2022.06.22

DXとデジタル化の違いとは?3つの部門別に見るDX推進例

DXとデジタル化の違いとは?3つの部門別に見るDX推進例

「DX(デジタルトランスフォーメーション)」という言葉や、また同時に「デジタル化」という言葉を耳にする機会は多いかと思います。共通している部分もありますが、これらはそれぞれ異なる考え方で、各所とコミュニケーションをするうえで共通認識を持っていないと齟齬が起きやすい言葉です。

本記事では、DXとデジタル化の違いを例を交えながら紹介します。

DXとデジタル化の違いは「目的」

デジタル化は、手段をアナログからデジタルに変えること

デジタル化は、今までアナログで行っていた手段をデジタルに変えることを目的とした言葉です。

ハンコが必要だった書類のフローを電子サインで可能にしたり、紙で管理していた顧客の名簿をCRMツールを導入することでデジタルで管理したりなど、デジタル技術を取り入れて、アナログで行っていた業務から切り替えることをデジタル化といいます。

ただし、単にシステムを導入して、業務を行うための手段をアナログからデジタルに変えただけでは、デジタル化は達成できても、DXを達成とは言えません。

DXは、デジタル技術を活用して競争力を強化する

DXは、アナログだった手段をデジタルへの移行(=デジタル化)を経て、業務効率化・生産性向上の先にあるビジネスモデルの変革までも視野に入れて取り組むものです。

DX(デジタルトランスフォーメーション)は、元々は2004年にスウェーデンのウメオ大学教授であるエリック・ストルターマンらが発表した論文「Information Technology and The Good Life」の中で提唱された概念が起源と言われています。この論文の中でDXは「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」と定義されています。

日本では、経済産業省が2018年に発表した「DX推進ガイドライン」の中で、DXを次のように定義しています。

企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズをもとに、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。

このように、どちらの概念を見てみても「IT化」「デジタル化」という言葉を使ってDXの概念を提唱しています。これらが、多くの方がデジタル化とDXを混合してしまう1つの要因かもしれません。

例えば、DXの成功事例でよく耳にするJapanTaxiでは、タクシーの配車依頼がスマホアプリだけで完結する日本初のアプリ「日本交通タクシー配車」をリリースしました。

デジタル化の文脈で見れば、長年、タクシー乗り場や路上で顧客を案内したり、電話からの問合せをオペレーターが引き継いただりなどアナログで行っていた配車依頼を、アプリというデジタル技術に置き換えることができた点が成功と呼べるでしょう。しかし、単にアプリを導入するだけでは、DX推進とは呼べません。

アプリには、顧客が好きな時に好きな場所でタクシーを呼ぶことができ、到着までの時間が表示されたり、今タクシーがどこを走っているのか表示されるGPS機能が揃っています。また、リリースから翌年にはネット決済のサービスを追加され、配車依頼から決済までアプリ1つで完結させました。

従来、タクシー乗り場や路上で通りかかるのを待つしかなかったタクシーの不便さをなくしたことにより、顧客へタクシーという漠然とした交通手段の利用ではなく、明確にJapanTaxiを利用してもらうえるよう促すことに成功しました。競合との差別化を図り、競争力強化に繋がった例であると言えます。

JapanTaxiは、競争力の強化では留まらず、現在はタクシーを「走るセンサー」としての可能性を考え、GPSの位置情報を、道路状況の改善などの社会の有用な手段として活用できるのではないかと考え、タクシーのイメージを変えるために、DX推進を今もなお進めています。

このように、デジタル化はDX推進の手段の1つです。導入したデジタル技術で企業を強くさせるためには何ができるか、どんな変革がもたらせることができるかを考え、全体戦略を練ったり、導入するシステムを検討したり、組織構成を組み替えたりすることが、DXの推進のうえでは必要です。デジタル化自体をDXの目的としないよう、違いを理解してDX推進を行いましょう。

