2022.10.12

MAとデータ連携できるシステムと連携時の注意点|MA・CRM(SFA)・CDPの違い

MAとデータ連携できるシステムと連携時の注意点|MA・CRM(SFA)・CDPの違い

近年多くの企業で導入が増えているMAツールは、他のマーケティングツールと連携することでその導入効果をさらに高めることが期待できます。

本記事ではMAと、MA同様に導入企業が増えているCRM(SFA)・CDPとのそれぞれの違いや、MAとの連携によって実現できることについて紹介します。

MA・CRM(SFA)・CDPの違い

ma cooperation 01

MA・CRM(SFA)・CDPは、マーケティング活動のフェーズの中でそれぞれ得意とする領域が異なり、目的によって使い分けられます。

MAは主にリード獲得から育成を中心とするマーケティング領域、CRM(SFA)は主に営業部門領域において、顧客管理とコミュニケーション施策の実行に使用されます。CDPはMAやCRM(SFA)などのさまざまなツールと連携し、すべてのマーケティングフェーズにおける顧客データの統合と管理に使用されます。

MAの役割と主な機能

MA(Marketing Automation)は、顧客・見込み顧客のオンライン情報を収集・記録し、それをもとに顧客を理解したうえで最適なコミュニケーションを取ることを目的としたツールです。

MAの役割は、主にリードジェネレーション(見込み顧客の獲得)からリードナーチャリング(見込み顧客の育成)、リードクオリフィケーション(見込み顧客の選別)までの活動全般です。

特にBtoBの商材や、BtoCで営業担当がつく中長期検討の高単価の商材においてはこの役割が大きいです。また、BtoBではSaaS製品、BtoCではECサイトや各種webサービス・モバイルアプリなどのオンボーディング用のメール・コンテンツの配信や、カゴ落ちメールの配信など、既存顧客へのコミュニケーション支援ツールとしての役割も持っています。

上記のような顧客へのコミュニケーション施策実行に付随する、メール送信や顧客評価などの作業そのものを自動化することもMAの役割です。

MAの主な機能には、顧客リストやフォームの作成、メール配信やモバイルアプリのプッシュ通知などさまざまなチャネルでの顧客へのアクション、リード選別、スコアリングなどがあり、顧客・見込み顧客の獲得・育成・選別のための機能が充実しています。顧客になる前の状態である匿名顧客の行動を管理することもできます。

また、顧客が特定の行動をとった場合など、さまざまな条件に合わせたアクションの実行を管理できるシナリオ機能は、顧客へより最適なタイミングで最適なコミュニケーションを取ることを実現可能にしています。

MAの機能によって、顧客一人ひとりに合わせたシナリオに沿った施策を効率よく実行できます。例えば「セミナーに申し込んだ3日後にメールを送る」「特定のメールを開封している人だけにメールを送る」など、担当者が都度確認するには労力がかかりすぎてしまうような条件に対しても細かなアクションを設定し、自動化できます。

MAについて、詳しくは下記の記事をご覧ください。

関連:MA導入のメリット・デメリット、マーケティングオートメーションの課題とは

CRM(SFA)の役割と主な機能

CRM(Customer Relationship Management)は、顧客との関係性を管理し、売上や利益に繋げることを目的とした手法・ツールのことです。本記事でのCRMはツールのことを指します。

CRMの中でも特に営業プロセスを効率化・自動化し、支援することを目的とした機能に特化してツール化されたものに、SFA(Sales Force Automation)があります。

CRMの役割は、顧客の情報を収集管理・分析し、関係管理を行って顧客との関係向上に繋げることです。また、それに伴う商談の進捗状況の可視化、その管理を自動化・効率化することもCRMの役割です。

商談とは商品・サービスなどの取引に関する交渉のことで、BtoBでは契約を締結するまで、BtoCでは顧客が商品などを検討し購入に至るまでの、企業、あるいは企業の担当者と顧客との間でのやり取りを指します。特にこの商談に関わる部分の管理・効率化をSFAが担っています。

CRM(SFA)はBtoB、BtoCで主に商談が重要なビジネスにおいて、企業・顧客情報や商談情報の管理、コミュニケーション履歴管理によって、顧客と商談の状況をリアルタイムに把握・管理することに使われます。

