2022.04.27

CDPとの連携で拡がる、メールマーケティング施策の選択肢

CDPとの連携で拡がる、メールマーケティング施策の選択肢

BtoBでもBtoCでも、メールマーケティングにおいて必須とも言えるメール配信システムやMA。

本記事では、CDPとメール配信システムやMAの連携によってどのようなことが可能になるのか紹介します。

メールマーケティングの有効性

総務省情報通信政策研究所により公表された「2021年情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」によると、10代と20代についてはメールよりSNSを利用する割合が高く、あまりメールを見ないことが分かっています。そのためマーケティング施策としての優先度を下げている企業もあるのではないでしょうか。

しかし、30代ではSNSの利用がわずかに上回る程度で、40代以降についてはSNSよりもメールの利用が多くなっています。いまだに働き盛り世代はメールがもっとも身近なツールであり、サービスによっては、まだまだメールの有効性は高いのです。

また、モバイルアプリのプッシュ通知やLINEは通知機能がメインですが、メールはコンテンツとして情報を提供でき、メールの特性である「より多くの顧客に情報を届け、かつ継続的に接点を持つことができる」という点は、マーケティング施策に用いられるチャネルの中でも数少ないものです。

メール配信に関するツールは国内外問わず多数あり、施策を行う側としても日常的に使用しているメールは取り組むハードルが低いです。開封率やURLのクリック率などで施策を打った後の顧客の行動も把握することができるため、まず実施すべきマーケティング施策の1つと言えるでしょう。

メールマーケティングの手法

既存顧客へメルマガ配信を行っている企業は多いですが、メルマガ配信だけがメールマーケティングではありません。メルマガ配信はあくまで、メールマーケティングの一つの手法です。

メールマーケティングは、メールを通して顧客とのコミュニケーションを取ることでリードナーチャリングや購買獲得、マーケティング目標の達成に繋げたり、より良いブランド体験の提供によって顧客との継続的な関係構築へ貢献したりすることを目的とするものです。

誰にでも同一内容のメールを全く同じタイミングで送信するのではなく、顧客の状態や検討状況などにあわせてメールを送信するOne to Oneマーケティングが重要になります。

メールマーケティングにはメルマガ以外に以下のような方法があります。

ステップメール

ステップメールとは、顧客の特定の行動を起点として段階ごとに配信するメールのことです。BtoCとBtoBで、それぞれの例を紹介します。

1つ目はBtoCで、健康食品やサプリ、コスメのECサイトで商品を初めて購入した顧客に対するメールです。

  • 購入直後:「購入ありがとうございます。購入商品の詳細です」
  • 1日後:「商品を発送しました。○営業日までにお届けします」
  • 7日後:「無事届きましたか?なにか不具合はありませんか?」
  • 14日後:「商品の効果をより感じて頂くための方法・愛用者の声を紹介」
  • 30日後:「定期購入は15%OFFになりお得です」

2つ目はBtoBでセミナーに参加したリードに対するメールです。

  • 参加直後:「ご参加ありがとうございました」
  • 3日後:「セミナー参加者限定で初期費用割引キャンペーン中です」
  • 7日後:「初期費用割引キャンペーンは今週で終了です。ご興味のある方は今週中にご連絡ください」

リードにとって興味がある情報を届けられるという点ではセグメントメールと似ていますが、ステップメールは「最適なタイミングと回数」という要素があります。見込み顧客の状況や現在のステータスに合わせて最適なコンテンツで届けることができ、顧客は企業が自分のことを理解してくれていると感じ、ロイヤリティが高まります。

ターゲティング(セグメント)メール

ターゲティング(セグメント)メールとは、年齢や性別、住所、訪問したページなどでリードの属性を絞り込み、対象となるターゲットのみに配信するメールのことです。他にも「商品を購入した方」「セミナーを申込んだ方」など見込み顧客アクションに応じて分類することもできます。

