2024.11.01

リードナーチャリングとは?成功事例と有効な施策例、失敗しない7つのステップ

リードナーチャリングとは?成功事例と有効な施策例、失敗しない7つのステップ

リードナーチャリングとは、リード(見込み顧客)の購買意欲を育成し、受注に結びつける施策のことで、デマンドジェネレーションと呼ばれるマーケティング活動の1つです。購入プロセスにおける検討期間が長いBtoBやBtoCの商材において、有効な方法とされています。

本記事では、リードナーチャリングの役割やメリット、効果的な5つの手法、実践のプロセスを紹介します。

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リードナーチャリングとは

リードナーチャリングとは、直訳すると「見込み顧客の育成」を意味します。潜在的なニーズを抱えるリードに対して、メルマガやセミナー、webコンテンツなどを通して有益な情報を中長期的かつ適切なタイミングで提供し、最終的に自社の製品やサービスへの購買意欲を高めていくための手法やプロセスです。

リードナーチャリングはリードを単に獲得するだけではなく、リードが自社に対して関心を持ち続け、最終的な購入に至るよう育成する点で、テレアポやweb広告などで「案件に繋がりそうなリード情報を獲得してアプローチする」ような従来の営業活動とは異なるアプローチです。

BtoBマーケティングのリードナーチャリング

リードナーチャリングは、特にBtoBのマーケティングに有効です。

BtoB企業においては、営業プロセスが数か月〜数年程度かかることが多く、BtoCに比べて検討期間が長い傾向があります。加えて、多くのBtoBの商材は特定の業界やニーズに対応しているため、対象となる顧客の数が限られリードの母数も少ないです。

よって、デマンドジェネレーションの中でも、初期からの関係構築や検討段階に応じたコミュニケーションを行うリードナーチャリングの成功が非常に重要です。

BtoCマーケティングのリードナーチャリング

購買の意思決定に時間がかかる商品であれば、BtoCにおいてもリードナーチャリングが有効です。例えば、自動車のような高額な耐久消費財の販売や、マンションや建売住宅のような不動産の販売、生命保険のような金融商品などです。

リードを育成する3段階のマーケティングプロセス

この説明だけでは分かりにくいため、より具体的な活動例とともに解説していきます。マーケティング・営業活動は、一般的に以下のような流れで展開されます。

リードナーチャリングのフロー

  1. 見込み顧客の獲得(リードジェネレーション:Lead Generation)
  2. 獲得した見込み顧客の育成(リードナーチャリング:Lead Nurturing)
  3. 育成した見込み顧客の絞り込み(リードクオリフィケーション:Lead Qualification)
  4. 商談
  5. 受注
  6. 維持・拡大

この一連の活動の中で、1〜3の領域をデマンドジェネレーション(営業案件の創出)と呼びます。デマンドジェネレーションの主な目的は、リードを獲得し、獲得したリードを育成して絞り込み、受注確度の高いリードを抽出して営業案件として営業部門へ渡すことです。

リードジェネレーション(見込み顧客の獲得)

リードジェネレーションとは、デマンドジェネレーションの出発点ともいえる部分で、見込み顧客(Lead)を獲得する(generatioin)ための活動のことです。例えば、以下の活動がリードジェネレーションに当たります。

  • イベントや展示会での名刺獲得
  • webサイトでの問合せや資料請求の獲得
  • 飛び込み・テレアポなどの営業活動 など

ここで獲得するリードの量や質がその後のマーケティング活動に大きく影響します。

デマンドジェネレーションでは、リードの属性や行動に応じて購買意欲の高まりを数値化する「スコアリング」という手法をよく用いますが、十分な数のリードを獲得できていなければスコアリングの精度を高めていくのが難しくなります。

ただし、大量のリードを獲得すれば良いわけでもありません。リードの件数が増えればデータ管理の手間も増えますし、DM送付やインバウンドコールなどを行う際のコストも増加するためです。