その他BtoCの事業やサブスクリプションの商品を提供するビジネスでは、ポイントや購入履歴の管理、契約状況や商品情報の管理、メールやモバイルアプリ・カスタマーサポートなどを通したコミュニケーション履歴の管理を通し、ロイヤル顧客の育成と分析によってLTV最大化のための活動を支援します。

CRM(SFA)の主な機能には、顧客情報の管理、コミュニケーション履歴や商談・予算実績の管理、ポイントや購入履歴の管理、メール配信などのコミュニケーションを実行・管理する機能などがあり、ツールによって得意とする機能が異なります。

CRM(SFA)について、詳しくは下記の記事をご覧ください。

関連:CDPとCRMの違い、CDPの利用で広がる顧客とのコミュニケーション

CDPの役割と主な機能

CDP(Customer Data Platform)は、企業内でバラバラに管理されている顧客データを1つに統合・管理し、活用することを目的としたツールです。顧客とのコミュニケーション施策や、顧客理解のための分析に顧客データを活用するために、さまざまなシステムから顧客の情報を集め、データを統合します。

CDPの役割は、顧客データの基盤として複数のシステムやツールから顧客データを収集・統合して一元管理し、集約された情報をもとにしたセグメントを各ツールへ受け渡すことです。

BtoB・BtoCといったビジネスモデルを問わず、データのサイロ化が起きている企業では、部門やシステムごとに顧客が管理されているため、同一顧客が企業全体で見たマーケティング活動のどこで接触しているか、現在はどのような状態なのかを正確に把握することができません。

CDPはデータのサイロ化を解消することで、顧客一人ひとりをより深く理解し、One to Oneマーケティングを実現させます。

CDPの主な機能には、タグによるトラッキングやさまざまなツール・システムからのデータ収集、顧客を個人単位で管理するためのデータ統合、セグメント作成、集約したデータを他ツール・システムへ受け渡す連携機能があります。

CDPには顧客と直接コミュニケーションを取るための機能はありませんが、CRM(SFA)を1つのデータソースとして利用したり、MAに他ツール・システムのデータを連携したうえでコミュニケーションを行ったり、MAでの施策の結果データを他ツール・システムに戻して利用したりと、マーケティング活動のすべてのフェーズのデータを扱い、活用できます。

また、CDPもMAのように匿名顧客の管理ができます。さらに、CDP内の顧客データから分析した、優良顧客に似ている行動をとった匿名顧客のセグメント情報を作成し、コンテンツの出し分けなどができる他ツールへと受け渡すことで、見込み顧客になる前からアプローチするといったことも可能になります。

CDPについて、詳しくは下記の記事をご覧ください。

関連:CDPとは?カスタマーデータプラットフォームの機能やメリット、活用例を解説

MAとCRM(SFA)・CDPを連携するメリット

MAは顧客のオンライン上の行動に合わせた細かなアクションを行うことができますが、オフライン上での行動など、MA上では把握できない顧客の行動・状態に対してアクションを行うことができません。

顧客から見た企業としてのマーケティング活動に一貫性を持たせるためにも、MAとMAの範囲外の顧客接点の情報を扱うツールを連携し、それぞれが持つ情報を繋いだうえで顧客とのコミュニケーションを取ることが望ましいでしょう。MAとCRM(SFA)・CDPを連携し活用することで、見込み顧客の段階から顧客とのより良い関係を作りやすくなります。

MAとCRM(SFA)・CDPの連携によるメリットとして、顧客体験面では不要なコミュニケーションの除外や、より適切なタイミングでのメール配信が可能になり、顧客体験の向上に繋がることが挙げられます。

業務改善面でのメリットは、MAで得た情報を他ツールへ受け渡すことで情報入力の手間を軽減するなど、部門間でのコミュニケーションコストの削減があります。

MAのツール連携における注意点

データの整備が必要

MAと他ツールとの連携の際には、データクレンジングを行いデータを整備する必要があります。

入力ミスや表記ゆれ、重複データなどに対し、どちらのツールでも同一のルールでクレンジングを行いましょう。データクレンジングはツール連携後も定期的に行い、データを正しく保ち続けることが重要です。

関連:データクレンジングと名寄せとは?顧客データを正確に管理する方法

実現したいことを整理したうえで連携するデータを選定する

データ整備にコストがかかる点から、連携するデータ項目は必要なもののみに絞り込むべきです。

「見込み顧客が特定ページを閲覧したことを営業に知らせる」「商談中の顧客には一部のジャンルのメルマガ配信を行わない」など、連携によって行いたいことが事前に整理されていれば、それに必要なデータを絞り込めます。

