2022.12.28

BIツールのダッシュボードとは?レポートとの違い、構築のポイント

BIツールのダッシュボードとは?レポートとの違い、構築のポイント

DXを推進する企業が増え、データドリブンマーケティングが注目される中、膨大なデータを分析に活用し、分析結果を意思決定に有効に利用するためのツールの1つとしてBIツールがあります。BIツールの主な機能としてデータを可視化するダッシュボードがあります。

本記事では、BIツールのダッシュボードについて、レポートとの違いや主な機能、構築・導入・運用のポイントを紹介します。

顧客理解のためのデータ分析とダッシュボードの構築方法

BIツールにおけるダッシュボードとは

BIツールにおけるダッシュボードとは、さまざまなデータを分析した結果のレポートを、目的に応じて1つの画面にまとめたもののことです。主に現状の把握や評価のために利用されます。

グラフや表を用いてデータが見やすく可視化でき、知りたい情報をひと目で確認することができます。

また、毎回データソースを読み込んで表示する仕組みなので、データソースの更新頻度に応じていつでも最新のデータを確認できます。

ダッシュボードとレポートの違い

レポートは、指定した条件でデータを絞り込み、抽出・リスト化したものを指します。対して、ダッシュボードは目的に応じて、必要な情報が得られるレポートを選択して1ページに束ね、グラフや表で可視化して作成したものです。

例えば「メール開封率」や「クリック率」、「メール経由のコンバージョン」などのメルマガ関連のレポートを束ねた「メルマガの効果測定ダッシュボード」を作成するという考え方です。

多くのBIツールやCRMツールにおいて、このようなレポートとダッシュボードの考え方を採用していますが、明確な定義が存在しているわけではありません。

BIツールのダッシュボードでできること

ダッシュボードの機能はツールによって異なりますが、多くのBIツールのダッシュボードでできることを紹介します。

グラフや表の作成

データソースから取得したデータを用いて表やグラフを作成できます。可視化したいデータと描画形式を選択し、棒グラフ・折れ線グラフ・円グラフなどさまざまな種類の表やグラフが簡単に作成できます。

ドリルダウン分析

ダッシュボードにデフォルトで表示しているデータから、期間や項目の階層を掘り下げて、特定の条件を指定してより詳細な分析結果を表示できます。例えば、国全体の結果を表示していた項目を都道府県別に表示したり、1年で見ていた結果を月ごとに表示したりするなどです。

エクスポート機能

ダッシュボードのその時点のデータを、Excelやスプレッドシート、CSV、PDFなどのドキュメントとして出力できます。オンライン上のドキュメントの場合は、手動または自動で最新のダッシュボードのデータに更新できるものもあります。対応しているエクスポート先はツールによって異なります。

シミュレーション機能

データソースから取得したデータの分析結果に基づいて、未来の数字の予測ができます。過去のデータに基づく単純な予測だけでなく、条件の変化やパターンを設定して予測できるWhat-if分析や、目的やゴールから逆算して必要な数値を算出する機能もあります。

ダッシュボードを利用するメリット

レポーティングの作業工数を削減し常に最新の情報を把握できる

ダッシュボードは、一度作成すれば表示するたびにデータソースの情報を自動で取得して、最新の状態に更新されるので、Excelやスプレッドシートのレポートのように手作業で更新する手間や手作業でのミスがなくなります。よって、手が回らずレポートが疎かになったり、必要な情報の把握が遅れることがなくなり、異常の検知にも役立ちます。

データに基づいた迅速な意思決定が可能になる

ダッシュボードに必要な情報を最新の状態で1ページにまとめられるため、複数のツールやレポートを参照することなく、BIツールのダッシュボードを見るのみでデータに基づいた意思決定が可能になります。複数のレポートやツールを参照しなくてはいけない状態に比べ、意思決定のスピードが上がります。

データの共有が容易になる

社内のデータをBIツールで一元化し、ダッシュボードを作成して必要なデータを可視化することで、部門や部署をまたいだ情報の共有がしやすくなり、パフォーマンスの把握が容易になります。

また、データソースや該当のシステムへのアクセス権限がなくてもダッシュボードを共有することで、誰でもいつでも必要なデータを分かりやすい状態で確認できるようになります。ツールによって、データの閲覧権限の操作のしやすさが異なるため、特に事業横断で導入をする場合には、BIツールの機能に関する利用の権限のみでなく、データの閲覧権限の観点も含めてツール選定を行う必要があります。

データの確認のために、編集可能な元データへのアクセス権を与える必要もなくなるので、誤って重要なデータを編集や削除をするリスクも減らすことができます。

BIツールで構築したダッシュボードの例

BIツールのダッシュボードは目的に合わせて作成されるため、表示するデータもさまざまです。本記事ではBIツールの1つであるLooker Studio(旧:Googleデータポータル)が提供しているサンプルダッシュボードを3つ紹介します。