あらかじめ自社の顧客となる可能性があるターゲット層を明確にしたうえで、そこにフォーカスしてリードジェネレーションに取り組むことが重要です。この活動が上手くいくと、ターゲット顧客の調査とその管理に費やす時間を減らして、営業活動に割く時間を増やすことができます。

リードナーチャリング(獲得した見込み顧客の育成)

リードナーチャリングとは、見込み顧客(Lead)の購買意欲を育成(Nurturing)し、受注に結びつけるための活動のことです。例えば、以下の活動がリードナーチャリングに当たります。

  • ブログ・サービスサイト
  • リターゲティング広告
  • メルマガ
  • セミナー
  • DM など

ニーズが明確にあるリードはすぐに案件へと発展しますが、基本的に獲得したリードのすべてがすぐに顧客になることはありません。将来的に顧客になる可能性があるリードに対しては、購買意欲を高めるための継続的なアプローチが必要です。

企業の情報を一方的に発信するだけではなく、それぞれのリードが必要としている情報を提供することで、顧客心理の中にある経済的合理性や感性的欲求を刺激して「必要かもしれない」「知りたい」「欲しい」などといった欲求を顧客の中で高めていきます。

そのためには、消費者の生の声から潜在的ニーズを探り、それを商品やサービスに転換していくことが重要であり、さまざまなメディアやツールを駆使して段階的に消費者が必要、欲しいと思う地点にまで導くことが大切です。ニーズが発生したタイミングで必ず検討に入れてもらえるように、しっかりと取り組んでおきましょう。

リードクオリフィケーション(育成した見込み顧客の絞り込み)

リードクオリフィケーションとは、受注の可能性が高い見込み顧客(lead)を選別(Qualification)し、営業部門に渡す活動のことです。

これにより、一定の基準を満たした確度の高いリードだけが営業部門に引き渡され、効率よくセールス活動を行うことができます。

リードを顕在化させる方法としては、問合せや資料請求、セミナーへの参加、トライアル体験、メルマガ登録など多種多様なものがあります。この中から質の良いリードを選別するために、主にスコアリングを用いて可視化し、アプローチの優先順位をつけることが多いです。

スコアリングは以下の2つの観点から行います。

属性スコア:企業規模、業種、役職など属性情報によるスコアリング(理想的なターゲット)

行動スコア:webサイトへのアクセス、コンテンツのダウンロードなど行動情報によるスコアリング(購買意欲)

引用:福田康隆「THE MODEL マーケティング・インサイドセールス・営業・カスタマーサクセスの共業プロセス」翔泳社,2019年1月,P.96

例えば「役職が部長(10点)」「従業員数1000名以上(10点)」のようにリードの役職や会社規模などの属性ごとに点数をつけたり、「問合せ(10点)」「セミナー参加(8点)」「資料請求(3点)」「メール開封(1点)」のようにリードのアクションごとにも点数をつけて可視化します。

この時、行動スコアよりも属性スコアの精度を高めることの方が重要です。webサイトをくまなく閲覧し、資料請求を行っているリードがいたとしても、そもそも自社製品にマッチしないターゲットであれば時間を費やすべきではありません。

スコアリングを行う際は、まず属性スコアで絞り込みを行った後に行動スコアで購買意欲が高まった企業を抽出することが大切です。これにより、効率的なアプローチや無駄のないセールス活動が可能になり、売上の増加が期待できます。

ただし、スコアリングには注意点があります。例えば、スコアが100点のリードと70点のリードがいた場合、100点のリードの方が購買意欲が高いとは言い切れません。あくまでもフォローしきれない大量のリードの中から優先的にフォローする対象を見つけるために、スコアを絶対値ではなくしきい値として設定し、利用することが大切です。例えば、しきい値を60点に設定しておき、そのスコアを超えたものは比較的確度の高いリードとして判断するというやり方です。

スコアリングの作業は顧客が多くなるほど手間がかかるため、各部署のデータを一元管理して連携できるようにマーケティングツールの導入が必要な場合が多いです。加えてどのようにして営業部にリードを渡すのかについても検討が必要です。

