2024.10.09

CDPの比較|人気のCDPタイプ・比較時に確認するべき12のこと

CDPの比較|人気のCDPタイプ・比較時に確認するべき12のこと

CDPとは、米国や欧州を始めとして、ここ数年で導入が急増している人気のマーケティングシステムです。顧客データ活用に特化しており、主に顧客データの収集・統合・加工・連携の機能を備えています。

CDPはツールによって特徴があり、また、要件によっては自社開発した方がコストを削減できる場合もあるため、それぞれ正しく理解したうえで比較することがとても大切です。

本記事では、CDP製品の導入とクラウドを利用したCDPを開発した場合の比較、CDP製品のタイプ別の比較、CDPベンダーを比較する際におすすめの12項目を解説します。

弊社はCDPベンダーですが、さまざまなシステム開発を行っている会社でもあるので、技術的な面も含めて説明していきます。

CDP検討マニュアル

CDP製品とクラウドを利用したCDP開発の比較

現在、日本でCDP製品を提供している主な企業は以下のとおりです。

  • 弊社EVERRISEの「INTEGRAL-CORE」
  • トレジャーデータの「Treasure Data CDP」
  • プレイドの「KARTE Datahub」
  • ブレインパッドの「Rtoaster Insight+」
  • Tealiumの「The Customer Data Hub」 など

このようなSaaSとして提供されているCDP製品の導入を考えている企業は多いかと思いますが、クラウドを利用して自社専用のCDPをゼロから開発することも可能です。どちらを選択する方がメリットがあるかについてはその企業が求める機能や要件によって異なります。

CDPの比較段階に入るとCDPを導入すること自体が目的化してしまうケースも多いですが、ツールの選択においては「CDPを使って何を実現するのか」がもっとも大切なことです。CDPの導入がすべて問題を解決するわけではなく、CDP製品の導入がその会社のもっとも最適な解決策であるとも限りません。最初からCDP製品の導入に固執せず、クラウドを利用したCDP開発も含めて比較・検討することが重要です。

クラウドを利用したCDP開発のメリット

カスタマイズ性の高さ

自社のニーズやビジネス要件に合わせて、自由にカスタマイズできることが大きなメリットです。自社特有の顧客データやマーケティング活動に合わせた機能を実装し、より適切にデータを活用できます。

データの完全な所有権

クラウドを利用したCDP開発であれば、自社の環境でデータの管理を行うことができます。

運用コストの制御

利用データが小さかったり、利用用途が限定的である場合には、クラウドを利用したCDP開発の方が初期の開発および運用コストが小さくなります。

セキュリティの向上

クラウドを利用したCDP開発であれば、自社のセキュリティルールを適用しやすくなります。

クラウドを利用したCDP開発のデメリット

開発コストと時間

クラウドを利用したCDP開発は、時間・コスト・エンジニアのスキルなどのリソースを必要とします。とくに初期開発段階で大きな投資が求められ、プロジェクトの成功までに長い時間がかかることもあります。

運用・保守の負担

クラウドを利用したCDP開発の場合、システムの運用・保守も自社で行わなければならず、アップデートやトラブル対応に時間とコストがかかります。また、セキュリティパッチの適用やシステムの改善にも常に対応が必要です。

スケーラビリティの問題

システムのスケールアップが必要になった場合、設計次第では柔軟に対応できない場合があります。急速に成長するデータ量に対応できるようなインフラの設計が重要になりますが、それには専門的な知識が必要です。

市場動向への対応遅れ

CDPは進化の早い分野であり、業界のトレンドや新しい技術に迅速に対応するには大きなリソースが必要です。CDPベンダーはこれらの技術を取り入れてサービスを更新していくため、競争上不利になる可能性があります。

CDPのタイプ別の比較

CDP製品の方が適していると判断した場合、CDP製品の比較に進みます。さまざまなCDP製品がリリースされていますが、それぞれに異なるタイプがあり、それに伴って提供される機能も変わります。

特に大きく異なる点が2つあります。知識として把握し、比較・検討にお役立てください。

ベスト・オブ・ブリードのCDPとスイート(オールインワン)のCDPの比較

CDPには、ベスト・オブ・ブリードの製品とスイートの製品があります。

ベスト・オブ・ブリードの製品はデータ管理が目的です。分析や施策の実施において外部ツールとの連携を前提として設計されています。CRMツールはA社・MAツールはB社・BIツールはC社のように、業務や目的ごとに最適な製品を選択します。

対して、スイート製品は分析や施策の実施が目的です。製品の成り立ちとして、データ分析やメール配信やプッシュ通知配信の機能を持つ製品がCDP領域の機能も拡張したという背景から、データの管理のみでなく分析や施策の実施も製品内で行えるようになっている場合が多いです。

