2022.11.09

KGI・KPIとは?企業別の事例と設定手順、KPIツリーの作り方

KGI・KPIとは?企業別の事例と設定手順、KPIツリーの作り方

DXに関する取り組みを進める企業が増える中で、データに基づいて意思決定を行うデータドリブンの考え方が注目されています。

企業経営においてKGI・KPIの設定・運用は必要不可欠ですが、データドリブンの考え方に基づいてより適切なKGI・KPIを設定するためには、データの統合・活用も重要です。

本記事では、KGI・KPIの説明と設定・運用方法を紹介し、データ統合がどのような影響を与えるかにも触れていきます。

なお、弊社EVERRISEでは最新のマーケティング・データ活用のトレンドをまとめた資料を公開中です。以下のボタンからダウンロード可能ですので、最新のトレンドを自社のマーケティング活動に活かしたい企業のマーケティング担当者は、本記事とあわせてぜひご活用ください。

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KGI・KPI・KFSの関係

KGIとKPIはセットで考えられますが、KGIは最終目標、KPIは中間指標を指します。企業全体や事業としてKGIを達成するために、部門やチームごとにKPIを設定します。関連する単語としてKFSについても説明します。

KGIとは

KGIとは「Key Goal Indicator」を省略したもので日本語では重要目標達成指標といいます。企業や組織全体において決まった期間での最終目標やゴールを示すもので、部門や部署に関係なく全員が認識して達成を目指す指標です。

例えば「昨年対比120%ECサイトの売上を実現する」「店舗の月次粗利を1000万円にする」など月次や年次の売上金額や利益などの具体的な指標が当てはまります。

KPIとは

KPIとは「Key Performance Indicators」の略で日本語では重要業績評価指標といいます。最終目標であるKGIを達成するためのプロセスを具体化する指標であり、中間目標です。

KPIを設定・計測してKGIの達成度を把握します。例えば「月次サイト訪問者数500万人」や「原価率20%」のようにこのあと説明するKFSを数値化したのがKPIです。

KFSとは

KFSとは「Key Factor for Success」の略語で日本語では重要成功要因といいます。類似語にCSF(Critical Success Factor)、KSF(Key Success Factor)があります。

目標を達成するために重要とされる要因を指し、例えば「認知度」「商品の価格」「魅力的な商品」のように数値化できない項目も含みます。

KGI・KPIを設定するメリット

KGI・KPIを設定するメリットを紹介します。

目標達成のプロセスを可視化、意思決定がしやすくなる

KPIを管理する際は、KGIからブレイクダウンしてKPIを設定し、各KPIを達成するためのアクションに落とし込みます。これにより、KGI達成のプロセスが明確になります。

また、KPIの設定によって定量的に目標の達成度合いが可視化され、現状の確認や進捗管理、評価がしやすくなります。KGI達成のために注視すべき指標とその現状が明確になるため、優先順位の判断や意思決定がしやすくなります。

明確な目標がモチベーションに繋がる

KGIによってチームとしてのゴールが明確になり、評価基準も統一され、全員で目指す方向性が一致します。

また、KPIを達成するための個人の目標も明確になり、取り組みやすくなります。これにより一人ひとりが組織の一員として働くモチベーションに繋がります。

KGI・KPIを設定する際の注意点

KGI・KPIを設定する際には「SMARTの法則」の5つの要素を意識しましょう。5つの要素について具体的に説明します。

Specific:具体的な、明確な

KGI・KPIは、漠然とした曖昧なものではなく、具体的で誰でも実感しやすい指標を設定しましょう。個人レベルで認識のズレが生じないものにする必要があります。

例えば「売上30%UP」や「契約10件獲得」のように具体的なものがふさわしく、「売上を伸ばす」「商品をヒットさせる」など達成の基準が分かりづらかったり、個人で差が生じる可能性のある目標はふさわしくありません。

Measurable:計測可能な

KGI・KPIは、数値で表現できるものを設定しましょう。例えば「件数」「回数」「率」などがあげられます。そして、これを「増やす」や「改善する」といった抽象的な言葉を目標にするのではなく、数値で目標を設定します。定量的に測定できないものを選ばないのがポイントです。

Achievable:達成可能な

努力すれば達成可能な数値や、評価に繋がりやすい指標をKGI・KPIとして設定しましょう。例えば、これまでの実績やいろいろな要素の影響を無視した現実とかけ離れた目標はモチベーションの低下にも繋がります。前期間の数値に基づいて達成見込みの立つ目標を設定すべきです。

Relevant:関連している

KGI・KPIは、目標に適切に関連しているものを設定しましょう。例えば「売上30%UP」というKGIに対して「セミナーに10回参加してスキルUP」というKPIを立てるのは、KPI達成がKGIの達成に直結しているとは言えません。

一方で「ECサイトのアクセス50%UP」というKPIはKGIである売上に関連しているといえます。KPIを達成することでKGIを達成できるような関係にある指標を選定しましょう。