スコアリングと混合して使用されることの多い言葉に「顧客ランク」があります。顧客ランクは顧客を購買行動や実績に応じてランク付け(重み付け)することで、両者とも顧客とのコミュニケーションを効率よく、かつ円滑に進めるために重要なマーケティング手法です。顧客ランクとスコアリングの違いや顧客と適切にコミュニケーションを取るための方法について、詳しくは下記の記事をご覧ください。

関連: 顧客ランクの付け方。スコアリングとの違いとランク付けに必要な分析

リードナーチャリングが重要視されている理由

デマンドジェネレーションを構成する3つの活動はいずれも重要ですが、近年、特にリードナーチャリングの重要性が高まっています。

購入プロセスの長期化・複雑化

インターネットが普及する前の顧客行動は認知・感情・行動の3つのプロセス(AIDMAの法則)で、購入に移るまでの時間は比較的短いスパンで、営業からのアプローチを待つか、自分から営業に連絡して情報を収集するのが一般的でした。

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しかし、インターネットが広く普及した現在では、AISCEASの法則として購買行動に「検索」「比較」「検討」といった行動が加わり、購入までのプロセスはさらに長期化・複雑化しています。以前のように営業が電話や訪問でアプローチしてきた時には、すでにいくつかの候補が絞り込まれて社内での検討に入っていたり、選定を終えていたりすることも少なくありません。

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加えて、顧客は能動的にインターネットで情報を調べることができるため、無理に売り込まれたくないという心理も働いており、買手主導の消費行動になっていると言えます。

企業はまだニーズが顕在化していないような早い段階から顧客と接点を持ち、継続的なコミュニケーションによって育成を行い、自社の製品やサービスを比較検討する際の選択肢に加えてもらう必要があります。

休眠顧客の増加

休眠顧客とは、過去に商談や契約まで至ったものの、その後一定以上の期間やりとりがない顧客のことです。過去に商談や契約に至った顧客に対して、フォローできずに放置した結果、休眠顧客となってしまっている場合も多いかと思います。

しかし、このままでは他社の製品やサービスを購入してしまい、機会損失に繋がってしまいます。実際にSirius Decision社の調査によると、フォローをやめてしまった顧客のうち、80%は2年以内に競合から製品・サービスを購入しているという結果が出ているのです。

休眠顧客は製品理解があるため、的確にアプローチすれば優良顧客になる可能性が高い顧客です。リードナーチャリングの効果はすぐには現れにくいですが、定期的なコミュニケーションを行い、休眠顧客とも接点を持ち続けることが重要です。

リードナーチャリングを行うメリット

リードナーチャリングを行うメリットは以下のとおりです。

営業効率が上がる

リードナーチャリングを行うことで、リードと信頼関係を構築し、顧客の囲い込みができるため、優良顧客の獲得が期待できます。また、営業はリードの温度感や課題を訪問前から把握できるため、優先順位をつけてセールス活動を行うことで成約率も高められます。

機会損失を防げる

リードを休眠させたままにした結果、他社に顧客を奪われることもあります。リードナーチャリングによって、新規顧客を追いながら、休眠顧客にもアプローチできるため、リードの分母を増やすことが可能です。

集客コストを削減できる

休眠顧客や潜在的なリードを逃すと、イベントや広告にかけた費用、営業活動にかけた時間の大部分が無駄になってしまいます。リードナーチャリングによって潜在的なリードに対して適切にアプローチすることで、集客コストも削減できるでしょう。

リードナーチャリング3つの施策と手法

リードナーチャリングの主な施策と手法3つを紹介します。

メール

リードナーチャリング施策として特に有効と言われているのがメールです。リードの興味・関心に応じて、メールの内容や配信スケジュールを工夫することで、購入意欲を高めていくことができます。

メール配信に必要な情報はリードのメールアドレスだけなので、取り組むハードルが低いです。社外とのコミュニケーションの手段としてメールを活用している企業も多いため、幅広い層にリーチできることもポイントです。また、クリック率や開封率などの効果測定もしやすいという特徴があります。

メールを使用したリードナーチャリングの手法は「ターゲティング(セグメント)メール」「ステップメール」「サンクスメール」「メールマガジン」の4つがあります。これらを包括して効果的に実施する方法として「シナリオメール」があります。