ベスト・オブ・ブリードとスイートには双方にメリット・デメリットがあります。簡単にまとめると下表のとおりです。

CDPのタイプ ベスト・オブ・ブリードのCDP スイートのCDP
メリット ・目的にあわせて最適なツールを組み合わせられる
・ツールが独立しているため、より優れた機能や最新技術を取り入れた製品に移行しやすく、機能のカスタマイズがしやすい
・セキュリティや製品自体のサービス存続に関する問題が起きた際に、問題のあるツールだけへの対処で済む
・同一ベンダーの製品のため、製品やアプリケーション間のデータ・機能に互換性がある
・UIや操作性が統一されていることが多く、学習コストを抑えやすい
・トラブル時に同じベンダーから一貫したサポートを受けられる
デメリット ・システム構成や運用が複雑になりやすい
・製品ごとに使用感やUIが異なるために学習コストが大きくなりやすい
・製品ごとのライセンス管理やアップデート、連携のための追加開発といった手間が発生する
・トラブル時に各ベンダーからサポートを受ける必要がある
・分野によっては不足している機能があり、機能の細かなカスタマイズには対応していないケースが多い
・スイート製品は多機能な分費用が高額なことが多く、不要な機能があるとその分無駄な費用となる
・1つのベンダーに依存するため、一部の機能がなくなったり足りない機能に後から気づいた場合でも簡単に他製品への切り替えができない
・アップデート時のトラブルやサービス存続に関わる問題が起こると影響範囲が大規模になる

弊社としては、ビジネスを拡張していく予定であり、データ活用を全社的に進めていくのであれば、ベスト・オブ・ブリードのCDPがおすすめです。理由としては、ビジネスフェーズに合わせて最適なコストで導入を進められ、既存ツールを使い続けながらCDPを導入できるためです。

しかし、マーケティングで実現したいこと、重視しているものによってどちらを選択すべきかは変わるので、自社に合ったものを選択することが大切です。

ベスト・オブ・ブリードとスイートについては、ぜひ以下の記事も合わせてご覧ください。

関連:ベスト・オブ・ブリードとは?スイートとの違い、それぞれのメリット・デメリット

ノーコードのCDPとエンジニアリングが必要なCDPの比較

ノーコードのCDPとはプログラミングの知識を一切必要とせず、目的の処理を実現できる製品です。対して、エンジニアリングが必要なCDPとはプログラミングの知識が必要な製品です。

ノーコード製品は、プログラミングの知識や技術がなくても、画面操作のみで用意された機能の中から選択することで誰でも課題を解決でき、要件をまとめて社内のエンジニアまたは外注先に伝えて実装してもらうという工程が必要ないため非常に人気です。

しかし、裏を返せばノーコード製品は用意された機能やテンプレートの範囲内でしかカスタマイズできないということです。

本来、ノーコード製品で十分対応可能かどうかは、ビジネス要求を適切に行い、機能要求を完全に整理していないと判断できません。今後も必要な機能や実現したいことが増えていく可能性のある場合には完全なノーコード製品を選択することはリスクが大きいと言えます。

とはいえ、CDPを選ぶ際にはノーコードのCDPか、エンジニアリングが必要なCDPかの2択というわけではなく、部分的にノーコードで対応できたり、プログラミング言語を用いてカスタマイズできるローコードのCDPも存在します。

「ノーコードだから良い」「すべてカスタマイズできるから良い」ということではないので、CDPを比較する際にはご注意ください。ノーコードについては下記の記事で詳しく解説しています。

関連:ノーコードのマーケティングツール・システムのメリットとデメリット

CDP製品を比較する際に各ベンダーに確認するべき12のこと

ここからは、CDPベンダーを比較する際に確認するべきおすすめの12項目を紹介します。さまざまなCDPベンダーに質問を投げかけ、比較・検討にお役立てください。

1.データ統合の対応範囲・既存のシステムとの連携

マーケティング部で使用しているCRMやMA、カスタマーサポートで使っている問合せ管理システムなどがあれば、それらの既存のシステムとどの程度統合できるか確認します。

また、ツールによってデータの持ち方が異なるケースが多いため、どのような種類のデータやフォーマットでも統合できるのか確認しておきます。

2.匿名顧客と既存顧客のトラッキング

CDPは、匿名顧客から既存顧客まで、顧客の行動から分析を行えるように設計されています。

イベントデータを収集するweb・モバイルSDKを提供しているか、メール・ユーザー名などのIDベース、ブラウザCookieなどのクッキーベースのトラッキングを行えるかを確認しましょう。