Time-bound:期限が明確

目標達成には明確な期限を設けましょう。期限は、週・月・四半期・半期など組織ごとに適切な長さで定めると良いでしょう。期限を定めることで、緊張感を持ち集中して業務に取り組むことができます。また、一定の間隔でPDCAを回すことで、確実な業務の改善に繋がります。

KGI・KPIの設定手順と運用方法(KPIツリーの作り方)

実際にKGI・KPIを設定する手順と運用方法を説明します。KGI・KPIの設定にはKPIツリーと呼ばれるロジックツリーを利用するのがおすすめです。

KPIツリーはKGIをツリーの頂上に置き、そこから目標達成のためのKPIを細分化し、ツリー上に枝分かれさせていくことで、見落としや重複を防ぐことができます。また、全体の繋がりを可視化できるので、目標やその達成過程が分かりやすくなります。

KPIツリー

1. KGIを決める

はじめにKGIを設定します。実際には経営層や組織の上層部でKGIを検討し、設定しますが、組織の全員がKGIをしっかりと認識し意識している状態にすることが大切です。

2. KFSを特定する

企業としてのKGIを設定したら、事業部や各部門ごとに目標達成までのプロセスを洗い出しKFSを特定します。KFSの特定には市場や顧客、社内環境の分析が不可欠です。洗い出した要因やプロセスの中でコントロールしやすく、目標に与える影響の大きいものをKFSとします。

3. KPIを決める

事業部や部門ごとに洗い出したKFSをもとに、SMARTの法則に従って具体的な数値目標としてチーム単位でKPIを設定します。

KPIは適切な数で設定することも重要です。重要な指標を正しく絞り込めていないとKPIを多く設定しすぎてしまいます。また、KPIが少なすぎる場合は現状や課題の分析が十分でないことが考えられます。どちらの場合もKGIの達成が難しくなるため、十分な分析と適切なKPIの設定が必要です。

4. 具体的なアクションに落とし込み、PDCAを回す

KPIを達成するために必要なPDCAを回します。まずはKPIツリーのKGIからKPIへ落とし込んだものを、さらに具体的なアクションへと落とし込みます。設定したKPIを達成するためにはどのようなアクションが必要かを明確にし、実行しましょう。

そして、定められた期間で達成度合いの評価と現状の把握、達成・未達成の原因の分析を行い、改善へ繋げます。KGI・KPIを設定して運用、目標を達成するには、定期的に振り返りを行い、必要であれば軌道修正をしていくことが重要です。

関連:デジタルマーケティングの効果測定の方法と指標、分析に役立つツール

KGI・KPIの具体例

適切なKGI・KPIは組織によって異なります。業態別にKGI・KPIの具体例を紹介します。

BtoB企業のKGI・KPI例

BtoB企業のKGI・KPIの例を紹介します。企業全体の1年間のKGIを「売上10%UP」とした場合、考えられるKPIの例は下記のようになります。

kgi kpi 02

マーケティングのKPI

  • 新規リード獲得数
  • 展示会でのリード獲得数
  • お問合せ数
  • 既存リードアクティブ化数
  • 資料ダウンロード数
  • セミナー参加者数 など

マーケティングでも特にwebの分野は結果を数値化しやすく、KPIに設定しやすい指標です。KGIである「売上10%UP」を達成するために、各施策から獲得できる有効なリードの割合や、リード全体に対しての営業の商談化率、商談からの契約率などを分析、逆算して使える予算も考慮してそれぞれの指標の数値目標を決める必要があります。

営業のKPI

  • 新規契約数
  • 新規商談数
  • 受注率
  • 契約更新率
  • 契約単価 など

BtoBの営業では、マーケティング部門が獲得したリードに対して、いかに商談を作り出し、受注率を上げるか、以下に高単価で契約できるかと言った観点でKPIを設定します。マーケティング部門のKPIとの関連性も非常に重要です。

KGIを達成するためには、商談化、契約に繋げるためにアタックするリードがどれくらい必要なのかがマーケティングのKPI設定の基準になります。

メーカー・製造小売企業のKGI・KPI例

次に自社でECサイトや実店舗を持つメーカー・製造小売企業のKGI・KPIの例を紹介します。BtoBと同じく、1年間のKGIを前期と比較して「売上10%UP」と設定した場合のマーケティングと営業のKPIはそれぞれ下記のようになります。

kgi kpi 03

マーケティングのKPI

  • ECでの購入者数
  • EC顧客単価
  • ECサイト訪問者数
  • ECサイト購入率 など

ECサイトをもつメーカー・製造小売業では、ECサイト関連の数値がマーケティングの主なKPIになります。KFSである「ECサイトの売上を増やす」を実現するために、購入者数と顧客単価の二軸でKPI、実際にはその先にアクションをブレイクダウンして設定します。

営業のKPI

  • 取り扱い店舗数
  • 店舗平均売上 など

メーカー・小売企業の営業活動のKPIとして、例えば直販店以外の取り扱い店舗に関係する数値を設定します。自社の製品を取り扱ってくれる店舗(企業)をいかに増やすか、販売店舗での自社商品の平均売上をいかに増やせるかで店舗経由の売上が決まります。

