2024.05.05

CDPとDMPの違いとは?機能・活用例からどちらを選ぶべきか【比較表付き】

CDPとDMPの違いとは?機能・活用例からどちらを選ぶべきか【比較表付き】

デジタルマーケティング領域において顧客データを活用し広告効果の最大化を図るために、ここ数年で導入が増えているのがCDPやDMP。

言葉として聞いたことがあっても、CDPとDMPにどのような違いがあるのか理解できていない方もいるかと思います。

本記事では、CDPとDMPの違いやそれぞれの機能・特徴、活用例、またCDPとDMPどちらを選ぶべきかについても紹介します。

CDP検討マニュアル

CDPとDMPの違い

CDPとDMPは、どちらもデータを集めて統合するためのプラットフォームです。同じような機能を提供しているツールも多いですが、もともとのツールの思想や目的において異なる点があります。

主な相違点は以下のとおりです。

  • ツールの目的
  • 活用するデータの種類
  • 個人識別情報(PII)の取り扱い
  • データの保存期間
  • 使用する部署

ツールの目的

CDPの主な目的は顧客理解をもとにした施策の実施です。CDPはセグメントではなく「実在する個人」に紐づけて顧客データを集め、顧客体験のパーソナライゼーションと長期的に顧客との関係構築を行います。

一方、DMPの主な利用目的はweb広告です。デジタル広告ターゲティングの精度を改善し、広告を最適化するために利用します。

活用するデータの種類

CDPは顧客一人ひとりの分析・パーソナライゼーションを行うため、個人にフォーカスしたZero Party Data・1st Party Dataを中心としたデータを活用していきます。

DMPはオーディエンスセグメントの作成とターゲット広告に重点を置いているため、扱うデータとして3rd Party Dataの活用がメインです。

データの種類 Zero Party Data
(ゼロパーティーデータ)
1st Party Data
(ファーストパーティーデータ)
2nd Party Data
(セカンドパーティーデータ)
3rd Party Data
(サードパーティーデータ)
データの内容 顧客が意図的・積極的に企業と共有するデータ 自社が直接取得したデータ 他社から入手取得したデータ データ収集専門企業から取得したデータ
データの例 ・家族構成
・趣味嗜好
・興味関心
・購入意向 など
・会員ID
・氏名
・住所
・生年月日
・メールアドレス
・位置情報
・オフラインでの購買情報 など
・自社に関連する他社の1st Party Data など ・ユーザーのwebサイト行動履歴データ
・ユーザーの属性データ
・ユーザーの興味関心データ など
データの精度
データの量

Zero Party Data・1st Party Data・2nd Party Data・3rd Party Dataについてより詳しく知りたい方は、下記の記事をご覧ください。それぞれのデータの違いやZero Party Dataが重要視されている理由などについて紹介しています。

関連:Cookieレス時代に「ゼロパーティデータ」が生み出す真の顧客理解

個人識別情報(PII)の取り扱い

「個人識別情報」とは、名前、住所、電話番号、メールアドレスなど、その人物を特定または追跡できるデータです。

CDPはZero Party Data・1st Party Dataが中心なので、個人識別情報を含む詳細な顧客データを扱います。

DMPは主に3rd Party Dataなので、webサイト訪問者の年齢や性別などの匿名トラッキングデータや集計データを使用します。

データの保存期間

CDPは顧客と長期間の関係構築を行うため、データは長期間にわたって保存され、顧客プロファイルとして顧客一人ひとりのデータをリッチにしていきます。

DMPは広告での利用のため、データは通常はCookieの有効期限に基づき、比較的短期間の保存です。

関連:顧客プロファイルの活用例と管理方法|分析・施策の幅を拡げる顧客の可視化

使用する部署

CDPは企業全体で一貫性のあるコミュニケーションを提供すること、各部門が顧客データを利用して利益向上や業務効率化に取り組むことを想定して設計されています。そのため、マーケティングだけでなく、営業やカスタマーサポート、実店舗、グループ会社など多岐にわたって利用可能です。

