2021.01.22

CDPとMAの違い、マーケティング活動を加速させる2つのプラットフォーム

CDPとMAの違い、マーケティング活動を加速させる2つのプラットフォーム

マーケティング活動を効率化するために、ここ数年で導入が増えているのがCDPやMA。

言葉として聞いたことがあっても、CDPとMAにどのような違いがあるのか理解できていない方もいるかと思います。

本記事では、CDPとMAの違いやそれぞれの導入目的、機能、メリットについて紹介します。

CDPとMAの違い

CDPとMAの違い

MAはマーケティングツールの1つであり、 顧客のweb上の行動情報を取得、フォームを作成して顧客情報を取得、メールによるコミュニケーションを中心として、見込み顧客の情報の取得・育成や既存顧客の育成を行うプラットフォームです。

対して、CDPは各データベース(ツール)で蓄積された過去のデータを人ごとに紐づけるシステムです。MAで蓄積した顧客データと他のツールで蓄積した顧客データを繋げることができるプラットフォームです。

MAでもCDPでも、webサイト上での行動については、個人は特定できていないがIDベースで特定ができている匿名ユーザーから、氏名など個人を特定できているユーザーまでのトラッキングができます。MAはweb行動に対するトリガーでのコンテンツ配信ができるのに対し、CDPだとオフラインの行動を含む他の接点におけるデータや属性情報も収集・統合したうえでセグメントを作成できるという違いがあります。

それではMAとCDPについて、それぞれ詳しく見ていきましょう。

MAとは

MAとは「マーケティングオートメーション」の略称で、フォームの作成やメールの配信、リードの各種情報を集計し管理することができるプラットフォームのことです。

導入の目的

MAは、顧客や見込み顧客がどんなアクションをとってきたかを記録し、最適なコンテンツを、最適なタイミングで、最適な方法で届けることを目的として導入されます。MAは見込み顧客の固有情報や見込み顧客から収集した各種情報の一元管理、育成、購買意欲の高い見込み顧客の絞り込みまでの活動を自動化・効率化できます。管理の方法によって、見込み顧客のみでなく既存顧客との接点においても利用できます。

MAの機能

MAの主な機能は下記の6つです。

  1. リスト作成
  2. フォームの作成
  3. メール配信
  4. 社内アラート
  5. リード選別・スコアリング
  6. レポーティング

1つずつ見ていきましょう。

リスト作成

見込み顧客は自社サイトやテレアポ、広告出稿、イベントで獲得した名刺やアンケートなど、さまざまな方法で獲得されるため、管理が煩雑になりやすいです。MAを利用すれば、見込み顧客の獲得手段や一人ひとりの検討度合い、今までのコミュニケーション履歴まで重複することなく、特にデジタルの接点においては自動的にリスト化して管理することができます。

また、MAには自社サイトに訪問したユーザー情報を取得し、そのユーザーの個人名や企業名、企業情報、サイト上の行動を取得するアクセスログ機能があります。蓄積したユーザーデータは「1か月以内に資料をダウンロードした」「セミナーページを見た」「従業員1,000人以上」など、特定の条件で見込み顧客を抽出し、リスト化することができます。見込み顧客のアクションや条件ごとに分類することで、興味・関心を想定しやすくなるため、アプローチが容易になります。

フォームの作成

MAには、webフォームを作成する機能が備わっているものがあります。フォームから登録された見込み顧客は自動的にタグなどの識別情報が付与されるため、どのフォームから申込されたか可視化したり、リードの登録漏れを防いだりすることができます。

また、マーケティング担当者ががMAの管理画面上でフォームの作成・修正できるため、エンジニアやwebサイト制作会社に依頼するよりスピーディーに対応でき、コストも抑えられます。

メール配信

MAには、見込み顧客を育成する1つの手段として、メールマーケティング機能があります。顧客の反応に合わせたメールコンテンツを戦略的に配信することで、イベントへの集客や見込み顧客の検討度を上げていくことに活用できます。