シナリオメールとは、リードの行動や興味に応じて適切なタイミングと内容でメールを配信する手法です。事前にリードのニーズや購買プロセスを分析し、段階的にメール内容を変えて配信することで、個々のリードに合わせたアプローチが可能になります。

ターゲティング(セグメント)メール

ターゲティング(セグメント)メールとは、年齢や性別、住所、訪問したページなどでリードの属性を絞り込み、対象となるターゲットのみに配信するメールのことです。ほかにも「資料請求をした方」「セミナーを申込んだ方」など見込み顧客アクションに応じて分類することもできます。

例えば、以下のような配信が考えられます。

  • 小売業界のリードに、小売業界の事例を配信
  • 自社セミナーを申し込んでいないリードに、セミナー開催の案内
  • マーケティング効率化に関連する記事をよく読んでいるリードに、マーケティング効率化に関連する資料の案内

顧客の属性に応じたメッセージやキャンペーンの案内などを配信することで、メールの開封率アップやお問合せ件数の増加が見込めるでしょう。

ステップメール

ステップメールとは、顧客の特定の行動を起点として段階ごとに配信するメールのことです。例えば、セミナーに参加したリードに対するメールの場合、以下のような内容を送ると効果的です。

  • 参加直後:「ご参加ありがとうございました」
  • 3日後:「セミナー参加者限定で初期費用割引キャンペーン中です」
  • 1週間後:「初期費用割引キャンペーンは今週で終了です。ご興味のある方は今週中にご連絡ください」

リードにとって興味がある情報を届けられるという点ではセグメントメールと似ていますが、ステップメールは「最適なタイミングと回数」という要素があります。見込み顧客の状況や現在のステータスに合わせて最適なコンテンツで届けることができ、顧客は企業が自分のことを理解してくれていると感じ、ロイヤリティが高まります。

日本国内では少子化や人口減少、市場の成熟などの影響を受けて、新規顧客獲得のコストが上昇しています。そのため、既存顧客のロイヤルティを向上させて継続的な利益獲得に繋げることが重要です。顧客ロイヤリティを高めるための手順や成功事例について、詳しくは下記の記事をご覧ください。

関連: 顧客ロイヤルティとは?顧客ロイヤルティ向上のための5ステップ&成功事例

サンクスメール

サンクスメールとは、リードがweb上のフォームから申し込みなどをした時に自動で返信されるお礼メールのことです。無事に申込完了できたかどうかを確認できるサンクスメールは、ほかのメールと比較しても反応率や開封率が高いことが特徴です。

そのため、リードを誘導したいサイトのURLを記載したり、次のステータスへと進ませるための情報を記載することも効果的です。

メールマガジン

メールマガジンとは、定期的に自社に関する情報を案内し、集客するためのメールのことです。メルマガは、自社が過去に名刺交換した人やメルマガ登録者など全員に配信するため、一部の人しか興味がないトピックよりも、多くの人が興味を持ちやすい情報の発信に適しています。例えば、会社の最新情報やキャンペーン情報、最新商品についてなどの配信が有効です。

しかし、ただ案内するだけではリードナーチャリングにはならないため、出席や参加というアクションに進ませる必要があります。そのためには、リードが有益な情報を得られることを説明し、参加する必要があることを文面から伝える工夫をしてみましょう。

オウンドメディア

オウンドメディアとは、自社が所有するメディアのことです。メールと並行して行われることが多いリードナーチャリングの1つです。

自社運営のブログや情報サイトなどのwebサイトで、リードにとって興味のある情報や有益な情報を発信し続けることで、自社に対する信頼や好感度を高めることができます。

オウンドメディア上でお役立ち資料や自社製品の紹介をし、お問合せや資料請求に繋げ、顧客情報の獲得を目指します。また、オウンドメディアの利点として、流入経路や離脱ポイント、直帰率、コンテンツの分析などが可能であり、次の施策に繋げやすいことも特徴です。

