2022.08.24

MA導入のメリット・デメリット、マーケティングオートメーションの課題とは

MA導入のメリット・デメリット、マーケティングオートメーションの課題とは

メール配信ツールとMAを比較し、MAを導入するメリット・デメリットを説明します。さらにMA単体での利用よりもう一段上の施策を可能にするCDPとの連携についても紹介します。

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MA(マーケティングオートメーションツール)とは

MAは、見込み顧客の情報の取得・育成や、既存顧客の育成を行うマーケティングツールの1つです。

主にメールを中心として、あらかじめ設定しておいた条件やシナリオに基づいてコミュニケーションやコンテンツの出し分けを行います。他にも、webトラッキング機能やリードのスコアリング機能があります。

MAが導入されている背景

顧客行動の変化による購入プロセスの長期化・複雑化

これまでの顧客の購買プロセスは「認知」「感情」「行動」の3つで、購入までの時間は比較的短く、営業からのアプローチを待つか、自分から営業に連絡して情報を収集するのが一般的でした。

しかし、インターネットの普及により、「検索」「比較」「検討」が加わり、購入までのプロセスが長期化・複雑化しています。顧客が自ら商品の情報を調べ取得するようになったため、企業の都合の良い情報のみを全員に対して一方的に発信するマーケティングを見直さなくてはならなくなりました。

よって、企業は適切なコンテンツを、適切なターゲットに、適切なタイミングで、適切なチャネルを選択して届けることが求められるようになりました。そのため、これまでのメール配信ツールなど機能の限定されたツールではなく、MAを導入して顧客データを活用した顧客理解顧客体験の向上を目指す企業が増えています。

自動化の需要

顧客行動の変化に伴い、顧客のニーズも多様化しています。効果的なマーケティングを行うために、個々のニーズに対応した情報を届けるパーソナライズの重要性が高まっています。

コミュニケーションチャネルやデータの増加、パーソナライズの普及によって、マーケティングも営業もすべてを人の手で管理・実行するのが難しいのが現状です。そのため、MAを活用してデータ管理やリードのスコアリング、有効リードへのアプローチ、決められた条件に応じたアクションの実行などを自動化するニーズが高まっています。

パーソナライズについて、詳しくは下記の記事をご覧ください。

関連:パーソナライズとは?BtoB / BtoCでの施策例や実現に必要な4つのデータと注意点

MAとメール配信ツールの違い

MAもメールを中心としたマーケティングツールですが、従来のメール配信ツールとでは導入の目的や機能に違いがあります。それぞれ主に下記のような導入目的が挙げられます。

メール配信ツールの導入目的

  • お知らせや宣伝を広く簡単に一斉配信したい
  • セグメント分けしたグループに対して定期的にメール配信をして関係性を維持、向上したい
  • メール配信の効果を把握したい(開封率、クリック率、オプトアウト率、ABテストなど)

MAの導入目的

メール配信ツールを導入する目的に加えて、MAの導入目的には下記のようなものがあります。

  • 顧客データを活用したメール配信を行いたい
  • web上の行動トラッキングや、スコアリングを含めたリードの一元管理、分析、育成をしたい
  • 分析をもとにパーソナライズされたアクションを実施したい
  • 少ない営業リソースで的確な見込み顧客へのアプローチを行いたい

機能の比較

顧客をセグメント分けしてメールを送信するのに必要な基本機能は、MAもメール配信ツールも備えています。MAとひとことに言っても製品によって違いはありますが、主にweb上の行動情報を配信のセグメントに利用できたり、リードのスコアリングを自動で行える機能を備えているのがMAの特徴です。

MAとメール配信ツールの機能の違いは下表のとおりです。

ma merit demerit 01

メール配信ツールではなくMAを導入するメリット・デメリット

メリット

メール以外のコミュニケーションチャネルを扱える

MAはLINEやSNS、スマートフォンのプッシュ通知など、メール以外のコミュニケーションチャネルでのアクションができます。

webトラッキングのデータを利用した配信コントロールやスコアリングができる

既存のリストへの配信だけでなく、webトラッキングしたデータに基づいてコンテンツの出し分けを行ったり、リードのスコアリングを自動で行うことができます。

複数のコミュニケーションチャネルを横断したシナリオを作成できる

MAはメール配信単体のシナリオだけでなく、複数のコミュニケーションツールにまたがったシナリオを作成することができます。例えば、webサイトを訪問しチャットで質問をしたユーザーに対して、離脱後にメールやLINEを用いてフォローのメッセージを入れるなどのチャネルをまたがったシナリオの作成、アクションの実施が可能になります。

デメリット

メール配信システムより価格が高い

機能が充実しているMAは、ツールによって差はありますが、メール配信システムに比べて高い価格帯になっています。

トラッキングやスコアリングの設計など導入準備のコストがかかる

便利な機能はたくさんありますが、MAを導入しただけですぐに自動化されるわけではなく、トラッキングの設定や有効なスコアリング基準の設計など導入準備にある程度のコストがかかります。

