2022.09.07

ユーザー分析・顧客分析の重要性と6つの手法。分析データの活かし方

ユーザー分析・顧客分析の重要性と6つの手法。分析データの活かし方

売上向上やLTV向上には、顧客データを使ってユーザーを分析し、理解を深めることが重要です。

そのために、昨今ではGoogle Analyticsなどのアクセス解析ツールやMAツール、CRMツールなど顧客の行動を収集・分析するためのツールが多く存在します。しかし、実際にはツールを導入するだけで、分析を行い、顧客理解を深めることができていない企業は多いかと思います。

本記事では、ユーザー分析(顧客分析)の重要性と手法について紹介します。

顧客理解のためのデータ分析とダッシュボードの構築方法

ユーザー分析の目的

ユーザー分析とは、顧客(ユーザー)の属性や行動データ、購買履歴などを用いて理解を深めるための分析で、顧客分析とも言われます。顧客理解を深めることは、現代の顧客視点のマーケティングに必要不可欠です。

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世界的に有名なアメリカの経営学者であるフィリップ・コトラー教授は、テレビや新聞などで広く認知させるマーケティング2.0や、セグメント別に認知させて契約まで至るマーケティング3.0を経て、昨今のマーケティングは個別の体験を提供する「マーケティング4.0」の時代だと提唱しています。

マーケティング4.0では、消費者は製品やサービスを購入するだけでなく、購入したことによって自らの「精神的欲求を満たすこと」を重視するようになっています。利益を上げるためにはユーザー分析によって顧客を理解し、顧客視点のマーケティングを実施していくことが大切であると説かれています。顧客理解について、詳しくは下記の記事をご覧ください。

関連:顧客理解を深める2つのポイントとマーケティングにおける課題

ユーザー分析のメリット

顧客やニーズの理解を深められる

ユーザー分析により、ターゲットとする顧客が持つニーズや、その顧客自身を把握することができます。

近年ではライフスタイルや好みなどが多様化・複雑化しており、顧客のニーズをマスでカテゴライズすることは難しくなっています。また、顧客は全員が同じレベルで製品を購入したりサービスを利用しているわけではありません。購入へのモチベーションも、求めているコミュニケーションの方法や心に響くポイントもさまざまです。

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全員を一括りにして考えるのではなく、ユーザー分析によって特性ごとにさまざまな切り口で顧客をグループ分け(セグメンテーション)することで、顧客の理解を深めていくことができます。

より深掘りしていくことで、顧客自身も気づいていない無意識に存在する理由や本音を洞察する顧客インサイトを突き詰めることもできるでしょう。

それにより、サービスや商品の改善、マーケティング施策の改善に繋がります。実はニーズが一致するユーザー層が、社内で考えていたものと異なっていたという発見もあるかもしれません。

施策の効果測定を行える

現在行っている施策が本当に顧客にとって意味のあるものなのか、売り上げに繋がっているのかなど、施策の効果もユーザー分析で知ることができます。

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顧客への理解を深めた後には、実際に仮説を立てて施策を実施していきますが、その仮説が合っていたのかを図ることができます。

さまざまな切り口で施策を実施していくことで、オンラインストアの数字ばかり見ていたが、実はオフラインの施策が後押しをしているという今まで見えていなかった結果が得られるかもしれません。

また、効果が可視化されていると、その後の意思決定もスピーディーになり、より良い施策へ繋がり、PDCAの循環が早くなることでしょう。

新サービスや商品開発に役立つ

ユーザー分析は、効果測定や顧客ニーズの確認などすでにあるものを可視化することでより深く理解するだけではなく、その先にある新しいニーズへの気づきのヒントを与えてくれることもあります。

例えば、製造小売業などの場合、実店舗とECサイトなどチャネルに問わず顧客が関わるすべてのデータを分析することで、ユーザーの一連の体験に関する行動が可視化されます。

ECサイトのみで見ると成果が出ていなかった場合も、実際にはECサイトにて商品を見定めた後に店舗に来店し、直接体験することで満足感を得て店舗で購入するという行動をしている人がいることが分かるかもしれません。

分析できるようにするには来店を検知できるデータを取得する必要がありますが、店舗で体験をした後にECで購入するというショールーミングといった行動が見られる可能性もあります。その場合、実店舗では「体験」を提供できる施設に作り替えることやオンラインでも同様の体験を提供できるサービスはないかなどの展望を広げることができるでしょう。

現状を把握するためではなく、未来に繋がるヒントを得るためにもユーザー分析は必要となっていきます。

顧客理解に役立つユーザー分析の手法6つ

行動トレンド分析

行動トレンド分析は、過去の購買傾向からシーズンごとの購買率を導き出す手法です。分析の結果を商品展開の判断材料とすることで、季節におけるユーザーのニーズの変化にあわせて適切な事業展開ができます。