セミナー・イベント

セミナーやイベントもBtoBのリードナーチャリングの代表的な手法です。権威のある人物や営業力の高い担当者がセミナーを行うことで、効果の高い営業活動が行えます。

リードを自社セミナーや展示会に案内し、商品説明や事例紹介などを行い、アンケートや名刺交換を通して顧客情報を獲得します。

セミナーやイベントは、一度の開催で複数のリードにアプローチでき、メールやSNSといった別のアプローチにも繋げやすいという特徴があります。

リードナーチャリングを実践するための7つのステップとポイント

リードナーチャリングの施策を紹介しましたが、これを実践するためにはいくつか準備が必要です。

1. 顧客の情報を収集し、一元管理する

リードナーチャリングを行うためには、企業内に散在するすべてのリードの情報を1つに集約する必要があります。

企業には、セミナーや展示会などで入手した名刺やオウンドメディアで入手したメールアドレス、お問合せ履歴といったように、さまざまな顧客情報が存在しています。

しかし、このような顧客情報が一元管理されておらず、営業が個人で管理をしたり、部門ごとにシステムを使って管理していると、同じ企業の情報がバラバラに管理され、異なる営業部門が同じ顧客にアプローチしてしまう、といったことが起こります。

部署ごとにデータが分断され、連携されていない状態を「データのサイロ化」と呼び、データ活用に着手する多くの企業がまず直面する問題です。データのサイロ化の詳細や原因、解決方法について、詳しくは下記の記事をご覧ください。

関連: データのサイロ化とは?2つの原因と解決策、サイロ化を解消するツールを紹介

また、リードナーチャリングでよく使われるスコアリングも、一元管理できていなければ、正しくカウントできず、正確性が担保できません。まずは、 企業内の顧客情報をデータ化し、1つに統合するところから始めましょう。顧客データ統合のプロジェクトの進め方について、詳しくは下記の記事をご覧ください。

関連: 顧客データ統合の失敗ケースと最適な進め方|解決策となるデータ基盤のCDP

2. KPIを設定する

KPIとは「重要業績評価指標」のことです。最終目標であるKGIを達成するためのプロセスを具体化する指標であり、中間目標です。

効果的なリードナーチャリングを行うためには、数値化できる明確なKPIを設定することが重要です。達成したい最終目標に対して整合性があり、誰が見ても理解できるシンプルで測定可能な目標にすることで部署全体でゴールに向かいやすくなります。

まずは実施する施策のゴールを明確にし、そのゴールに到達するためにはどのような指標を達成する必要があるのか洗い出しましょう。

関連: KGI・KPIとは?企業別の事例と設定手順、KPIツリーの作り方

3. ホットリードの基準を定める

ホットリードとは、自社の商品やサービスに対して高い興味・関心を持つ見込み顧客を指します。効率的なリードナーチャリングを行うためには、どの段階の見込み顧客をホットリードとみなすのか、基準を明確にしておくことが重要です。

基準が定まっていないと、個人の認識の違いにより見込み度合いに適さない施策を実施してしまうなど、効率が低下する原因となります。よって、どのような行動反応をホットリードとするのか、スコアリングなどを活用して基準を明確化しておくことが大切です。

スコアリングでは、リードの行動や反応に基づいて点数を付け、購買意欲や関心度を数値化します。合計点数が高い見込み顧客をホットリードとして抽出することで、より客観的にリードを判断できるようになります。

関連: MAツールにおけるスコアリングガイド:効果を最大化する手順と注意点

4. 顧客をセグメントする

限られた時間やリソースの中で、顧客に効果的なアプローチを行うためには、一元管理したリードの情報をもとに顧客をセグメントし、アプローチすべき顧客を特定することが大切です。セグメントとは、性別や年齢、住所、職業、お問合せ履歴、購入行動など、さまざまな切り口で顧客を分類することです。

一口に「セミナー参加者」と言っても、セミナーのテーマによって参加者の課題や知りたい情報は異なりますし、製品の比較・検討をしている顧客なのか、ただ勉強のために参加している顧客なのかによってもニーズや購入意欲は大きく異なります。