機能が複雑、操作が難しくオペレーションに慣れるまで担当者の負担が大きい

MAは機能が豊富なため、できることも多いというメリットに伴って、メール配信ツールに比べると操作が難しく、担当者が使い慣れるまでの負担が大きいのも事実です。

以上、3つのデメリットを紹介しましたが、どれも要件がメール配信システムで十分な場合に強く感じるものばかりです。ツール選定前に導入の目的を明確にして、それぞれの機能から必要なものを確認したうえで自社のニーズに合う決定をすることが大事です。

MAの課題と、CDPとの連携によるもう一段上のマーケティング

MAの課題・不足点

MAはメール配信ツールに比べて機能が充実していて非常に便利なツールですが、顧客データを活用したマーケティングを考えたときに、不足する点がいくつかあります。

オフラインデータの収集ができない

ma merit demerit 02

MAのみでは、店舗への来店履歴や購入履歴などオフラインデータを収集できないため、オンラインの行動情報のみでシナリオを作成したり施策を行うしかありません。例えば、ECサイトで商品を閲覧して離脱した後、実店舗で購入した場合、MA上では購入したことを把握できないため、すでに購入済みの商品のクーポンをメールで送付してしまう、というようなことが起こります。

このようにオフラインの行動情報を収集できないことで不適切なメールを配信してしまうリスクが考えられます。

他の施策ツールへの連携ができない

MAにはメール配信以外にもプッシュ通知などの機能を持っているものがありますが、MAで提供していないチャネルに対しては施策を実施することができません。

各ツールでそれぞれの施策を行うと一貫性のないコミュニケーションになってしまいます。また、MAや他ツールにデータが閉じてしまうことでサイロ化が進み、ツールごとにデータの加工を行うことで重複やミスのリスクも増えます。

精度の高い分析とセグメンテーションができない

MAで収集したデータのみで分析を行う場合、施策の結果やリードのスコアリングが本当に正しいとは言えません。例えば、メールは見ていないが店舗を頻繁に訪れ、購入している顧客がいた場合、MA上ではオフラインの動向を把握できないため低く評価されてしまいます。

また、ツールごとに顧客がデータ管理され、サイロ化が起きることで、精度の高いセグメント作成も難しいでしょう。

営業とマーケティング部門以外への連携ができない

MAツール自体は、ライセンスにもよりますが、主に営業部門とマーケティング部門が操作・利用することが多いかと思います。MAは分析を行うことよりも施策の実施が中心であり、他の部署が顧客の行動を見たいと思った場合に見やすい形であるとは言えません。

また、他の部署では他のデータと紐づけた形で利用したいケースが多く、MAを閲覧できるライセンスがあったとしても扱いたい形で扱えないことが多いです。

長期的な顧客データの活用ができない

MAはデータの保有期間や分析・データ抽出機能に制約があることが多く、長期的な顧客データの活用ができません。顧客体験の向上やLTVの改善を目的とし、長い目で見て顧客との関係を維持していきたいと考えている企業はMA単体の導入では不十分といえます。

ma merit demerit 03

CDPとの連携による課題解決

上記のようにMAだけでは解決しない課題や、顧客理解を深めていくうえで不足する機能がいくつかあります。これらを補うためにはツール連携が必要不可欠であり、そのツールとしてCDPが有効です。

CDPは、顧客データを各ツールから収集して「実在する個人」にデータを紐づけて統合、BIツールなどを用いてダッシュボードやレポートを作成したり、MAなど各種マーケティングツールに連携できるシステムです。CDPについて、詳しくは下記の記事をご覧ください。

関連:CDPとは?カスタマーデータプラットフォームの機能やメリット、活用例を解説

MAとCDPでそれぞれ取得できるデータ

MA単体でもデータの収集機能はありますが、CDPはより多くの種類のデータを取得・活用することができます。

データの例 MA CDP
web上(オンライン)の行動データ
オフラインの行動データ
属性データ
POSデータ
広告配信結果
SNSでの行動データ

MAとCDPを連携するメリット

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オンラインとオフラインのデータを連携

CDPとMAを連携することで、店舗での購買データやアンケートなどのオフラインデータと、ECでの購買履歴やweb行動データを連携してより顧客の求めている情報を届けたり、逆に不快に思う情報や重複して届く情報を除外することが可能になります。

MAでの配信結果や分析結果をさらに活用

MAでのメール配信結果や施策実施の結果をCDPを通してBIに連携することで、グラフで可視化してより分析しやすくしたり、簡単に報告用のレポートを作成することができます。またBI以外にもCDPを通して連携できるツールが豊富にあるため、さらにデータ活用の幅が広がります。

データを企業内で共有

CDPは、他部門やグループ会社、系列の他ブランドが使用しているツールのデータも統合することができます。また、CDPのデータを他のツールに連携することもできるので、顧客データを企業全体で共有することができます。

最新のデータを永続的に管理

CDPは顧客ごとに最新の状態でデータを永続的に管理できるため、顧客のライフステージの変化に合わせて長くコミュニケーションが可能です。長期的なコミュニケーションを前提にシナリオを作成することでLTVやロイヤリティを高める施策へと繋がります。

MAの問題点、MAとCDPの連携について、詳しくは下記の資料をご覧ください。

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