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上記の画像では、12月に売り上げが伸び、翌年1〜2月にかけて売り上げが落ち込んでいることが分かります。売れるものと同時に売れないものも予測できるため、無駄な経費の削減にも繋がります。

セグメンテーション分析(クラスタ分析)

セグメンテーション分析(クラスタ分析)とは、既存ユーザーの共通項を洗い出し、自社のターゲットユーザー像の指標を作成するための分析手法です。類似性の高いユーザーを居住地・年齢・趣向・行動パターンなどの属性でグルーピングしていくことで、各グループに有効なマーケティング施策を出し分けることができます。

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上記の例は、売上と利用回数を軸とした分布図をセグメントした図になります。Bの利用回数が高く売上金額も高い層は、顧客ロイヤルティが高く、企業として増やしていきたいユーザーの層になるでしょう。ここの数を減らさぬよう継続的なコミュニケーションを図っていきましょう。

では、他の群に属する方々をBへ近づけるためには、どんなマーケティング施策が必要かを考えていきます。Aは、利用頻度は低いが売上は高いため、1回の利用金額が高いと読み取ることができます。そのため、関連のおすすめ商品情報を発信するなどの「利用頻度を上げる」ための施策を講じる必要があります。

対してDは、売上金額は低いですが、利用頻度が高いです。このような層には、「1回の利用金額を上げる」ための施策を講じることが必要になります。セットでの販売や何品以上購入で割引になるなどの情報を発信することで、顧客ロイヤルティの高いB群に近づけることができるでしょう。

Cは、売上も低く利用回数も低いです。この場合はまず「継続的に自社の商品やサービスを利用してもらう」ための施策を打ちましょう。ECサイトなどではよく、2回目利用の方には何%オフなどのクーポンを発行する施策が見られます。

このようにセグメンテーション分析(クラスタ分析)を行うことで、会社にとってロイヤルティが高い層の見極めと同時に、それぞれに適したマーケティング施策を打つことができるようになります。

RFM分析

RFM分析は、以下の3つの指標からユーザーをグルーピングする分析手法です。

  • Recency (直近購入日)
  • Frequency(購入頻度)
  • Monetary (購入金額)

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指標をもとに売上貢献度が高いグループを洗い出し、そのグループに対して有効と思われるマーケティング施策を講じることにより、購買率や顧客満足度を高める施策へと繋げます。

デシル分析

デシル分析は、売上貢献度の高い順番にユーザーを10のグループに分類し、各グループの特徴を洗い出す分析手法です。

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例えば、100名のユーザーを購買金額の高い順に並べて10等分し、購買金額の比率を各グループに算出します。そして、全体の購買金額の比率から、各グループの購買金額が何%締めているのかを算出します。このデータから、各グループの売上比率が分かり、効率的に売上を伸ばすには、どのグループを重要視してアプローチをするのが良いかが分かります。

コホート分析

コホート分析は、ユーザーをグループごとに分類し、その行動や定着率を分析する手法です。近年、SaaSやサブスクリプションビジネスの登場・普及によって、さらに注目されるようになっています。

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ユーザーが継続してサービスを利用してくれているかが分かり、リピーターの割合を見ることでコンテンツやサービス内容の満足度を確かめたり、改善点を見つけることができます。

LTV分析

LTV分析は、顧客が企業に支払った金額をもとにして商品やサービスの貢献度が高い顧客層を抽出する手法です。顧客にかけているコストを明確にすることにより、コストと売り上げを関連付けてマーケティング施策を検討できます。

関連:LTV向上に必要な4つのポイントとビジネスモデル別LTV向上施策

ユーザー分析を行う際の注意点

ユーザー分析を行うにあたって注意すべきことについて説明します。

分析の目的を明確にする

分析を行うこと自体が目的にならないよう、何を達成したいから分析をし、可視化を行うのかを明確にしましょう。

「なんとなく」でマーケティング施策を行っている企業であれば、まずは「ペルソナを作る」ということを目的とし、すでに購入や利用の実績のあるユーザーの分析(ターゲットユーザーの特定)から行うのが良いかもしれません。

アプローチすべき顧客像を明確にしてペルソナを作り、マーケティング施策を行い、その後、施策の効果測定を行います。良し悪しを判断することで次に生かすことができるようになり、施策の精度が上がり、購入数の増加に繋がることでしょう。

必要なデータを把握する

目的に対して分析を行うためには、どのようなデータが必要なのかを洗い出し、自社のデータと見比べる必要があります。自社のデータをどのシステムやツールにどのような状態で保有しているのかが分からなければ、分析を行うことはできません。

もし、必要なデータを取得できていない場合は、ユーザーから集めることが優先されるケースもあるでしょう。その場合は、分析よりもまず集めるために何をすべきかを考える必要性が出てきます。場合によっては、本当にそのデータが必要なのかという議論も出てくるかもしれません。

