2021.12.22

顧客データ活用のために収集すべきデータの種類、管理法を事例付きで紹介

顧客データ活用のために収集すべきデータの種類、管理法を事例付きで紹介

DX推進を行ううえで、企業はさまざまなデータの活用が必要ですが、その中でも「良質な顧客体験」を提供するために、顧客データの活用が重要だとされています。

本記事では、顧客データ活用の重要性やメリット、各業界における活用事例、活用するために必要な5つのステップを紹介します。

顧客データ活用が注目されている理由

各企業で顧客データ活用が急ピッチで進められている理由は、顧客のニーズを正しく分析し、顧客満足度および売上を向上を図ろうとする動きが強まっているためです。

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以前はマスコミュニケーションによって消費者全員に同じ広告を配信して店舗の来店を促し、購入につなげることができていましたが、近年ではインターネットやスマートフォンの普及により、顧客の行動やニーズが複雑化しています。購買プロセスにおいても、ネットとリアルを縦横無尽に行き来するようになりました。

加えて、セールスフォースの調査によると、今後メインの消費者となる1981年以降に生まれたミレニアル世代の86%は「より良い顧客体験を受けるためならより多くのお金を払っても良い」と回答しており、どれだけ自分に合った体験やコミュニケーションを提供してくれるかが重要になってきていることが分かります。

長年の勘と経験のみでは通用しない時代に突入しており、企業は長期的に顧客データを蓄積し、より深く分析したうえで顧客一人ひとりに合わせたコミュニケーションを取ることで、顧客満足度の向上に努めていく必要が出てきています。

近年では、このようにデータをもとにした分析や施策を進める取り組みを「データドリブンマーケティング」と呼び、顧客データの活用が重要視されるようになっています。

顧客データを活用するメリット

顧客データを活用することで得られる主なメリットは次のとおりです。

事実に基づいた適切な判断と施策の立案ができる

顧客の趣向や関心、行動をデータとして扱うことで、顧客のニーズやターゲット、成功・失敗パターンを洗い出し、推測ではなく事実に基づいた適切な判断ができるようになります。

例えば、商品のターゲット層を決める際に、勘や経験のみで設定してしまうと、実際にニーズのある層とは異なる層にプッシュし続けてしまうことがあります。これでは施策も的外れなものとなり、ブランドの価値を下げてしまったり、思った売上にはつなげられません。

事実に基づいた正確なターゲット設定、顧客理解によって顧客のニーズに応えることができますし、顧客データを収集し続けることで別の購買層を見つけることもできるでしょう。

良質なコミュニケーションにより顧客満足度を向上できる

顧客データを統合すれば、正しくセグメントを作成することができ、顧客一人ひとりに合わせたコミュニケーションを取ることができます。

また、顧客データをリアルタイムで集計・分析すれば、顧客に対して常に最新の情報を提供でき、顧客がその瞬間に関心の高い商品を紹介できれば、購入する可能性が高まります。

逆に顧客データを正しく使わずコミュニケーションを取れば、顧客にとって鬱陶しい情報でしかなく、顧客満足度は低下してしまいます。

効率的なマーケティング・営業活動を行える

顧客データを活用すれば、効率的なマーケティング・営業活動も可能になります。

顧客データは顧客の名前や住所などの基本情報から、webでの行動や問合せ履歴、購入履歴など多岐に渡ります。年々アプローチ手法も多様化している中で、紙やExcelでの管理では対応しきれません。

また、営業の効率化というと、顧客との関係性が薄まるように感じる方もいるかもしれませんが、効率的な営業活動とは顧客との関係性をより深め、適切なフォローを行えるようにすることです。

例えば、顧客のフェーズを管理して成約する確率の高い顧客からアプローチするようにしたり、商談の前に顧客の情報を把握することで顧客にマッチした情報を提供したりすることで成約率を高めることができます。

新たなビジネスの立案を実施できる

顧客データ活用を進める中で、新たなビジネスチャンスが生まれることもあります。

単体では意味をなさなかった顧客データも、他のデータと組み合わせることにより、今まで思いつかなかったビジネスの課題が浮き彫りになったり、新商品・新サービスのアイデアに繋がるヒントを見つけたりできるようになるかもしれません。