それぞれのフェーズにあったコンテンツ作成やコミュニケーションを行っていくため、顧客をセグメントし、そのニーズを分析することによって、アプローチすべき顧客を特定することができます。

関連:セグメンテーションとは?2つの観点での活用方法と成功事例

5. 顧客を理解する

顧客に合わせたコミュニケーションを取るために、まずは顧客が製品やサービスに興味を持ってから購入に至るまでのステージを細分化し、商品が購入されるまでの流れやプロセスを分析していきましょう。あわせて顧客の課題にも目を向け、興味や関心があると思われるテーマを見つけておくことも重要です。

加えて、スコアリングなどで「購買意欲」や「関心度」といった指標で顧客をランク分けし、どの位置にいるのか数値に置き換えて可視化していきます。

顧客を理解することは、マーケティング施策を実行するうえで非常に重要です。市場の変化が激しい現代において、その重要性はますます高まっていますが、断片的なデータしか扱えておらず、顧客を正しく理解できていないケースも少なくありません。顧客理解を深めるポイントとそのために有用なツールについて、詳しくは下記の記事をご覧ください。

関連:顧客理解を深めるポイント|マーケティングの成功に必要なデータ分析

6. 適切なコミュニケーションを取る

見込み顧客をランクで分けたら、それぞれの課題に沿ってアプローチをしていきます。アプローチは上述で紹介した方法などさまざまあるので、適切な方法を選ぶようにしてください。

世界的なデジタル化が進む中で、顧客のニーズは急速に多様化しています。顧客にとって最適なサービス・体験を提供するためには、その時々で顧客とコミュニケーションを取る必要があります。顧客とコミュニケーションを取り信頼関係を構築し、選ばれ続ける企業となるための考え方について、詳しくは下記の資料をご覧ください。

無料資料:データによる顧客中心のコミュニケーション再構築|これからの市場で選ばれる企業になるために

データによる顧客中心のコミュニケーション再構築|これからの市場で選ばれる企業になるために

7. 営業部門とデータ連携をし、情報を共有する

最終的にリードにアプローチをして受注を目指すのは、営業部門の役割です。マーケティング部門が提示している商品やサービスの情報と、営業が提案する内容に齟齬が生まれないように、データや情報の連携を密に行いましょう。

顧客が矛盾を感じると「話が違う」「この会社は信頼できない」と感じて離れてしまうため、それぞれの部門がどのような情報をどのように提供しているのか、常に共有することが大切です。

リードナーチャリングの成功事例

CARTA COMMUNICATIONS

デジタルマーケティング全般のサービスを展開しているCARTA COMMUNICATIONSの事例を紹介します。

CARTA COMMUNICATIONS(CCI)では、新サービスの提供を開始しましたが、今までの事業と異なるサービス形態であるうえに、新サービスが始動した頃はコロナ禍に入ってすぐの時期だったため在宅勤務を始める企業が多く、テレアポを試みても誰も出ない、担当者が不在で取り次いでもらえないなど会話すらできない状況でした。

そのため、顧客とコミュニケーションを取り、サービス導入に繋げるリードナーチャリングに取り組み始めました。webセミナーを開催し、セミナーの参加有無やセミナー後アンケートの満足度、サービスへの興味度をもとに顧客の状況に合わせてシナリオメールを用意し、約5か月間コンテンツや手段を最適なものにしながらアプローチしていきました。

結果として、セミナー後のアプローチでアポイントを4件、シナリオメールの開封は51.9%、配信に対するクリック率は17.7%、開封に対するクリック率は32.7%と反応率の高い結果を残すことに成功しています。

リードナーチャリングに役立つマーケティングツール

MAとCRM(SFA)

リードナーチャリングは工数がかかるうえに、中長期的に継続して行う必要がある施策です。可能な限り効率化してミスを防ぎ、ほかのマーケティング施策にも工数を回すために、MAとCRM(SFA)の導入がおすすめです。