DXには「守り」と「攻め」の2種類がある

加えて、DXには、攻めのDXと守りのDXの2種類が存在し、どちらを目指すかによってデジタル化の重みや優先度が異なります。攻めのDXと守りのDXの違いについて、詳しくは下記の記事をご覧ください。

関連:「攻めのDX」とは ~「守りのDX」と「攻めのDX」の違い~

守りのDXは、自社でコントロールできる改革がテーマになっており、社内の業務効率がメインの目的です。そのため、一部の部署や役割などでデジタル化を行うことで目的を達成できる場合もあります。

一方で、攻めのDXは、顧客を中心としたステークホルダーや自社だけではなくエコシステムをも巻き込む改革がテーマであり、自社製品の提供価値向上や顧客接点の抜本的改革がメインの目的です。そのため、守りのDXのように一部の限られた範囲のみをデジタル化するだけでは、目的の達成は難しいです。

必要なデータの管理をアナログからデジタル化した後、それらを一括で収集し、関係者が常に確認できる環境作りが重要です。そのために、システム・ツールの導入や場合によっては開発が必要になります。

また、攻めのDXは、各部署の調整が必要になり、初期はスコープを狭めてスタートするにしても全社で目的のために進めることが重要です。

業務別に見るDXとデジタル化の違い

DXとデジタル化の違いについて概念的に分かったところで、具体的に部署や業務に落とした時にどのような違いがみられるか、例を交えて説明します。ぜひDX推進のヒントとしてご参考ください。

マーケティング部のDXとデジタル化

メーカーなどでよく行われる企業へのロイヤリティを高めるための工場見学などのイベントを例にして説明します。

現在の状況として、申込者や当日の参加者などの顧客管理をすべて紙の手書きで収集しており、イベント後のフォローも手作業で名簿を作成し、アナログで管理を行っているケースを想定して、デジタル化とDXの取り組みについて考えていきます。

デジタル化

MAなどを導入し、顧客のイベント参加申し込みや他の申込み等の管理をデジタルで行えるような環境を作ります。また、当日の参加者の管理をアナログからデジタル化する方法の1つに、来場者全員にQRコードを発行し、当日はQRコードを読み取るだけで来場者が管理されるような仕組みがあります。こういった方法を導入することで、参加者の管理もデジタル化することが可能です。

守りのDX

MAツールを利用し、当日の来場者へ自動でお礼メールを送信する仕組みを作ることで、手作業で行っていたフォローを自動化し、マーケティングの業務効率の向上に繋げることができます。また、参加者を分析しダッシュボード化で見える化することで、イベントの効果を部署内で共有することができ、次回の施策への意思決定のスピードをあげることができます。

攻めのDX

工場見学などの企業が主催するイベントに参加する方は、企業や商品への関心が高く、その後も継続的に商品を購入してくれる可能性が高いです。ロイヤル顧客への転換やさらなる関係性の構築のために、イベントで獲得したデータをもとに小売会社と共同でクーポンを発行したり、新商品の情報をメールやメッセージアプリなどでダイレクトに届けるなど顧客とのコミュニケーション方法を見直すことで、顧客一人ひとりへの購買促進を可能にします。

カスタマーサポートのDXとデジタル化

メーカーや製造小売、小売などで設けられているカスタマーサポート部門を例にして説明します。

現在の状況として、顧客から電話で来た問合せを対応したオペレーター個人が、記録しアナログで管理を行っているケースを想定して、デジタル化とDXの取り組みについて考えていきます。

デジタル化

カスタマーサービスプラットフォームなどを導入し、問合せ内容をデジタルで一元管理します。

守りのDX

メールや問合せフォームでの問合せ受付、チャットボットでの問合せ受付・対応の仕組みを導入し、問合せ選択肢を広げつつも電話により高速される時間を削減しオペレーターの業務負担を軽減を実現します。