実際にデータ活用から生まれた新商品・新サービスは数多くあります。新たなビジネスチャンスによって、自社の売上アップに繋がる可能性もあるでしょう。

各業界における顧客データの活用事例

大手企業の顧客データの活用事例を紹介します。各業界においてそれぞれ課題があり、その解決策と顧客データの活用方法についても紹介します。

小売業界:セブンイレブン

コンビニ最大手であるセブンイレブンの事例を紹介します。

セブンイレブンは従来のシステムにおいて、システムごとにデータと業務ロジックが結び付いており、データを他の目的で取り出すことが難しく、データ分析に時間がかかっているという課題を持っていました。

そこで、データ活用の促進を中長期経営計画に挙げ、その具体的なアクションとして、全21,000店舗のPOSデータを収集・分析し、状況をリアルタイムに把握するビッグデータ活用基盤の構築に取り組みました。

汎用性・即効性のあるデータの一元管理と、業務ロジックとデータを切り離した設計にしたため、さまざまな目的でさまざまなデータを取り出すことによって、各部からの要望に対してスピーディーな対応に成功しました。

一方で、小売業界はこのように売れ行きが良い企業と伸び悩んでいる企業の差が激しい業界です。うまくいっていない小売企業は来店動機や売上への関与が正しく評価できない、アプリや会員カードの利用が増えない、チラシ(紙)の販促が主体なことが要因であると考えられます。

こういった小売業界のデータ活用における課題やその解決策について、詳しくは下記の記事をご覧ください。

関連:小売業界のデータ活用

EC業界:Amazon

データ活用の先駆者であり、eコマース世界No.1のAmazonの事例を紹介します。

現在のECでは、商品を買うために会員登録をし、自分に合ったおすすめ商品が表示され、最短1日で商品が届くといったことは当たり前になっていますが、これらはすべてAmazonがデータ活用から誕生させたものです。

Amazonはさまざまな疑問からデータの分析を始めました。

  • 商品の届け先住所から一番近い書店あるいはショッピングセンターとの距離によって、顧客がアマゾンで買い物をする頻度や購入金額は変わるだろうか
  • 顧客が利用するクレジットカードによって、将来の購買パターンについて何か予測できないか
  • 2つ以上の商品カテゴリーで買い物をした顧客は、本しか買わない顧客より1年間の買い物総額が多いだろうか
  • 昼と夜とで同じ顧客でも買うものは違うだろうか

引用:アンドレアス ワイガンド「アマゾノミクス データ・サイエンティストはこう考える」

このような地道な分析を経て、今のプラットフォームができ上がっています。Amazonのデータ活用によって、オンラインとオフラインが融合する「OMO」の概念が大きく進んだとも言えるでしょう。

Amazonを始めとしてEC業界は市場が伸び続けている一方で、自社ECを軌道に乗せられていない企業は多いです。それらの企業の課題として、新規顧客やリピーターが増えない、実店舗とECの店舗が独立している、客単価が低いといったことが挙げられます。

こういったEC業界のデータ活用における課題やその解決策について、詳しくは下記の記事をご覧ください。

関連:EC業界のデータ活用

アパレル業界:ベイクルーズ

アパレル大手のベイクルーズの事例を紹介します。

ベイクルーズは、社内のDXとデータを活用した顧客体験を実施し、2020年8月期決算でEC売上高が前期比29%増の510億円を達成しました。

2014年にオムニチャネル強化を打ち出したベイクルーズは、物流拠点の一元化、在庫や会員データ、ポイントプログラムの統合などを進め、2016年までにオムニチャネル化を完了。2017年には「データドリブンな組織」への変革を掲げ、DX推進を加速させています。

現在は、EC事業で蓄積した知見・ノウハウを体系化し、ブランドが抱える多様な課題を解決していく360°全方位支援プログラムと、誰もがデータにアクセスできる環境を作り、データをもとに意思決定できる文化を根付かせる仕組みを整備しています。

アパレル業界では消費者のオンラインシフトに伴い、店舗の役割や顧客へのコミュニケーション方法を見つめ直すことが求められています。消費者は実店舗に行かずともアプリで情報を得たり、ECサイトで買い物ができるようになりました。

顧客にとって便利でストレスのない買い物をしてもらうためには、さまざまなチャネルでのアプローチが必要ですが、複数のチャネルを持つということはデータを管理する基盤も必要になります。

こういったアパレル業界のデータ活用における課題やその解決策について、詳しくは下記の記事をご覧ください。

関連:アパレル業界のデータ活用

不動産業界:住友不動産販売

住友不動産グループの住友不動産販売の事例を紹介します。

不動産業界は、長年電話やFAXでの対応が多く、各営業店舗ごとに、近隣の宅建業者に対して1社ずつ連絡して、物件を紹介するというやり方が主流となっていました。

そんな中、人力による対応には限界を感じた住友不動産販売は、取引先である6,000社の宅建業者に対して、本社が物件情報を一括で発信し、業者による入札を経て、顧客に業者買い取り価格の最高値を提示、購入申し込みを一元管理することで、スピーディーで、合理的な仕組みに改革することに成功しました。