BtoCでは、以下のような配信が考えられます。

  • ゴールド会員限定に対して新商品の情報をいち早く配信
  • 男性向けと女性向けに分けてセール情報を配信
  • 誕生月限定のクーポンを配信

BtoBでは以下のような配信が考えられます。

  • 小売業界のリードに、小売業界の事例を配信
  • 自社セミナーを申し込んでいないリードに、セミナー開催の案内
  • マーケティング効率化に関連する記事をよく読んでいるリードに、マーケティング効率化に関連する資料の案内

顧客の属性に応じたメッセージやキャンペーンの案内などを配信することで、メールの開封率アップやお問合せ件数の増加が見込めるでしょう。

トリガーメール

トリガーメールとは、顧客が特定の行動をとったら自動で配信するメールのことです。例えば、以下のような配信が考えられます。

  • お気に入りに入れて数日経つ商品を「今なら10%OFFキャンペーン」など再び広告するメール
  • 誕生日などの記念日に限定してポイントを多く付加したことをお知らせ
  • カゴ落ちした顧客に「買い忘れはありませんか?」といった内容のメールで商品の存在をアピール

トリガーメールは、自動配信であるため手間と労力が少ないうえに、顧客にとって特別感のあるメールを送れるため、購買意欲や顧客満足度、顧客ロイヤルティを向上させることができます。

また、自動返信メールやメルマガなどと比べ、開封率やクリック率、反応率が高くなるため、メールマーケティングの効果を向上させるのに有効な手段です。

メールマーケティングに用いるツール

メール配信機能を持つツールは多く存在しますが、メールマーケティングにおいて利用されるものは主に2つです。

メール配信サービス(システム)

メルマガなど、多人数向けの一斉送信メールを送るためのシステム、サービスのことを言います。メール作成・装飾に必要なエディタ、開封率などの効果測定機能、スケジュール機能、ステップメール機能などが標準で備わっています。

MA

MAとは「マーケティングオートメーション」の略称で、フォームの作成やメールの配信、リードの各種情報を集計し管理することができるプラットフォームのことです。メール配信システムよりも多機能で、メールを配信する機能も持ったもっと幅広い概念で設計されたツールです。

メール配信システムの標準機能を持つほか、リードとの一対一でのメールを行う、web上の行動トラッキング、リードのスコアリングなど、リード管理と育成のための機能があります。

関連:MA導入のメリット・デメリット、マーケティングオートメーションの課題とは

CDPとの連携によるもう一段上のメール施策

CDPは顧客データ管理のためのプラットフォームで、さまざまなシステムやマーケティングツール間でバラバラで管理されているデータを統合・管理できるデータ基盤です。

メール配信システムだけでは足りないデータ

顧客をセグメントする、ステップメールを送る、などに必要な機能はメール配信システム側が備えていることが多いです。 しかし、既存機能だけでは取得できない情報や対応しきれないケースが出てくるときに、不足する部分を補うのがツール連携であり、CDPが有効となります。

下記はそれぞれのシステムで管理可能なデータの比較表です。それぞれのデータを組み合わせなければできないセグメントやトリガー実行のために、連携が必要となります。

データの例 メール配信サービス MA CDP
web上(オンライン)の行動データ
オフラインの行動データ
属性データ
売上データ
広告配信結果
SNSでの行動データ

CDPについて、詳しくは下記の記事をご覧ください。

関連:CDPとは?カスタマーデータプラットフォームの機能やメリット、活用例を解説

CDP以外のツールとの連携では?

データを管理するツールという意味ではDWHなどもありますが、それらのツールとの連携ではダメなのでしょうか。 ポイントは「貯めたデータを外部ツールへ適切な形で送信する機能を持っているかどうか」という部分になります。

DWHなどデータベースとしての働きに特化しているツールは、データを他ツールへ渡す部分の機能がなく、さらに別のツールとの連携が必要になることがあります。 CDPは他ツールとの連携を前提として設計されているため、より効率良い連携が可能と言えます。