3.データクレンジングや名寄せ機能

不正確なデータは誤った意思決定に繋がります。データクレンジングや名寄せ、データの精度について確認します。

統合した顧客プロファイルが管理画面でどのように確認できるかも、デモ画面で見せてもらいましょう。また、どの程度自動化して行えるのかも確認しておくのがおすすめです。

4.リアルタイムデータ処理

リアルタイムでのデータ処理が必要な施策を行う場合は、リアルタイムでのデータ更新やアクションがどの程度可能なのかを確認することが重要です。

5.ローデータへのアクセス

CDPのみであらゆるデータタイプのローデータにアクセスできるか確認します。

カスタマージャーニーで起こる重要な顧客行動・ニーズを明らかにするためには、ローデータへのアクセスが欠かせません。GUI、API、SQLを介してローデータへのアクセスが可能なCDPであるか確認しましょう。

6.セグメンテーションの柔軟性

条件ベースや行動ベースでの詳細なセグメンテーションが可能か確認します。

7.施策へのデータ活用・他ツールとの連携性

セグメント作成したデータを施策へどの程度活用できるのか確認します。メールやプッシュ通知、web接客、広告など、どのチャネルに対応しているかも確認します。

また、マーケティングキャンペーンや施策実行をどの程度自動化できるのかも確認します。

8.プライバシーやデータガバナンス

データの利用には法的な規制やプライバシーの配慮が必須です。とくに個人情報の取り扱いにおいて、どのようなガバナンス機能やコンプライアンスへの対応が提供されているか確認することは重要です。

また、CDPは全社共有できるツールですが、アクセスを制限したい場合はどの程度制御できるのかも確認すると良いでしょう。さらに、自社専用のCDPを構築したい場合は専用のクラウド環境で構築が可能か確認しておくことも大切です。

9.非技術者による使用

マーケティング担当者など技術的な知識がないユーザーでもCDPを使いこなせることが重要です。使いやすいUIや施策実行まで非技術者が対応可能かどうか確認します。

10.拡張性やアップデート対応

ビジネスが成長するに従い、CDPもスケールアップする必要があります。データ量の増加に対応できるかどうかや、顧客・使用する従業員の増加に対するシステムの安定性を確認する必要があります。

また、新しいテクノロジーやマーケティングトレンドに合わせたアップデートが行われるかも確認します。

11.価格体系や追加費用などのコスト

CDPの導入には初期費用だけでなく、追加機能の利用やデータ量の増加に伴う費用が発生することがあるため、価格の透明性と将来のコストについてもあらかじめ確認しておくことが重要です。

年間契約か月次契約か、キャンセルポリシーなどについても確認します。

12.サポート体制

CDP導入後の問題解決や新機能の利用についてのサポートがどの程度手厚いか、またコミュニティやドキュメントの充実度を確認します。

適切なCDPの選び方や部署ごとのユースケース・事例なども下記の資料で詳しく紹介していますので、あわせてご活用ください。

無料資料:CDP検討マニュアルのダウンロードはこちら

CDP検討マニュアル

弊社EVERRISEのご支援

弊社はCDP「INTEGRAL-CORE」の提供を行っています。同時に、システム開発会社ならではの技術ノウハウにより、各社のデータ活用の目的やフェーズに合わせて、実現に向けたステップをご提案・各企業のご要望に合わせてカスタマイズしたCDPの開発も可能です。

技術視点を持ったデータ活用スペシャリストがお話を伺いますので、上記について疑問点があればお答えできますし、ここまで「何を実現したいかが大事」とお伝えしてきましたが、ぼんやりと考えている状態でも無料でご相談いただくことが可能です。その中で御社にとって必要なことをまとめていっていただけたらと思います。

ぜひお気軽にお問合せ・ご質問いただけたらと思います。

CDP「INTEGRAL-CORE」について

弊社EVERRISEでは、顧客データをノーコードで管理できるCDP「INTEGRAL-CORE」を提供しており、これまでTVerさまやキーコーヒーさま、hoyuさまなどを含め複数社の導入実績がございます。

  • CDP「INTEGRAL-CORE」の特長
    • 顧客に関するあらゆるデータを収集・統合
    • ノーコードでデータ集計やセグメント作成
    • 外部連携機能でBIツール・MA・CRMなどへデータを渡し、マーケティング施策へ活用可能
    • 自社開発システムならではの総合支援体制
    • 専用環境での提供も可能な国産CDP

CDP「INTEGRAL-CORE」の機能や特長、ユースケース、実際の画面については、以下の無料資料で詳しく紹介しています。データ活用にお困りの際はぜひお気軽にご相談ください!

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