通常のメール配信ツールでは、顧客の実際の行動までは把握できません。ある程度顧客の行動を予測してメールを配信しても、実際は検討が進んでいなかったり、前のメールも読まれていない状態で立て続けにメールを送ってしまったりと、顧客に響かないコンテンツを送ってしまう可能性があります。

一方、MAであればリストやアクセスログの機能を利用することができます。顧客のメール開封率、URLのクリック率、webサイトのページ閲覧履歴が分かるため、メールの内容や配信先、配信条件を細かく設定し、ユーザーに最適なタイミング・内容・頻度で情報を提供できます。加えて、メールの配信停止率も把握できるため、メールの配信頻度や内容の検討に活かすことができますし、A/Bテストによる効果の比較検証も可能です。

また、メールの形式にはテキストメールとHTMLメールの2種類があります。メールの開封計測をするためにはHTML形式でメールを送る必要がありますが、HTMLメールの作成は専門的な知識が必要です。MAはHTMLメールエディタが搭載されているものが多くあるため、ドラック&ドロップと直感的な文字入力だけで、マーケターが手軽に高品質なHTMLメールを作成することができます。

社内アラート

MAには、見込み顧客がメールの開封や自社サイトの閲覧などを行ったときに、営業担当にアラートを配信する機能が備わっています。メールやSlack、Chatworkなどのビジネスチャットツールにアラートを配信できるMAや、提案中の見込み顧客や過去案件の見込み顧客がwebサイトに訪れていることを検知して、担当している営業にアラートメールで通知を出すようなMAもあります。

また、属性情報や行動を設定して、条件に合った見込み顧客をピックアップすることができます。例えば、「競合サービスを年間契約している見込み顧客が、まもなく更新月を迎えるタイミングで自社サイトを閲覧している」といった情報をリアルタイムで取得できるため、人的に行っていた営業への通知やアサイン業務の自動化も可能になります。

MAと合わせてSFAやCRMを利用すれば、現在その見込み顧客がどういう状態なのかをお互いに把握することができ、案件確認の手間も省くことができます。

リード選別・スコアリング

MAには、見込み顧客の行動を数値化してスコアリングする機能があります。

例えば、自社サイトを訪れたら+3点、資料請求で+10点、メールの開封で+5点、未開封で-3点のようにスコアを設定しておくことで、累積の点数によって「検討度低」「検討度中」「検討度高」など、見込み顧客の興味関心の高さを数値で可視化することができます。

リードを客観的な評価基準によって選別できるため、営業担当の勘や過去のやり取りの記憶などの曖昧な要素に頼らなくて良くなるうえ、契約に至る可能性が高まった見込み顧客を営業に渡し、商談に持ち込むなどして活用できます。

また、検討段階に達すると見られるページや資料に触れたユーザーを条件検索し、温度感の高いリードを抽出する方法もあります。これを行うには、見込み顧客の興味度合いを適切に把握するために、事前にリードを整理しておくことが大切です。

MAツールの中に同一のリードが1件しかないようにし、ユーザーの行動履歴やこちらからのアクション履歴を正確に蓄積する必要があります。そのため、ほとんどのMAツールでは、インポート時にメールアドレスで重複確認を行う機能が搭載されていたり、重複を削除した見込み顧客リストに対して、簡単に整理できるように設計されています。

レポーティング

MAを用いて施策を行うと、コンバージョン数やコンバージョン率、ページ閲覧数、セミナー申込み数、資料ダウンロード数などのデータを収集できるため、施策の効果を自動的に測定することができます。その結果をグラフにすることで、さまざまな角度から改善点を見つけ、施策の精度向上に役立ちます。

MA導入のメリット

MAを導入し、機能を活用することで得られるメリットは下記のとおりです。

獲得した見込み顧客との関係構築

MA上に獲得した見込み顧客の情報を保管し、中長期的な関係構築に努めることで、エンゲージメントを高められます。見込み顧客の行動が分からなければ、的外れなタイミングでサービスのアピールをして最悪嫌われてしまう場合がありますが、MAを使って見込み顧客に対して最適なコンテンツを、最適なタイミングで、最適な方法で届けることができれば、購買意欲を高めることができます。

今まで受注できなかった案件・商談を獲得できる

眠っていた見込み顧客に対して適切なコミュニケーションを取ることで、売上に繋がる仕組み作りが可能になります。今まで見込み顧客に対してフォローがうまくできておらず、下記のような状況になってしまっていることはありませんか?