また、問合せ内容を一元管理し、顧客ごとに管理することで、オペレーターが代わってた場合や他のチャネルから問合せを受け付けた場合でも、システムに情報を見に行くだけで、今までのやりとりや似たような質問への回答事例が見れ、誰でも対応ができるように環境を整えることで、業務改善に繋がります。

攻めのDX

カスタマーサポートから得た顧客からの質問事項を整理し、マーケティング部に展開することで、マーケティング部でアプリやwebサイトでよくある質問として掲載したりチャットボットに組み込みことで、顧客へ電話以外のサポートの選択肢を促すことができます。また、開発部署に展開することで、既存商品の見直しのきっかけとなり、商品やサービスの高度化を図ることができます。

営業部のDXとデジタル化

不動産などの対面営業モデルで、営業部署を持つ支社とマーケティング部署を持つ本社が分かれている場合の営業活動を例にして説明します。

現在の状況として、営業支社が顧客に紙の書類に記入してもらうなど顧客情報を紙で管理しているアナログのケースを想定して、デジタル化とDXの取り組みについて考えていきます。

デジタル化

顧客への情報記入のオペレーションは、紙からタブレットの利用や事前のスマートフォンの受付等に替え、アナログ記入を廃止します。また、CRMを導入し、タブレットで入力された顧客情報をCRMで一括管理します。

守りのDX

CRMに顧客情報や営業活動の情報、最終接触日などを管理し、営業活動の効率化・省力化を実現します。

攻めのDX

営業支社のCRMと本社のマーケティングのMAを連携させ、顧客の一連の動きを把握します。これにより、一度話をしてから休眠していた顧客が再び広告やwebサイトなどマーケティング側で行っている施策に接触し、再検討したタイミングを可視化することができます。顧客側からも再検討のタイミングで営業から直接連絡ができるため、検討の幅が深まります。このように顧客とのコミュニケーション改善に繋げることができます。

DX推進の成功のポイント

DXを進めるうえで一番重要なのは、目的をブラさないことです。

よくある失敗例としては、進めていく中で当初の目的からズレてしまい、デジタル化が目的になってしまうことです。システムを入れる、データを使うこと自体が目的になってしまうと、DXをうまく推進させることは難しいでしょう。

「既存の商品・サービスの高度化や提供価値向上」や「顧客接点の抜本的改革」などの実現したい目的に対して、どんなシステムを導入するのが良いのか、どのような組織編成を行うか、内部リソースでは足りない部分はどこかを整理して進めていくことが成功のポイントです。

また、DXのプロジェクトは長期に渡ることを前提に進めていきましょう。システムやツールを入れただけですぐに達成されるものではありません。小さなゴールをいくつか定め、長期的にPDCAを回すことが大切です。

外部リソースを上手く使うことも大切です。社内のメンバーの方はトップマネジメントにフォーカスし、 またプロジェクトメンバーの各ファンクションは外部に頼るのも、DX推進の体制を整えるための戦略の1つです。

例えば、前端の目的設定や戦略の作成はコンサルティング会社に、開発やシステム提供を開発ベンダーに相談するなど、使い分けることが重要です。

下記の資料では「何から始めたら良いか分からない」「プロジェクトがうまくいかない」といった方のために、失敗しないDXのはじめ方や進めるうえでの注意点などを詳しく紹介しています。無料でダウンロードできますので、ぜひご活用ください!

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DX実現のために欠かせないデータの活用

デジタル化にもDX推進にもデータの活用は必要ですが、特にDXの成功には、データの活用が欠かせません。DXにより実現したい目的が定まりましたら、データの準備やシステムの選定を行いましょう。

大まかではありますが、データ活用のプロジェクトは下図のように進んでいきます。

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DX推進の成功のポイントでも述べましたが、基本的には社内のプロジェクトチームが主体となり、足りない知識やリソースを外部リソースを上手く使って進めることがポイントの1つです。

また、一方で外部のベンダーに丸投げにしてしまうことは、非常に危険です。あくまで主体は社内のプロジェクトメンバーが握り、支援という形で外部リソースを使うことをおすすめしています。