特に、定性的なデータよりも定量的なデータを連携するとデータ量を増やさずに活用しやすいでしょう。「資料をダウンロードしたら◯点」「メール内のリンクをクリックしたら◯点」など、スコアリングしたデータであれば1つの項目で管理することもできます。

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企業を強くするデータの持ち方・使い方

MAとCRM(SFA)の連携

MAとCRM(SFA)の連携で実現できること

マーケティング部門と営業部門の連携強化

MAとCRM(SFA)の連携によって、顧客が見込み顧客だった段階での情報と、商談が開始してからの情報を両部門間が把握することができるようになります。

MAを主に扱っているマーケティング部門が「商談中」や「失注した」など顧客の営業フェーズや、「複数のキャンペーンに応募している」「オフラインイベントに参加し、アンケートに回答した」「商品を2回以上購入した」といった情報を把握できるようになり、顧客の状態に合わせてコミュニケーションの内容を変えることができます。

CRM(SFA)を主に扱う営業部門では、商談中の顧客のweb上での行動やメールの開封状況をチェックし、商談内容に活かすことができます。

ツールの連携により、普段使用しているツール上で異なる部門の情報を見ることができるので、学習コストをかけずにスムーズな情報共有ができるようになります。

One to Oneマーケティングの強化

MA・CRM(SFA)の連携によって、既存顧客へのコミュニケーションをより一人ひとりに合わせた内容で行うことが可能になります。

営業担当がつかずwebやモバイルアプリ上で取引が完結するサービスの場合、商品の複数回購入や契約プランのグレードアップなど、CRMで管理している顧客のステータス情報の変化にあわせたタイミングで、MAからレコメンドメールなどを自動送信できます。

セミナーへの参加履歴などの、MAでは直接収集しないオフラインの顧客接点で得た情報や行動履歴を、セグメントのようなMAで取り扱うことのできる形式にして連携し、施策の幅を拡げることができます。

関連:One to Oneマーケティングとは?パーソナライズとの違いや実践事例

リードナーチャリング、リードクオリフィケーションの品質向上

CRM(SFA)の優良顧客情報からMAのスコアリングの評価基準を作り、見込み顧客の評価に役立てることができます。また、スコアリングをもとにしたホットリードの商談状況を分析し、スコアリングの評価と改善を素早く行い、精度を高めていくこともできます。

関連:見込み顧客を育てる「リードナーチャリング」3つの手法と役立つマーケティングツール

顧客情報管理作業の効率化

MAのフォームなどですでに入力されている顧客情報をCRM(SFA)へ受け渡すことができるため、CRM(SFA)側での情報収集と入力の手間を省くことができます。商談中に変化した情報などもMA側に反映させることができ、部門間の細かなやり取りを行わずに情報更新が可能になります。

MAとCRM(SFA)の連携では実現できないこと

MA・CRM(SFA)以外のツール間のデータ収集との連携ができない

MA・CRM(SFA)の連携により顧客のオフラインイベントの参加状況や、ECサイトでの購買行動などを把握することはできますが、実店舗での購入履歴など、データが繋がっていないシステムがあることで把握しきれない情報があります。そのため、顧客が購入済みの商品のクーポンをMAで送付してしまうなど、誤ったコミュニケーションを取ってしまうことがあります。

MAとCRM(SFA)は親和性の高いツールですが、MAとCRM(SFA)のデータを他の施策ツールに連携することや、他のツール・システムからデータを取り込み活用することは難しい場合が多いです。

精度の高い分析やセグメンテーションができない

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MA・CRM(SFA)を連携しただけでは、2つのツールが対応していないチャネルでの顧客行動や、他の部門が担当している顧客とのコミュニケーション履歴を参考にすることができません。そのため、会社や組織全体で考えた時に各施策や顧客の正しい評価・分析がしづらく、精度の高いセグメントの作成も難しいです。

マーケティング・営業以外の部門連携ができない

MA・CRM(SFA)の連携により、それぞれのツールを扱っているマーケティング・営業部門の連携強化はできますが、コールセンターや店舗接客など、MA・CRM(SFA)の利用範囲から外れている他部門とのツールを通じた情報共有は難しいでしょう。

