産仲介などの不動産事業を軸に、介護サービス、人材サービス、電力提供事業などの幅広い事業を展開するあなぶき興産の事例を紹介します。

あなぶき興産は、マンション事業においてさまざまな取り組みを行っていましたが、web会員データと実店舗来場データが個別で管理されており、お客さまと適切なコミュニケーションを図れていませんでした。

そこで、EVERRISEの提供するCDP「INTEGRAL-CORE」を導入し、顧客のマスターデータや商談データ、来場データ、複数の自社サイト上での行動データなどを紐付けて、顧客一人ひとりを可視化できるようにしました。

顧客理解の深化を通して、顧客それぞれの状況に適した提案や営業活動、顧客接触を行い、顧客体験(CX)の向上を目指しています。また、「INTEGRAL-CORE」をMAツールやBIツールと連携し営業現場に適切なリード・分析データを提供して販売活動を効率化することや、一元管理された顧客データを利用したメール施策や広告配信などのマーケティング施策にも取り組んでいます。

CDP市場の今後の動向

近年、日本国内のCDP市場は拡大し続けています。独立系ITコンサルティング・調査会社である株式会社アイ・ティ・アールが2023年に発表した調査によると、CDPの国内市場規模は2020年に87億円でしたが、2026年には200億円以上に達すると予測されています。6年間で2倍以上に成長する見込みであり、それだけ多くの企業がCDPの導入を検討している、あるいはすでに導入し活用していると言えます。

CDP市場規模推移および予測

引用:ITR「CDP市場規模推移および予測(2020~2026年度予測)

Cookie規制をはじめとする情報の取り扱いに関するさまざまな規制が強化される中で、CookieやデバイスIDを重視するDMPから、1st Party Dataを重視するCDPへの移行が進んでいることからも、今後もCDPを導入する企業は増え続けると予想されます。

CDPを導入する際に知っておきたい情報について、詳しくは下記の無料資料をご覧ください。

無料資料:CDP検討マニュアル|CDPとは?DMP・CRM・DWH・MAとの違い、導入のタイミング

CDP検討マニュアル|CDPとは?DMP・CRM・DWH・MAとの違い、導入のタイミング

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