DMPは広告での利用になるため、主にデジタルマーケティング担当が利用するツールです。

以上がCDPとDMPの主な相違点になります。こちらの内容を踏まえ、どちらを使うべきなのかについては記事後半で紹介しています。該当の紹介箇所まで飛びたい方は、こちらをクリックしてください。

CDPとは

CDPとは「Customer Data Platform(カスタマー データ プラットフォーム)」の略称で、企業の顧客に関するデータを管理し、顧客一人ひとりを理解するための基盤のことです。

CDPについてより詳しく知りたい方は、下記の記事をご覧ください。CDPの導入が増えている理由やほかのマーケティングツールとの違いなどについて紹介しています。

関連:CDPとは?カスタマーデータプラットフォームの機能やメリット、活用例を解説

CDPの機能・特徴

CDPの機能としては下記のとおりです。

  1. データの収集
  2. データの統合(顧客ごとに記録)
  3. データの分析
  4. アクション系のツールとの連携

cdp dmp 01

データの収集

CDPは主にZero Party Data・1st Party Dataを集積しているうえに、人単位の情報管理に特化しているため、DMPよりもセンシティブな情報を持ったり、より多くのデータソースを持つことを想定していることが特徴です。

近年Cookie規制が厳しくなっており、Zero / 1st Party Dataの活用が重要視されています。そのような背景もあり、多くの企業がデータの収集・統合・加工・連携ができるCDPの導入を検討しています。Zero / 1st Party Dataを活用したマーケティング施策や具体的な活用事例については、下記の資料で紹介していますのであわせてご覧ください。

無料資料:Zero / 1st Party Dataを活用したマーケティング施策5選|強まるCookie規制に対する次の一手

Zero / 1st Party Dataを活用したマーケティング施策5選|強まるCookie規制に対する次の一手

データの統合

CDPは散らばったデータを顧客一人ひとりのデータとして統合できます。

cdp dmp 02

例えば、webサイトやSNS、メルマガ、アプリなどそれぞれのチャネルごとに顧客管理システムを持っており、顧客データがバラバラになっていることがあります。

顧客データが散らばっていると、同じ顧客に対して同じ内容のメルマガとプッシュ通知を配信してしまうといったことが起き、顧客にとって「うっとうしい」コミュニケーションになりかねません。CDPで顧客データを一元管理することで、こういったリスクを減らせます。

また、マーケティング担当がCRMの顧客情報をエクセルで出力して、MA用に加工してアップロードする…といった各々のシステムに合わせる手間もなくなるため、よりスピーディーに分析を行うことができます。

データ統合の重要性や顧客データ統合プロジェクトの進め方について、よくある失敗ケースとあわせて下記の記事で紹介しているのでぜひご覧ください。

関連:顧客データ統合の失敗ケースと最適な進め方|解決策となるデータ基盤のCDP

データの分析

CDPを利用すれば、既存顧客が求めているものや特定の商品についてニーズが明確になるため、顧客に寄り添った宣伝活動が可能です。昨今のマーケティングは「知って、調べて、買う」というユーザー行動から「体験をして、また買ってもらう」というLTV(ライフ タイム バリュー、顧客生涯価値)を重視するようになってきました。

CDPは、顧客に関わるすべてのデータを集積するので、顧客一人ひとりをより深く分析できるようになり、LTV向上のための施策の検討や実施、振り返りを行うための基盤構築に繋がります。

また、CDPでの分析結果を社内(グループ会社)で共有することで、さまざまな部門で活用できるようになります。例えば、下記のような使い方です。

  • マーケティング部門:顧客へのマーケティング施策
  • お客さま対応部門:クレーム対応
  • 製造部門:生産数や期間の調整

CDPを活用することで各部門がそれぞれに業務を改善でき、これにより社内全体の効率化も期待できるようになります。CDPで実現可能なデータ・顧客分析について、下記の記事で詳しく紹介しています。