関連:メーカー・製造業界のデータ活用
関連:小売業界のデータ活用

なお、昨今の消費行動の多様化に伴い、特にBtoC企業は消費者の多様なニーズに対応する必要が出てきました。Z世代に増加傾向である「イミ消費」「エモ消費」を筆頭に、多様化する消費活動と企業が対応するべきことについて、以下の記事にまとめたのであわせて参考にしてください。

関連:モノ消費からコト消費、さらにトキ消費へ。Z世代はイミ・エモ消費が増加

高単価・中長期検討商材を扱う企業のKPI・KGI例

保険や車、住宅など商品が高単価で顧客が購入までに中長期の検討を要する商材を扱う企業のKGI・KPIの例を紹介します。先に紹介した2つと同じく1年間のKGIを「売上10%UP」とします。

kgi kpi 04

マーケティングのKPI

  • 新規リード獲得数
  • web広告のクリック率
  • 自然流入件数
  • 既存リードアクティブ化数
  • メルマガ開封率
  • イベント参加者数 など

すぐに購入に至らない商材を扱う企業のマーケティングでは、新規リードの獲得ももちろん大切ですが、いかに既存のリードと継続してコミュニケーションを取り、ファンになってもらいモチベーションを高めるかが重要です。よってKPIにもそれに関連した指標を多く設定します。

営業のKPI

  • 新規契約件数
  • 商談数
  • 契約率
  • 継続率
  • 既存顧客単価 など

営業担当の活動が直接売上に繋がる営業では、直接顧客に対面でアプローチし、最終的にどれだけ契約・購入してもらえるか、継続利用してもらえるかがKPIとなります。

関連:カーディーラー業界のデータ活用
関連:不動産業界のデータ活用

KGI・KPIとデータの活用

より適切なKGI・KPIの設定、効率的な運用には根拠となるデータが必要不可欠です。必要なデータをどのように収集・管理・分析し、KGI・KPIの設定、運用に役立てるべきかを紹介します。

KGI・KPIの設定・運用には、必要な指標を数値化して分析できること、また関係性を確認するために常に最新の状態で、データを管理できるデータ基盤が必要です。

KPIの設定に有効な顧客分析

KPIを設定する過程にKFSの特定がありますが、漏れなくKFSを洗い出すには顧客分析が必要です。さらに、KGIに繋がるKPIにすることはもちろん大事ですが、数字だけにとらわれるのではなく、達成することで顧客に価値を提供できるKPIを設定するべきです。

顧客分析によって顧客を正しく理解し、顧客価値を提供することを忘れてはいけません。正しい顧客分析のためには組織内の顧客データの統合が必要です。

関連:ユーザー分析・顧客分析の重要性と6つの手法。分析データの活かし方

データ統合で見えてくる正しい目標

組織内のデータが分断された状態でKGI・KPIを設定すると、本当は関連や影響がある数値を要素として考えられないことで、正しい目標が見えていない可能性があります。

例えば、下記の図のようにweb広告がきっかけでECサイトを訪れ、最終的に実店舗で購入する顧客が一定数いた場合、オンラインとオフラインのデータが統合されていなければ、実店舗で購入に至った成果をweb広告の成果として計測できません。

kgi kpi 05

この場合、実際に上げている成果よりも過小評価されてしまい、web広告におけるKPIの値が正しく設定できないという問題が起こります。

そこで、オンラインとオフラインの顧客データを統合し、1人の顧客の購買行動を一元管理することで施策結果を正しく計測でき、より正しい目標を設定することに繋がります。

関連:顧客データ統合の失敗ケースと最適な進め方。マーケティングDXにおける重要性

目標と現状を見える化

設定したKPI・KGIは、達成度合いを含め、いつでも簡単に見れる状態にすることが大切です。可視化の手段の1つはKPIツリーで、目標との関連性を視覚的にも確認できる点がメリットです。もう1つは、BIツールなどを利用して大量にあるデータの中から必要な数値を可視化し、レポートを自動化するなどの仕組みを作ることです。

いずれの場合も、設定したKPI・KGIに対する進捗状況を見たい時にいつでも簡単に確認できることが重要です。

下記の資料では、BIツールを活用して、企業内の分析データをもとにした意思決定や施策の改善を行う方法を紹介しています。よくある失敗例やその解決策も紹介しているので、データドリブンでマーケティング施策を進めるための参考資料としてご活用ください!

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KGI・KPI設定におけるデータの管理に有効なCDP

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CDPのデータ収集・統合・変換・連携

顧客データを常に最新の状態で保持し、BIと連携することでレポートの自動化やダッシュボードで現状を見える化し、MAや他のアクションツールと連携することで、分析・立案・実行までを一元管理することができます。

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「CDPとは?」といった基本的な説明やCDPを活用した具体的なマーケティング施策について、下記の記事で詳しく紹介しているのでぜひご覧ください。

関連:CDPとは?カスタマーデータプラットフォームの機能やメリット、活用例を解説

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