MAはメールの配信やフォームの作成、リードの各種情報を集計し管理することができるプラットフォームです。メールによるコミュニケーションを中心として、顧客のweb上の行動情報の取得やフォームの作成によるリード情報の取得、リードのスコアリングなど、リードの管理や育成に役立つ機能が備わっています。

対して、CRM(SFA)は、顧客との商談が開始して以降のプロセスにおいて、顧客との関係性を構築するために、顧客情報や商談情報を管理するツールです。主に企業情報や既存顧客の情報、キャンペーンに紐づいた購入履歴、メールなどのコミュニケーション履歴、予算実績管理、商談管理など、既存顧客情報や顧客接点に関する情報を管理することができます。

主にMAを使うのはマーケティング、CRM(SFA)を使うのは営業です。MAとCRM(SFA)をデータ連携させることで、MAで育てたリードの情報をCRM(SFA)に引き継ぐことができるため、スムーズな情報共有が可能になります。

ただし、MAとCRM(SFA)での連携だけでは対応しきれないケースがあります。それはオフラインの顧客データを使いたい時や、オンラインとオフラインの顧客データを組み合わせたセグメントを作成したい時です。

オンラインとオフラインで、顧客データとして扱えるものは下表のとおりです。

オンライン オフライン
顧客データとして扱える ・webサイト
・ブログ
・ファンサイト
・web広告
・メール
・FAQ
・アプリ
・展示会(名刺交換)
・紙媒体のアンケート
・DM
・接客
・サポートセンター
顧客データとして扱えない ・SNS ・テレビCM
・新聞広告
・FAX

オンラインの接点は、比較的簡単に顧客データの取得が可能ですが、オフラインの場合はそもそもデータ化することから始める必要があり、オフラインのデータを活かした施策を行いたい時にはMAとCRM(SFA)では対応しきれません。

例えば、紙媒体のアンケートに答えてくれた100名以上の人に対してメールを送って育成したい時や、店舗に来店したリードに対してお得情報をアプリのプッシュ通知を送りたい時、電話での問合せ内容をもとにwebサイトを充実させたい時などです。

また、webサイトで特定のページを見た人にLINEで通知を送ったり、ファンサイトを見ている人をアプリに誘導するなど、メールに限らないオンライン同士の施策でもMAとCRM(SFA)だけでは実施が難しいでしょう。

MAのメリットとデメリット、課題点について、詳しくは下記の記事をご覧ください。

関連:MA導入のメリット・デメリット、マーケティングオートメーションの課題とは

CDP

オフラインで接点を持った顧客のセグメント作成や、ほかのツールの情報も連携したい場合にはCDP(カスタマーデータプラットフォーム)が有効です。

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CDPは、さまざまなシステムやマーケティングツール間でバラバラで管理されているデータを統合・管理できる基盤です。

webの会員データやアプリのアクセスログ、店舗の購買データ、グループ会社のデータ、天気や位置情報に至るまで、さまざまなデータを収集・統合できます。

Customer Data Platform

CDPにあらゆる顧客データを一元管理しておくことで、さまざまな施策ツールを連携し、顧客とコミュニケーションを取ることが可能になります。CDPでできることの詳細や業界別の活用事例について、詳しくは下記の記事をご覧ください。

関連:CDPとは?機能や部門・業界別の活用例、今後の動向などをまとめて解説

下表はそれぞれのシステムで管理可能なデータの比較表です。CDPを用いることで、それぞれのデータを組み合わせなければできないセグメントやトリガー実行ができます。

データの例 MA CRM(SFA) CDP
web上の行動データ ×
オフラインの行動データ ×
アプリの行動データ ×
商談情報 ×
広告配信結果 ×
契約・購入履歴 ×
グループ会社のデータ × ×

CDPとMAを混合している方が多いですが、両者は役割や扱うデータが異なります。両者を連携することで、より幅広い施策が可能になり、顧客体験の最大化を実現できます。CDPとMAの違いや両者を連携したユースケースについて、詳しくは下記の資料をご覧ください。

無料資料:CDPとMAの違い|MAの不足点を解決するCDP

CDPとMAの違い|MAの不足点を解決するCDP

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