無料資料:CDPによる顧客理解と分析|BI連携でひろがるデータの可視化をダウンロードする

CDPによる顧客理解と分析

アクション系のツールとの連携

CDPで顧客データを統合することで、BIツールでの可視化や、メール配信やプッシュ通知配信といったマーケティング施策をするためのツールと連携して利用することができます。

具体的には、以下のようなツール・システムとの連携が可能です。

ツール名 webアクセス解析ツール CRM / SFAツール EC / 購買データ管理ツール ID-POS BI / 分析ツール MA / メール配信 / その他施策
ツールの例 ・Adobe Analytics
・Google Analytics
・Ptengine など
・Salesforce
・Synergy!
・HubSpot CRM
・eセールスマネージャー
・F-RevoCRM
・kintone
・Zoho CRM など
・EC being
・Shopify
・EC-CUBE
・ecforce
・EPR(マクロミル)
・W2 Unified など
・スマレジ
・airレジ
・ORANGE POS
・POS+retail
・shopping Scan(True Data)
・ユビレジ など
・Tableau
・Looker Studio(旧Google Data Portal)
・Yellowfin
・Amazon QuickSight
・DOMO
・Redash など
・Marketo
・Marketing Cloud Account Engagement(旧 Pardot)
・HubSpot
・Synergy!
・Karte
・DLPO
・LINE
・Repro
・WEBCAS email など

無料動画:BIツールを利用したデータ分析の成功ポイント|データドリブンな意思決定と施策改善の実現の動画はこちら

CDPの活用例

CDPを利用することで、Aさんという顧客が実店舗にいつ来店したのか、ECサイトでの購入履歴、興味関心、個人情報に至るまで、Aさんの情報が事細かに集められます。さらに、その顧客Aさんに対して、広告配信にとどまらず良好な顧客関係を築くために、メールやプッシュ通知などより多岐にわたってコミュニケーションを取ることが可能です。

また、ツールや設計次第の部分もありますが、CDPではリアルタイムな処理に強みを持っているツールがいくつか存在しています。DMPの思想として広告のセグメント作成を中心としている場合、web上のコンバージョン計測などリアルタイムな反映は広告媒体の機能に依存しているものも少なくありません。

リアルタイム性についての強みを持つCDPを利用すれば、顧客が店舗へ来店したタイミングで、その顧客に合わせたクーポンを配信する、というような施策も可能です。より顧客に最適な情報をリアルタイムな解析結果をもとに配信することで、より良い顧客との関係の構築に繋がります。

関連:CDP導入ガイド:メリット・選び方・注意点を導入事例とあわせて紹介

DMPとは

DMPとは「Data Management Platform(データ マネジメント プラットフォーム)」の略称で、インターネット上に蓄積された膨大な情報データを管理し、広告の最適化に利用するための基盤のことです。

パブリックDMPとプライベートDMPの違い

DMPは取り扱うデータの種類によって「パブリックDMP」と「プライベートDMP」の2種類に分けられます。「パブリックDMP」は3rd Party DataをメインとするDMPで、「プライベートDMP」は1st Party DataをメインとするDMPです。

プライベートDMPはCDPよりもより広義な意味を持っています。CDPは個人単位の情報になっているのでよりプライベートな情報データを所有しています。

パブリックDMPとプライベートDMPのより詳しい違いについては、下記の記事をご覧ください。

関連:プライベートDMPとは?パブリックDMP・CDPとの違い、機能や問題点

DMPの機能・特徴

DMPの機能としては下記のとおりです。

  1. データの収集
  2. データの統合(ユーザーごとに記録)
  3. 広告配信ツールとの連携

データの収集

パブリックDMPは、主に3rd Party Dataを収集します。広告目的で利用するため、個人を細かく特定する必要はなく、あくまで匿名のトラッキングがメインです。

プライベートDMPは、パブリックDMPが扱う3rd Party Dataに加えて、1st Party Dataも収集します。よって、同一ユーザーを特定することができ、セグメントを作成する際にパブリックDMPと比べて使えるデータが多いのも特徴です。