  • 名刺交換をしただけで終わっている
  • お問合せをしてくれたが契約に至らなかった
  • メルマガに登録してくれたがコンタクトを取っていない

こういった見込み顧客を放置すれば、自社の顧客になってもらえないどころか、そのまま競合他社の顧客になってしまう可能性があります。MAで見込み顧客に対してコミュニケーションを取った際に、見込み顧客の動きがなければ検討度が低くなったと分かりますが、反応が確認できれば、検討状況が高い顧客を特定でき、取りこぼしを防げます。

営業の活動が効率的になる

MAを使うと、見込み顧客の検討段階を可視化できるため、優先度を判断し、効率的に商談に繋ぐことができます。商談の可能性が低い見込み顧客には、MAにてコミュニケーションを行うことで、営業は商談の可能性が高い見込み顧客にコミットして対応することができ、営業生産性を高めることが可能です。

また、営業に強い人と弱い人がいても、検討度の高い見込み顧客を営業に渡すことができれば、営業力の弱い人でも受注しやすくなります。営業のスキルを教育などで埋めようとすると多大な時間と労力がかかりますが、MAを導入すれば営業組織全体の生産性向上に繋がります。

マーケティング活動が自動化されて楽になる

複数のツールを別々に管理していた企業であれば、1つのプラットフォームに見込み顧客ごとにデータが紐づけられていくので、データの管理や分析が効率的に行えるようになります。メール配信などのルーティンワークが、MAの導入によって効率化されるため、空いた時間をより生産的な活動に当てることができます。

MAの導入のメリットについて、詳しくは下記の記事をご覧ください。

関連:MA導入のメリット・デメリット、マーケティングオートメーションの課題とは

CDPとは

CDPとは「Customer Data Platform(カスタマー データ プラットフォーム)」の略称で、企業の顧客に関するデータを管理し、顧客一人ひとりを理解するための基盤のことです。CDPについて、詳しくは下記の記事をご覧ください。

関連:CDPとは?カスタマーデータプラットフォームの機能やメリット、活用例を解説

導入の目的

CDPを導入する目的は、より深く顧客を理解するためです。MAもデータを顧客に紐づけて管理するので、MAで事足りると思われるかもしれません。

cdp ma 02

しかし、MAはあくまでマーケティングツールの1つであり、アプリのアクセスログを計測するツールや問合せ管理ツールなど他のツールとの連携については、課題が残ります。SFAとMAの連携において、連携方法や連携できるデータに制約が発生し、連携できない内容が発生することによってデータがツールごとに管理され、MAに登録してある顧客Aが他のツールで計測したり実施している施策とあわせてみることができない可能性があります。CDPを導入し、各ツールのデータをすべて統合することで、自社の「本当の顧客像」を可視化することが可能になります。

CDPの機能

CDPの主な機能は下記のとおりです。

  1. それぞれのツールで集めたデータを収集・統合
  2. 顧客を可視化できる
  3. 簡単に顧客データを分析できる
  4. さまざまなアクション系ツールに繋げられる

1つずつ見ていきましょう。

それぞれのツールで集めたデータを収集・統合

CDPは、さまざまなツールで得たデータを収集・統合することができます。加えて、自社で管理しているデータだけではなく、グループ会社のデータや3rd Party Dataである天気や位置情報も合わせて統合することが可能です。

具体的には、以下のようなツール・システムと連携して顧客データを収集します。

ツール名 webアクセス解析ツール CRM / SFAツール EC / 購買データ管理ツール ID-POS
ツールの例 ・Adobe Analytics
・Google Analytics
・Ptengine など
・Salesforce
・Synergy!
・HubSpot CRM
・eセールスマネージャー
・F-RevoCRM
・kintone
・Zoho CRM など
・EC being
・Shopify
・EC-CUBE
・ecforce
・EPR(マクロミル)
・W2 Unified など
・スマレジ
・airレジ
・ORANGE POS
・POS+retail
・shopping Scan(True Data)
・ユビレジ など