長期的な顧客データの活用ができない

MAはデータの保有期間や分析・データ抽出機能に制約があることが多く、CRM(SFA)に提供できるデータが限定されてしまい、長期的な顧客データの活用が難しい場合があります。

MAとCDPの連携

MAとCDPの連携で実現できること

オンライン・オフラインのデータ連携によるコミュニケーション

MAのみではタグを埋めたwebサイト上の顧客行動や、MAにて作成したフォームにて取得する顧客情報に限定されてしまいますが、CDPを利用して他ツール・システムと連携しデータと連携することで、オンライン・オフラインのさまざまなデータを組み合わせ、適切なコミュニケーションを取れるようになります。

例えばCDP側で持っているモバイルアプリの情報などから店舗の近くにいる顧客を把握し、その顧客に対してMAがメールやプッシュ通知を配信して来店を促進させることができます。

また、MAやCRM(SFA)では把握できない店舗での購入履歴を考慮したセグメントをCDPで作成し、そのセグメントに対しMAでメール配信を行うことで、顧客にとって不快なコミュニケーションを取るのを防ぐことができます。

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MAの施策結果のより高度な分析

MAの機能は施策実行に関わる部分が中心となっており、細かなデータの抽出や可視化ができません。CDPとBIツールを連携しデータを可視化することで、MAで行った施策の効果などをより詳しく分析することができます。

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LTV・顧客ロイヤルティを高めるための施策の実施

CDPは、MAでは難しい長期的かつ大量のデータの管理を得意としています。

MAとCDPの連携で顧客データを永続的に管理し、顧客の状況やライフステージの変化を記録・分析しながら、MAによって適切なタイミングで必要なコミュニケーションを取れます。

例えば、会員情報で子どもの有無や記念日の情報を保有している場合、登録日からの時間の経過から想定されるイベントに合わせた商品やクーポンを送付したり、記念日の◯日前に特別キャンペーンのお知らせを送付したりすることができます。会員情報に空欄がある場合、追加情報登録によって適用可能になるクーポンのメールを定期的に送付することなども可能です。

また、MA以外のツールのデータから算出したスコアリングも加味して評価された顧客セグメントに対して施策を実行するなど、施策や顧客の評価を総合的に行いLTVを高めていくことができます。

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他ブランド・グループ会社まで含めたデータ連携

CDPは他ツール・システムとの連携を前提に設計されているため、CRM(SFA)なども含めた他ツールの情報を集約できます。MA以外からも顧客理解のためのデータが集まり、より深い分析をした上でMAでのコミュニケーション施策を行うことができます。

さらに1つの企業の部門間連携だけでなく、グループなどの複数の企業レベルのデータを統合することが可能です。

例えば、顧客層が似ている複数のブランドがある場合、ブランドAの施策結果をブランドBの施策に役立てることができます。また、ブランドA・ブランドBでそれぞれ異なるMAを使用している場合でも、CDPによってデータがスムーズに受け渡され、すぐに活用できます。

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CDPとMAの違い

EVERRISEが提供するCDP「INTEGRAL-CORE」

MAとCDPは、連携することでより顧客理解を深め、顧客との適切なコミュニケーションに繋げることが可能になります。

弊社は、CDP「INTEGRAL-CORE」を自社開発・提供しています。「INTEGRAL-CORE」はノーコードで顧客データ管理、セグメント作成ができるため、マーケターの方にも扱いやすいツールです。

「INTEGRAL-CORE」で連携できるツール

「INTEGRAL-CORE」は、30以上のさまざまなツールと連携が可能です。MAツールだけでなく、BIツールのTableauやYellowfinとも連携でき、顧客分析をより強化できます。

INTEGRAL-COREと連携可能なツールについて、詳しくは下記ページをご覧ください。

関連:連携ツール|CDP「INTEGRAL-CORE」

ツール連携のための機能

「INTEGRAL-CORE」は、作成したセグメントを自動で外部ツールに受け渡すことができます。

S3やRedshiftなどへセグメントの出力ができるジョブ機能や、セグメント情報の受け渡しを自由に設計し、CSVファイル連携などを行えるセグメントエクスポートスクリプト機能により、あらゆるツール・システムとの連携を可能にしています。

「INTEGRAL-CORE」は、これまでTVerさまやhoyuさまなどを含め複数社の導入実績がございます。

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