不動産業界では、接点ごとにバラバラになってしまっているデータ、デジタル化されていないデータ、事業部・事業会社ごとに管理され活用しきれないデータによる、適切な評価・コミュニケーション・資産活用の観点の課題が存在します。

こういった不動産業界のデータ活用における課題やその解決策について、詳しくは下記の記事をご覧ください。

関連:不動産業界のデータ活用

ホテル・旅館業界:星野リゾート

総合リゾート運営会社である星野リゾートの事例を紹介します。

星野リゾートのリゾナーレ八ヶ岳のブライダル事業では、Excelで来館管理をしていましたが、ファイル紛失のリスクや共有作業の煩雑さを考慮し、クラウドでの顧客管理を始めました。

webからの予約はAPIで直接クラウドに取り込むことで入力の作業を削減し、BIツールとの連携により営業およびマーケティングのデータを毎日レポート形式で可視化することで、キャンセル率50%減に成功しました。

ホテル業界では、OTA依存による利益の圧迫や、顧客が多数の情報を持ってホテル・旅館を選べる状況によるリピート率改善の難化などの課題が大きくなっています。さらに、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行により、客室の稼働率が大幅に低下するという状況も重なっています。

ただし、ワクチン接種も浸透し宿泊需要の回復が期待できる状況になってきていることから、あらためてホテル・旅行業界における課題に取り組むべきタイミングであるとも言えるかと思います。

ホテル・旅館業界のデータ活用における課題やその解決策について、詳しくは下記の記事をご覧ください。

関連:ホテル・旅館業界のデータ活用

顧客データを活用するために必要な5つのステップ

顧客データを活用するためには、5つの必要なステップがあります。

ステップ1:顧客データの収集

まずは必要な顧客データを収集することが必要です。

収集すべき2種類の顧客データ

収集すべき顧客データは、大きく分けて属性データと行動データの2種類あります。

顧客データの種類 属性データ 行動データ
データの例 ・氏名
・住所
・生年月日
・メールアドレス
・家族構成
・趣味や嗜好性 など
・購買履歴(訪問回数や滞在時間、購入した商品、購入金額)
・位置情報
・webサイトの訪問履歴
・SNS上の行動 など
データの取得方法 ・会員登録
・アンケート(紙媒体、モバイルなど)
・問合せ履歴 など
・ID-POS
・webトラッキング
・店舗のビーコン など

属性データだけでは「女性・20代・神奈川在住・未婚」といったデータになるため、顧客がどのようなプロセスを経て購入にしたのかを推測することしかできず、アプローチや顧客接点の課題を見つけることは非常に難しいです。

行動データも収集することで、顧客がいつ、どういった行動を取ったのか、同じような行動パターンの顧客はどのくらいいるのか、アプローチ施策に対してどのような反応をしたのかなど、すべて事実に基づいて分析や改善施策を回すことが可能になります。

顧客データを収集する時の注意点としては、属性データでも行動データでも、可能な限り取得時点で自由記述ではなく、選択式のものにしておくことです。データとして扱いやすいものになるため、データの取得方法自体を検討する必要があります。

ステップ2:顧客データの整形

顧客データを収集したら、データの整形を行います。すべてのデータを整えなければ、正しく分析することはできません。

例えば、顧客数100人だと思っていたものが、顧客が重複してカウントされていたために、実際は70人しかいないとなれば、分析結果が大きく変わってくるでしょう。これがさまざまなデータで数百、数千とズレが起きれば、実態と乖離が起き、まったく使えないデータになってしまいます。

そうならないために、重複や誤記、表記ゆれを削除・修正してデータの品質を高める「データクレンジング」と、複数のデータベースにある顧客データを1つの顧客データとして統合する「名寄せ」を行う必要があります。

データクレンジングと名寄せについて、詳しくは下記の記事をご覧ください。

関連:データクレンジングと名寄せとは?顧客データを正確に管理する方法

ステップ3:顧客データの統合・管理

正しく整形したデータは、1つのプラットフォームに統合して、一元管理できるようにします。顧客データがさまざまなマーケティングツールでバラバラに管理されていると「データのサイロ化」が起きてしまうことが多々あるためです。

