2023.05.26

プライベートDMPとは?パブリックDMP・CDPとの違い、機能や問題点

プライベートDMPとは?パブリックDMP・CDPとの違い、機能や問題点

web広告の施策を実施するうえで、よく耳にするようになったDMPですが、DMPにはパブリックDMPとプライベートDMPの2種類があります。

本記事では、DMPとは何か、パブリックDMPとプライベートDMPの違い、プライベートDMPの利点や昨今の情報の取り扱いに関する法律、規制の強化による影響などについて詳しく説明します。

Zero / 1st Party Dataを活用したマーケティング施策5選|強まるCookie規制に対する次の一手

DMPとは

DMPとは「Data Management Platform(データ マネジメント プラットフォーム)」の略称で、インターネット上に蓄積された膨大な情報データを管理し、広告の最適化に利用するための基盤のことです。

パブリックDMPとプライベートDMP

DMPにはパブリックDMPとプライベートDMPの2種類があり、取り扱うデータの種類が異なります。

はじめは、広告での属性データ(3rd Party Data)利用を目的としてパブリックDMPが登場し、後から1st Party Dataを取り扱うプライベートDMPが出てきました。

パブリックDMPとプライベートDMPの違いとそれぞれの特長について紹介します。

パブリックDMPとは

パブリックDMPは、主に3rd Party Data(広告での属性データ)を取り扱うDMPです。広告目的で利用するため、個人を細かく特定する必要はなく、あくまで匿名のトラッキングがメインです。

パブリックDMPは蓄積したデータを外部に提供する役割を担っています。DMPの持つさまざまなデータはDSP事業者へ渡って広告配信に使われたり、市場調査などに活用される場合もあります。

パブリックDMPは、外部のデータプロバイダーが所有するデータを活用するため、企業がデータの所有権を持ったり、プライバシーの管理をすることができません。

プライベートDMPとは

プライベートDMPは、主に自社の顧客の利用許諾を得て収集した1st Party Dataを取り扱うDMPです。よって、同一ユーザーを特定することができ、セグメントを作成する際にパブリックDMPと比べて使えるデータが多いことが特徴です。

プライベートDMPは主に自社の広告配信やマーケティングにのみ使用するもので、自社で所有する顧客データや、各メディアから取得できるオーディエンスデータを蓄積してマーケティング活動に役立てることができます。

自社サイトでの行動履歴や会員登録データなどのオンラインデータだけではなく、店舗への訪問や購買履歴などのオフラインデータも取得し、一元的に管理、効果的なデータ活用を可能にします。

企業自身が所有する顧客データを内部で管理・運用するため、データの安全性やプライバシーの保護がより高いレベルで管理されます。

1st Party Dataや3rd Party Data、近年注目を集めているゼロパーティデータの詳細については、下記の記事をご覧ください。

関連:Cookieレス時代に「ゼロパーティデータ」が生み出す真の顧客理解

プライベートDMPの機能

プライベートDMPには、主に3つの機能があります。

  • データ収集・統合
  • セグメンテーション
  • ターゲティング

データ収集・統合

企業内の複数のデータソースから顧客データを収集し、一元的に統合します。これにより、異なるデータソースからのデータを一元管理し、顧客の行動履歴や属性情報を統合的に分析することができます。

関連:顧客データ統合の失敗ケースと最適な進め方|解決策となるデータ基盤のCDP

セグメンテーション

顧客データをもとに、顧客を細かなセグメントに分けることができます。これにより、顧客の嗜好や行動を理解し、顧客に合わせたマーケティング施策を展開することができます。

関連:セグメンテーションとは?2つの観点での活用方法と成功事例

ターゲティング

セグメントごとに、最適なマーケティング施策を展開するためのターゲティングが可能です。顧客の興味関心や購買履歴に合わせた最適なメッセージを送ることができます。

Cookie規制・個人情報保護法によるプライベートDMPへの影響

最近ではwebサイトのトラッキングにおいて、3rd Party Cookieの規制が進んでいることもあり、プライベートDMPで利用できないデータが増えているため注意が必要です。

また、2022年4月施行の改正個人情報保護法により、パブリックDMPから提供を受けた情報を自社のシステムに連携をおこない、個人情報と紐づける場合には同意が必要になります。

これにより、プライベートDMPにも影響が及ぶ可能性が出てきています。ここからは、その影響の一例を紹介します。

データの収集・管理の厳格化

Cookie規制や個人情報保護の法律により、プライベートDMPもデータの収集・管理に関してより厳格なルールを遵守する必要があります。個人情報の取り扱いやデータの匿名化、擁護技術の採用、法律や規制の変化に対する対応、データの収集・管理に関するポリシーの見直し・改善などが求められます。

関連:顧客データ活用とプライバシー問題の両立。顧客に信頼されるデータの扱い方

ターゲティングの精度の低下

Cookie規制により、一部のユーザーのブラウザーでCookieがブロックされたり削除されたりすることで、プライベートDMPのデータの利用効果が低下する可能性があります。また、ターゲットユーザーの識別やターゲティングの精度が低下する可能性もあります。

Cookieを使った行動履歴のトラッキングが制限されることで、データの正確性や完全性に課題が生じたり、ユーザーの興味や嗜好を正確に把握しにくくなるかもしれません。

プライベートDMPからCDPへの移行

情報の取り扱いに関するさまざまの規制が進む中で、CookieやデバイスID、3rd Party Dataを軸としたDMPから、1Zero Party Dataと1st Party Dataを重視するCDPへと有効なデータ基盤が移行しています。

CDPとは「Customer Data Platform(カスタマー データ プラットフォーム)」の略称で、企業の顧客に関するデータを管理し、顧客一人ひとりを理解するための基盤のことです。顧客一人ひとりに合わせた体験を提供できるよう、さまざまな外部ツールに連携することも可能です。

関連:CDPとは?顧客データ活用に特化したCDPの機能とメリット、事例などの基礎知識まとめ

CDPとプライベートDMPはどちらも1st Party Dataを扱うため、同様のツールとして認識される方も少なくありません。事実、両者ともにデータを集めて統合するためのプラットフォームであり、同じような機能を提供しているツールも多いです。

しかし、もともとのツールの思想や目的において異なる点があります。プライベートDMPの主な利用目的は、デジタル広告ターゲティングの精度を改善し、広告を最適化することです。

対して、CDPの主な目的は顧客理解をもとにした施策の実施です。CDPはセグメントではなく「実在する個人」に紐づけて顧客データを集めるので、個人にフォーカスした1st Party Dataを中心として、それらのデータを活用していきます。つまり、CDPは顧客の分析やCRMでのデータの利用も視野に入れているということです。

private dmp 01

また、CDPは設計段階からパーソナルデータの取得を前提として作られているため、プライバシー保護の観点から考えればプライベートDMPより安全性に優れています。

関連:CDPとDMPの違いとは?機能・活用例からどちらを選ぶべきか【比較表付き】

CDPに集約したデータをもとに分析をし、顧客理解を深めることで、顧客にとってより価値のある情報やサービスの提供を実現します。現代の顧客は複数のチャネルを使ってブランドとの接触を持っており、CDPは顧客のオムニチャネル体験をより一貫して管理することができます。

以上のことから、特定顧客にアプローチしたい場合にはCDPが有効であり、現在はプライベートDMPではなくCDPを選択する企業が増えています。CDPの機能やその他ツールとの違い、各部門別のCDP導入の効果については、下記の無料資料をご覧ください。

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