顧客に関するデータは、部署ごとや店舗ごと、チャネルごとに分断されている企業が多いです。これをデータのサイロ化と言います。データのサイロ化について、詳しくは下記の記事をご覧ください。

関連:「データのサイロ化」5つの問題と解決策。攻めのDX推進を妨げるサイロ化の原因とは

分析を行う前に必要なデータを把握した後、1か所に集めておく必要があります。

データを統合する

ユーザーに関するデータは、複数の場所でさまざまな形式で保有されている場合が多いです。それらのデータを集約し、統合することが必要になってきます。

それぞれのシステムに格納されているデータは、項目の持ち方も違えば、保持しているデータの粒度も異なります。そのため、分析を行う前に必要なデータの項目や粒度などを揃えておく必要があります。

分析というとBIツールを思い浮かべる方が多いかと思われますが、BIツールで分析を行う前にもこのデータの統合で、データを綺麗にしてからでないと、思うような分析結果を得られません。分析の前にデータの整理などの事前準備という工程が必要であるということを認識しておきましょう。

関連:顧客データ統合の失敗ケースと最適な進め方。マーケティングDXにおける重要性

適切なツールの選定

分析を行えるツールやシステムはさまざま存在します。

例えば、有名な Google Analyticsはユーザーのweb上の行動を分析することができ、web広告の投資収益率の分析にも測定にも適しています。ユーザーIDをセットすることで、一人ひとりの行動分析を行うことも可能です。しかし、セットしたタイミングからの情報しか取得することができず、過去を遡って計測することは難しいです。

個人を特定したweb上の行動分析には、MAツールが有効です。web上のユーザーの行動分析であれば、MAツールを利用するのが手段の1つかもしれません。しかし、実店舗を持つビジネススタイルでは、MAツールのみでユーザー分析を行うとwebの行動に限定されてしまい、一連のユーザーの行動を理解することは難しくなってしまいます。ビジネスモデルや分析の目的に合わせ、ツールやシステムを見極めを行いましょう。

関連:MA導入のメリット・デメリット、マーケティングオートメーションの課題とは

ユーザー分析の先まで見据えたプラットフォーム「CDP」

CDP(カスタマーデータプラットフォーム)は、顧客データを収集・統合・連携するためのデータ基盤です。

ユーザー分析は、データをただ保有しているだけでは実現できません。目的を定め、データの収集・統合などの準備を行う必要があります。この収集と統合を担うのがCDPです。分析のために必要なデータの加工や抽出ができます。CDPについて、詳しくは下記の記事をご覧ください。

関連:CDPとは?カスタマーデータプラットフォームの機能やメリット、活用例を解説

CDPを利用したユーザー分析のメリット

ユーザー分析の精度を上げる

CDPはMAツールやCRMツールとの連携も可能です。各チャネルで取得したユーザーのデータをCDPの1か所に集約することができます。また、実店舗や営業所などで取得できる購入履歴や営業の履歴からECサイトやwebサイトの行動履歴や会員情報などを紐付け、統合することで、ユーザーの行動全体からユーザー分析が可能になります。

小売事業の場合、ECサイトのデータだけの分析では、ユーザー理解やターゲットユーザーの特定などを行うのに不十分な場合が多いです。実店舗で商品を見てからECサイトで購入したり、逆のケースも考えられます。オンライン・オフライン問わず、ユーザーが関わるすべてのチャネルのデータを収集・統合し、分析の精度を上げるためにも、CDPの利用は有効です。

BIツールの連携で効率的なユーザー分析が可能

CDP自体は、ユーザーデータを収集・統合・連携するためのデータ基盤のため、分析はできません。しかし、BIツールとの連携が可能です。ダッシュボードなどで分かりやすい可視化を実現します。

BIツールを使用する際、データのインプット前にDWHなどで必要なデータを集め、ETLでデータの加工や抽出を行う必要があります。CDPには、DWHもETLも備わっています。また、CDPとBIツールを連携することで、変更があった際にデータの加工や抽出がCDP上で行えるため手間が省け、効率的なユーザー分析が可能です。

分析後の施策にも繋がる

CDPは、ユーザーとコミュニケーションを取るためのアクションツールとの連携も可能です。分析結果をもとに、セグメントされたデータを使用して、アクションツールにてコミュニケーションを行うことで、ユーザーと適切なコミュニケーションを図ることができます。アクションツールの結果もBIツールで可視化できるため、施策の効果測定にも適しています。

CDPによるユーザー分析について、詳しくは下記の資料をご覧ください。本記事で紹介した分析手法をまとめてあるほか、1人の顧客を深掘りする360°顧客分析についてや、顧客分析の事例もご覧いただけます。

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