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データのサイロ化が起きると、ツール単位・施策単位でしか顧客を理解できなかったり、部署間で顧客データを共有することも難しいです。また、マーケターがCRMのデータをCSVでMAに移すといったような手間や、社内のレポートを作成するときにExcelでの加工が必要になったりと、作業コストが大きくなります。

よって、顧客データを活用できる環境を整えるために、顧客データを統合し、一元管理しておくことが重要です。顧客データ統合について、詳しくは下記の記事をご覧ください。

関連:攻めのDX推進に必要な顧客データ統合の失敗ケースと最適な進め方

ステップ4:顧客データの分析

一元管理した顧客データを使って、顧客の分析を進めます。

顧客理解を深めるための分析方法は主に「行動トレンド分析」「セグメンテーション分析(クラスタ分析)」「RFM分析」「デシル分析」と4つあります。ユーザー分析について、詳しくは下記の記事をご覧ください。

関連:ユーザー分析の重要性と手法

加えて、昨今のマーケティングは、より顧客の気持ちを洞察し、隠れた本音や根拠を掘り下げることが競合との差をつけるために必要であることから「顧客インサイト」を得ることも効果的です。顧客インサイトについて、詳しくは下記の記事をご覧ください。

関連:顧客インサイトとは?事例から学ぶ顧客の本音の見つけ方

ステップ5:分析結果をもとに施策の実施・改善

顧客を深く理解したら、その結果をもとにセグメントを作成し、顧客一人ひとりにあった施策を実施していきます。

セグメントを作成する時にも注意が必要です。例えば、新店舗の開店をメールでお知らせする時に来店できないような遠い距離の顧客にも通知してしまったり、同じ内容のお知らせを同じ顧客にメールとLINEの両方で通知してしまう、などはせっかくの分析が水の泡になってしまいます。適切なセグメントを作成して、良いコミュニケーションを取っていくことが大切です。

また、良い顧客体験を提供するためにCXMに取り組むことも効果的です。CXMとは顧客体験の向上において、購買行動のすべてのプロセスで「良い体験を作る」ことにフォーカスし、タッチポイント・チャネルと部門におけるすべての顧客体験を管理することです。CXMについて、詳しくは下記の記事をご覧ください。

関連:CXMとは?顧客体験の向上に役立つ理由と成功させる5つのポイント

顧客データ活用を助けるCDP

顧客データ活用において重要なのは、改善を繰り返していくことです。一度やって終わりではなく、PDCAを常に回していくことで顧客のニーズに応えてることができます。そのためには、常に変わる顧客の行動データを収集し、分析、施策につなげるインフラが必要です。

そのインフラとして、CDP(Customer Data Platform)が1つの解決策となります。

CDPとは「カスタマーデータプラットフォーム」の略称で、企業の顧客に関するデータを管理し、顧客一人ひとりを理解するための基盤のことです。CDPについて、詳しくは下記の記事をご覧ください。

関連:CDPとは?カスタマーデータプラットフォームの機能やメリット、活用例を解説

顧客データを一元管理できる

CDPは各ツールから顧客に関するすべてのデータを収集して「実在する個人」にデータを紐づけて統合します。これにより顧客データを漏れなく、重複なく管理し、施策に活かすことができるようになります。

マーケティングツールに連携して施策を実施できる

CDPは顧客理解をした後に顧客により良いアプローチをするために、分析・施策を行うツールと連携できるようになっています。CDPで正しいセグメントを作成し、BIツールやMA、プッシュ通知、web接客ツールなどに連携可能です。

まとめ

顧客データ活用が注目されている理由や、活用方法について紹介しました。

新規での顧客獲得には既存の顧客維持の5倍のコストがかかると言われていますが、だからと言って既存顧客だけにフォーカスしていても、新規の顧客が一定数入ってこなければ、売上を確保していくことは難しいです。

企業は優良な新規顧客を増やして、それを維持していく必要があり、そのためには顧客データを活用して効率的に顧客満足度を向上させていく必要があります。


弊社EVERRISEでは、顧客データをノーコードで管理できるCDP「INTEGRAL-CORE」を提供しており、これまでTVerさまやhoyuさまなどを含め複数社の導入実績がございます。

また、CDPの提供だけでなく、デジタルマーケティング領域における300件以上の開発実績で培ったノウハウから、データ活用基盤構築のためのコンサルティングや自社の基幹システムを含めた各種システムと連携を行うための開発も可能です。

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