CDPと似た機能を持つツールとの違いについて、詳しくは下記の記事をご覧ください。

関連:顧客データ統合に必要な仕組み・データレイク/ETL/DWH/データマートとCDP

CDPとの連携によって実現する高度な施策

CDPとの連携によって初めて可能となる、より高度なセグメント、最適なタイミングでのメール施策としては、例えば次のようなものがあります。

LTVを考慮した顧客セグメントへのメール送信

購買情報や分析による情報をもとにしたセグメント向けに、よりパーソナライズされたメールを送信できるようになります。

オフライン行動も加味したトリガーメールの送信

オンライン行動に合わせたメールはメール配信システム側で完結できる場合もありますが、オフラインの行動をもとにしたセグメントや、オンラインとオフラインの行動を組み合わせたセグメントは難しいことが多いでしょう。 「特定のイベントへ参加し、かつwebで特定の行動をした顧客へメール」の送信や、逆に「実店舗で購入したばかりの商品のメールは送信しない」のように不要なメールを配信しないということもできます。

メール以外のコミュニケーションツールとの連動

CDPがハブになることで、さらに別のツールと連携し、リアルタイム性の高い施策ができます。「特定のメール開封者が店舗近くまで来たら、専用アプリ側にプッシュ通知を出す」のようなことも実現可能になります。

ツールの組み合わせでできることも異なってきます。 重要なのは、メールマーケティング全体の設計の中で、仕組みとして足りない部分の補完、あるいは今までにない施策を行うために、ツールをうまく活用することです。

選ばれ続ける企業となるために取り組むべきコミュニケーションの全体設計について、詳しくは下記の資料をご覧ください。

無料資料:データによる顧客中心のコミュニケーション再構築|これからの市場で選ばれる企業になるために

データによる顧客中心のコミュニケーション再構築|これからの市場で選ばれる企業になるために

CDP連携のユースケース

ここでは弊社のCDP「INTEGRAL-CORE(インテグラルコア)」と連携済みのメール配信システムを紹介します。

MAとCDPを連携した場合のアパレル企業さまのユースケースを紹介します。

CDP連携のユースケース

この企業では、ECと複数の実店舗を運営していますが、ECの顧客のみにしかメールを配信できておらず、同一の顧客に対してECと実店舗で別のIDが割り振られ、別人として扱われている状況でした。

この問題点は、以下の2つです。

  1. ECを使っておらず実店舗で購入している顧客には、メールでのコミュニケーションができていなかったこと
  2. ECと実店舗を併用している顧客には、実店舗での購入を無視したコミュニケーションを行っていたこと

ECのみのデータでは本当の顧客像とは言えず、とくに問題点2に関しては、実店舗で購入した商品をメールでおすすめする、といった顧客にとって良くないコミュニケーションになっていた可能性もあります。

メール配信システム(MA)にECと実店舗のIDを紐付ける機能はないため、これを改善するためにCDPの導入を行いました。

CDPによって、ECと実店舗の顧客データの紐付けを行い、実在する顧客に紐づけてデータが管理されるようになったため、その顧客がオンライン・オフラインでどのような行動をしているのか分かるようになりました。

また、CDPは他のツールに連携もできるため、正しいデータをもとにした分析やセグメントの作成が可能になり、顧客体験を向上させるコミュニケーションを実施できるようになっています。

その他の事例や具体的な活用例は下記の資料でご紹介しています。無料でダウンロードできますので、ぜひご活用ください!

無料資料:CDPとMAの違い|MAの不足点を解決するCDPの資料ダウンロードはこちら

CDPとMAの違い

まとめ

メールマーケティングの目指すところは顧客とコミュニケーションを取ることです。そのためには顧客の正しい情報を用いて最適なコンテンツを最適なタイミングで送る必要があります。CDPとメール配信システムを組み合わせることでよりよい顧客体験を提供し、顧客との関係強化に繋げることができます。


弊社EVERRISEでは、顧客データをノーコードで管理できるCDP「INTEGRAL-CORE」を提供しており、これまでTVerさまやキーコーヒーさま、hoyuさまなどを含め複数社の導入実績がございます。

  • CDP「INTEGRAL-CORE」の特長
    • 顧客に関するあらゆるデータを収集・統合
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