顧客を可視化できる

統合する際には、名寄せやクレンジングを行い、顧客一人ひとりにデータを紐づけて蓄積していきます。会員IDから名前、住所、webのアクセスログなど、その顧客に関する情報や行ったコミュニケーションを可視化できるため、「本当の顧客像」が分かります。

また、統合前のデータを別途加工しておくことで、時系列での参照やサブジェクトごとに参照することも可能です。

簡単に顧客データを分析できる

CDPは施策のためのセグメント作成や分析のためのデータの加工などはマーケティング担当者含め非エンジニアが利用することを想定しています。

SQLなどを使わずに管理画面上でデータを扱うための機能が提供されているため、社内のさまざまな部門やグループ会社でデータを共有し、活用することができます。CDPでのデータ分析について、詳しくは下記の資料をご覧ください。

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CDPによる顧客理解と分析

さまざまなアクション系ツールに繋げられる

CDPは顧客理解が目的であるため、顧客により良いアプローチをするために分析・アクション系のツールと連携できるようになっています。MAやBIツール、プッシュ通知、web接客ツールなどにも連携可能です。

具体的には、以下のようなツール・システムとの連携が可能です。

ツール名 BI / 分析ツール MA / メール配信 / その他施策
ツールの例 ・Tableau
・Looker Studio(旧Google Data Portal)
・Yellowfin
・Amazon QuickSight
・DOMO
・Redash など
・Marketo
・Marketing Cloud Account Engagement(旧 Pardot)
・HubSpot
・Synergy!
・Karte
・DLPO
・LINE
・Repro
・WEBCAS email など

CDP導入のメリット

CDPを導入し、機能を活用することで得られるメリットは下記のとおりです。

データ連携によって最適なコミュニケーションが取れる

CDPは散らばったデータを顧客一人ひとりのデータとして統合できます。それぞれのツールごとに顧客データが散らばっていると、同じ顧客に対して、MAで送ったメルマガと同じ内容をアプリのプッシュ通知でも配信してしまうといったことが起こります。顧客のために行った施策が、顧客にとってうっとうしいコミュニケーションとなり、逆にエンゲージメントが低くなりかねません。CDPで顧客データを一元管理することで、こういったリスクを減らすことが可能です。

また、マーケティング担当がCRMの顧客情報をエクセルで出力し、MA用に加工してアップロードする…といった各々のツールに合わせる手間もなくなるため、よりスピーディーに分析を行うことができるようになります。選ばれ続ける企業となるために取り組むべきコミュニケーションの全体設計について、詳しくは下記の資料をご覧ください。

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顧客をより深く分析できる

MAでもある程度の顧客の行動を把握することができますが、CDPを導入すれば、店舗での購買情報やアプリでの行動ログなども含めた精緻な分析ができ、より顧客に寄り添った宣伝活動が可能です。

CDPは、顧客に関わるすべてのデータを集積するので、顧客が求めているものや特定の商品についてニーズが明確になり、施策の検討や実施、振り返りを行うための基盤構築に繋がります。

リアルタイムな施策ができる

ツールや設計次第の部分もありますが、CDPではリアルタイムな処理に強みを持っているツールがいくつか存在しています。

MAもある程度リアルタイムにデータを反映できるため、メールの開封率を見て新たな施策を考えることができます。CDPの場合は、オフラインのデータを取り込むことができるため、顧客が店舗へ来店したタイミングで、その顧客に合わせたクーポンを配信する、というような施策も可能になります。メルマガだけにとどまらず、顧客に最適な情報をリアルタイムな解析結果をもとに配信することで、より良い顧客との関係の構築に繋がります。

他部署との連携がスムーズになる

CDPでの分析結果を社内(グループ会社)で共有することで、さまざまな部門で活用できるようになります。

例えば、下記のような使い方です。

  • マーケティング部門:顧客へのマーケティング施策
  • お客さま対応部門:クレーム対応
  • 製造部門:生産数や期間の調整

各部門がそれぞれに業務を改善できます。これにより社内全体の効率化も期待できるようになります。

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