2023.08.10

ノーコードのマーケティングツール・システムのメリットとデメリット

ノーコードのマーケティングツール・システムのメリットとデメリット

市場が成熟し、顧客の購買行動も変化している中で、BIツールやMAツール、CRMツールなど多くのマーケティングツール・システムがリリースされています。

その中でも「ノーコード」のマーケティングツール・システムが昨今注目されています。

本記事では、ノーコードのマーケティングツール・システムについて、ノーコードの概念から利用する際のメリット・デメリットを踏まえてどのようにツールを選定するべきなのかについても説明します。

企業を強くするデータの持ち方・使い方

ノーコードのマーケティングツール・システムとは

ノーコードのマーケティングツール・システムとは、プログラミングの知識を必要としない、市場調査・分析・商品開発・宣伝・効果測定などの企業が製品やサービスを販売するために行うマーケティング活動をサポートするソフトウェアのことです。

例えば、下記のようなツールがあり、他にもさまざまなマーケティングツール・システムがノーコードで利用できます。

  • Salesforce Sales Cloud(株式会社セールスフォース・ジャパン)やHubspot CRM(HubSpot Japan株式会社)などのSFA/CRMツール
  • SATARI(SATORI株式会社)やMarketo(アドビ株式会社)などのMAツール
  • 弊社の提供する顧客データ基盤CDP「INTEGRAL-CORE」も基本的な機能はノーコードで利用可能 など

ノーコードとは

ノーコードとはソースコードの記述を一切必要とせず、何かしらの処理が実現できることです。

当然ながらその処理にはソースコードが存在しないのではなく、ノーコードのツール・システムを開発した際にはソースコードがあり、利用者はそのツール・システム上でフォームの入力やクリック、スクロール、ドラッグ&ドロップなどの画面操作のみで利用できる状態です。

日本では「ノーコード=コードを書かずにシステムやアプリケーションを開発・構築すること」と定義されることが多いですが、ノーコードが話題になるきっかけとなったアメリカの記事「「NoCode(ノーコード)」時代の幕開け」では、必ずしも開発・構築に限ったことを意味していません。

ローコードとノーコードの違い

ノーコードと似ている言葉で「ローコード」があります。ローコードとは必要に応じて少ないソースコードのみ記述して、何かしらの処理を実現することです。

まったくソースコードを書かないノーコードと比べて、知識や技術、時間が必要になるというデメリットはありますが、機能の拡張や外部サービスやほかのツールとの連携、カスタマイズをノーコードよりも柔軟にできる点が特徴です。

ノーコードのマーケティングツール・システムが増えている背景

みずほ情報総研株式会社のIT人材需給に関する調査によると、働き方の多様化や新型コロナウイルスの流行の影響によるリモートワークの普及やDXの推進により、データ活用や業務のデジタル化のニーズが近年急増しており、それに伴いIT人材不足が多くの企業で課題となっています。

これまでのマーケティングツール・システムには、ほかのシステムとの連携やカスタマイズなどにおいてプログラミングの知識を必要とするものが多くありました。企業内にプログラミングの知識を持った人材が不足している場合、導入から要件定義→設計→開発といった工程を専門の業者に委託する必要があります。

専門の業者に委託する場合、多大なコストがかかるのはもちろんのこと、何か変更があった場合にスピーディーな対応ができなくなってしまう問題がありました。これらの問題を解決してくれるのが、プログラミングの知識を必要としない、いわゆるノーコードのマーケティングツール・システムです。

このようにIT人材不足の問題を解決したいというニーズが増えたことに伴い、ノーコードのマーケティングツール・システムの需要も増加し、それに対応するサービスも増え続けています。

ノーコードのマーケティングツール・システムを使うメリット

プログラミングの知識がなくてもやりたいことを実現できる

ノーコードのマーケティングツール・システムはプログラミングの知識や技術がなくてもやりたいことを実現できます。例えば、HTMLやCSSを書かなくてもテンプレートやパーツを選ぶだけでwebサイトを作成できたり、SQLを書かずにデータの処理ができたり、処理したデータを見やすい形に可視化したりできます。

時間をかけずにやりたいことを実現できる

ノーコードのマーケティングツール・システムを使えば、プログラミングの知識がなくても画面操作のみで用意された機能の中から選択することで誰でもやりたいことを実現できます。

要件をまとめて社内のエンジニアまたは外注先に伝えて、実装してもらうという工程が必要なく、時間をかけずにシステムを必要としている人の要望をそのまま反映できます。内部の人間だけで対応が可能になり、エンジニアリソースや採用コストの削減に繋がります。

ノーコードのマーケティングツール・システムを使う際の注意点

自由度や拡張性が制限される

ソースコードを書かずにやりたいことが実現するというのはメリットですが、裏を返せば用意された機能やテンプレートの範囲内でしかカスタマイズできないということです。

完全にノーコードのツールだと機能を拡張したい場合や外部と連携したい場合にも用意されている連携先以外には対応できず、やりたいことがすべて実現できない可能性があります。

ノーコードのツールを使っていく中で、エンジニアリソースを割いてでも実現したいことが出てきたとしても、そもそもソースコードを編集する・追加することに対応していない場合も多いため注意が必要です。

ツールへの依存度が高い

ほかのツールとの連携機能がある場合は、APIのバージョンやセキュリティ制御の面でツールへの依存度が高くなる点にも注意が必要です。

導入を決める前に、APIのバージョンアップは適切に実施されているか、必要なセキュリティ対策はされているか、また、アカウントの権限管理など自社で行いたいセキュリティの制御に対応しているかを確認しておくことが大切です。

目的に合わせたマーケティングツール・システムの選択

メリット・デメリットを考慮したうえで、ノーコードのマーケティングツール・システムを選ぶかどうかは、ツール導入の目的や今後どのような拡張が必要になるかを含めて十分に検討し、判断する必要があります。

ツールの種類や導入方法を選ぶ際に、ノーコードのマーケティングツール・システムか、フルスクラッチで0から希望どおりのツールの開発するかの2択というわけではなく、必要な場合のみ部分的にソースコードを用いてカスタマイズや拡張のできるローコードのツール・システムも有効な選択肢の1つです。

例えば、運用方法や今後必要になる機能なども明確になっていて、小規模もしくは比較的単純なシステムの場合はノーコードが向いています。対して、今後も必要な機能ややりたいことが増えていく可能性のある大規模で複雑なツールにはノーコードを選択することはリスクが大きいといえます。導入の目的にあわせて最適なツール・開発方法を選択しましょう。

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