EVERRISEのご支援領域

外部リソースの1つとして、EVERRISEもご支援が可能です。

弊社EVERRISEは「DXをテクノロジーで加速させ、人が輝く未来を作る」をミッションとしています。元々アドテクの基盤開発を行っており、超大量アクセス、超大量データ、高可用姓システムの構築を強みとしています。

上段で提示した図ですと、システムベンダーのポジションにあたります。そのため、戦略を立てた後の実際にデータ活用していくフェーズに入った際、データの設計や実装、運用・実行などのフェーズでお手伝いいたします。

下図の赤色の部分が、EVERRISEのご支援領域になります。

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弊社のご支援の一環で行っている具体的なサービスを紹介します。

データアセスメントサービス

データを活用のフェーズにてよくある落とし穴が「データが繋がらない」という事象です。

いざ、データを統合しようと思っても、共通のキー情報がない、データのボリュームが少ない、データの品質が悪いなどの理由で、統合ができない場合が多くあります。そうならないためにも、戦略を練りながら並行してデータの整備を行うことは重要です。

特に別システムで管理しているデータ同士を繋げようとすると、保存されている形が異なるためデータを作り直す必要が出てきて、プロジェクト進行の妨げになる恐れがありますので、早めに準備を行うことをおすすめしております。

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データアセスメントサービスについて、詳しくは下記の記事をご覧ください。

資料:データ統合アセスメントサービスご紹介資料

CDP「INTEGRAL -CORE」

ここは特に攻めのDXの文脈で用いられることが多いですが、データ活用のフェーズにてよくある落とし穴の2つ目が「データのサイロ化」です。データのサイロ化とは、各部署・各部門・各システムでデータがバラバラに管理されている状態を指します。データのサイロ化について、詳しくは下記の記事をご覧ください。

関連:攻めのDX推進を阻害する”データのサイロ化”の問題と解決方法

データのサイロ化を解消し、各種コミュニケーションツールやBIツールに連携し、データ活用を最大化するための手段の1つとしてCDPの利用があります。CDPとはカスタマーデータプラットフォームの略称で、顧客理解を目的としたデータプラットフォームです。CDPについて、詳しくは下記の記事をご覧ください。

関連:CDPとは?カスタマーデータプラットフォームの機能やメリット、活用例を解説

弊社ではCDPを自社開発しており、提供から運用のご支援をしております。

その他にも、データ活用に関するコンサルティングや開発のご支援も行っておりますので、お気軽にご相談のご連絡ください。

まとめ

マーケティングにおいて、非常に混合されやすいDXとデジタル化ですが、およそ日本企業の管理職の70%が、明確な違いを述べられないと答えている現状があります。

2021年にドリーム・アーツ社が「大企業の管理職1000名に聞いた「DX/デジタル化」に関する調査」の結果を公開しました。この調査は、従業員数1,000人以上の大企業の経営層と役職者を対象に、DXとデジタル化への取り組みについて尋ねたものです。

この調査の結果によると、DXに取り組んでいる企業は59%にのぼる一方で、DXとデジタル化の違いについては、74%が説明できないと回答したということです。

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このように、日本の企業の管理職の方々でも7割以上の人々が、DXとデジタル化の違いを明確に把握できていないという実情がわかります。

デジタル化は、単にアナログで行っていた業務をデジタル技術に置き換えることを指し、DXはデジタル技術を用いて、会社全体を強化することを指します。DXには守りと攻めの2種類のテーマが存在し、どちらのテーマも、企業を強くし競争力を高めるためには重要なテーマです。

DX推進が滞ってしまうプロジェクトの特徴の1つとして、デジタル化が目的になってしまうことが挙げられます。きちんと、目的をずらさずに進めていきましょう。

また、成功のポイントとしては、外部リソースをうまく使いながらプロジェクトを進めることをおすすめしています。弊社EVERRISEでは、データ活用に関するご支援を行っております。お気軽にご相談ください。

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