自社サイトでの行動履歴や会員登録データなどのオンラインデータだけではなく、店舗への訪問や購買履歴などのオフラインデータも取得できます。

データの統合

CDPと同様にDMPもデータを統合し、一元管理することができます。パブリックDMPは個人の特定まではできず、多様な属性情報の取得にとどまりますが、プライベートDMPであればCDPのように顧客データも統合することができます。

広告配信ツールとの連携

DMPは広告配信ツールと連携し、広告の最適化を行えます。

web上での行動履歴から読み取ったニーズごとに、見込み顧客をセグメント分けし、ニーズに沿ったキャンペーン情報を表示させます。そうすることで、すべての見込み顧客に対して画一的な訴求をするのではなく、それぞれの見込み顧客に合わせた広告訴求ができます。属性情報に合わせてバナー画像を切り替えるなどの広告施策も可能です。

DMPの活用例

パブリックDMP

3rd Party Dataには、自社が持っていないユーザー情報が豊富にあるため、新規顧客の開拓に活用できます。また、既存顧客が他社サイトでどのような行動をとっているかより深く分析したり、理想的な顧客を取りにいくのではなく見込みのない顧客に無駄な広告配信しないようにするといった使い方もあります。

プライベートDMP

主に既存顧客への購買活動に使われ、優良顧客を選定してキャンペーンメールを配信したり、お問合せフォームで離脱したユーザーだけをターゲットにした広告配信するために、他のツールと組み合わせたり、そもそもそういった機能を提供しているDMPもあります。

CDPとDMPの比較表

CDPとDMPの違いを一覧表にすると、下記のように分類することができます。

データプラットフォーム CDP プライベートDMP パブリックDMP
使う目的 顧客理解 広告の最適化 広告の最適化
設計 個人データ中心 セグメント中心 セグメント中心
主に扱うデータ 1st Party Data(2nd・3rdも可能) 1st Party Data(2nd・3rdも可能) 3rd Party Data(匿名情報)
使用者 マーケティングや営業などの部門間、グループ会社間など多岐にわたって利用可能 デジタルマーケティング担当のみ デジタルマーケティング担当のみ

CDPとDMPどちらを選ぶべきか

CDPとDMPはツールとして異なる思想・目的でスタートしていることから、DMPでCDPのような機能を求めても対応できない場合があります。それは、プラットフォームを設計する際に、最初からそれぞれの目的に合わせて作られていることが多いからです。

CDPやDMPを導入する際には、どういった目的でデータを活用していきたいのか決めておくことが大切です。

広告配信で匿名のユーザーのデータを活用するならDMP

インターネット上の匿名ユーザーを分析し、多くのターゲットに対して広告配信を実施したい場合はDMPが良いでしょう。

ただし、最近ではwebサイトのトラッキングにおいて、3rd Party Cookieの規制が進んでいることもあり、活用できないデータが増えているため注意が必要です。

また、2022年4月施行の改正個人情報保護法により、パブリックDMPから提供を受けた情報を自社のシステムに連携をおこない、個人情報と紐づける場合には同意が必要になります。プライバシー問題について、詳しくは下記の記事をご覧ください。

関連:顧客データ活用とプライバシー問題の両立。顧客に信頼されるデータの扱い方

顧客を特定し、一人ひとりに合わせたコミュニケーションを取るならCDP

特定顧客にアプローチしたい場合にはCDPがおすすめです。 CDPは「実在する個人」に紐づけて顧客データを管理でき、顧客一人ひとりに合わせたOne to Oneマーケティングを実行できます。

また、個人情報保護法などの法規制を順守しながら顧客データをビジネスに活用することが可能です。プライベートDMPの中にもCDPと機能の類似したものは存在しますが、CDPは設計段階からパーソナルデータの取得を前提として作られているため、プライバシー保護の観点から考えればプライベートDMPより安全性に優れています。

さらに、3rd Party Dataの利用が難しくなってる中で1st Party Dataの重要性は高まっており、それに付随してCDPを使って自社データを収集・統合することの必要性も増してきています。CDPについてより詳しく知りたい方は、下記の資料をご覧ください。

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