広告ダッシュボード

dashboard 01

引用元:Looker Studio「[Sample] Google Ads Overview Report

1つ目はGoogleの広告配信結果を確認するためのダッシュボードです。基本的な広告配信の指標に加えて、関連のある数値を折れ線グラフで表示して、変化が視覚的に分かりやすくなっています。右下はデバイスごとの割合が円グラフで表示されていて、ひと目で把握することができます。

web解析ダッシュボード

dashboard 02

引用元:Looker Studio「[Sample] Google Analytics Marketing Website

2つ目はGoogleAnalyticsのデータを使用したマーケティング用のダッシュボードです。webサイトのアクセス解析の結果をグラフや地図を利用することで視覚的に捉えることができます。

eコマースダッシュボード

dashboard 03

引用元:Looker Studio「[Sample] Ecommerce & Google Ads Dashboard

広告配信結果とアナリティクスの2つのツールのデータを使用したeコマースダッシュボードです。売上や購入単価、購入数と言った購買データと広告費や売上に貢献している流入元、広告キャンペーンデータを1画面にまとめています。広告の売上への影響が確認できます。

下記の動画では、顧客理解のための分析手法からダッシュボードの構築方法までを分かりやすく説明しています。あわせてご活用ください。

顧客理解のためのデータ分析とダッシュボードの構築方法

BIツールにおけるダッシュボードの作成・カスタマイズの注意点とポイント

1. 誰が何を見るためのダッシュボードを作るのか明確にする

作成する前に「誰が」「なにを」見るためのダッシュボードなのかを明確にする必要があります。

1つのダッシュボードで何もかも見ようとするのではなく、マーケティング担当者が「サイト全体のアクセス解析を日時で確認する」、マーケティング担当と営業担当が「既存リードの動きを週次で確認・共有する」、営業の責任者が「担当者別に営業成績を月次で確認する」といったように、見る人や目的を明確にしてそれぞれのダッシュボードを作成することで、より有効に利用ができます。

2. 必要な指標を過不足なく選ぶ

ダッシュボードの目的を満たすために表示すべき指標を過不足なく選ぶことも大切です。表示する情報が多すぎても見づらくなりますし、必要な情報が不足すると正しい判断ができません。そのダッシュボードに本当に必要な情報かどうかをしっかりと検討し、必要最低限の情報をまとめられると、見やすく使いやすいダッシュボードになります。

3. 分析結果の適切な表現形式を考える

ダッシュボードでは、さまざまな形式のグラフや表が選択できます。表示するデータの特性にあわせて適切な形式を使い分ける必要があります。

例えば、月ごとの売上を比較したい場合は棒グラフ、時間帯や決まった期間でのアクセス数の推移を時系列で分析したい場合は折れ線グラフが適しています。その他にも、割合を視覚的に把握できる円グラフや、地域性の関係する分析に有用な地図表示なども利用できます。

どのデータを選択するかと同じくらい、どの形式で表示するかでダッシュボードの使いやすさが大きく左右されます。

4. 作成後の運用体制を整える

ダッシュボードの作成後の運用体制をしっかりと整えることも大切です。形骸化させずに状況の変更に応じてダッシュボードをアップデートし、使い続けられるようにします。

どのツールにも言えることですが、作成・導入には力を入れても、運用体制が整っていないと放置され、一時的なもので終わってしまいます。誰が責任を持ってアップデートし続けるのかを作成時にしっかりと確認しましょう。

関連:デジタルマーケティングの効果測定の方法と指標、分析に役立つツール

BIツールでのダッシュボード作成に必要な準備データ基盤

BIツールはさまざまなデータの分析結果を一元化し、ダッシュボードで可視化することでデータに基づいた迅速な意思決定を可能にしますが、可視化するデータはダッシュボードに表示するまでに、下記のような工程が必要になる場合がほとんどです。

  1. データの収集
  2. データを統合するための前処理
  3. データの統合
  4. データマートの作成
  5. BIツールへのデータ送信・BIツールからデータを参照

BIツールはデータを可視化するツールのため、データを適切な形で統合したうえで蓄積しておく箱は基本的には別で用意する必要があります。

加えて、BIツールに取り込む前にデータを統合するための前処理、データの統合、データマートの作成を行う必要があります。BIツールの機能として取り込んだデータの整理ができるものもありますが、データの統合・集計処理としては不十分なことが多いためです。

データを統合するための前処理・統合とは、各データ型の指定やデータ粒度の整理、データのクレンジング、BIツールでデータを正しく表示するために足りないデータの補充などを行うことです。

また、データマートとは、目的に応じて必要なデータだけを抽出、加工して利用しやすい形で格納しておくものです。蓄積した膨大なデータ全体をBIツールが直接参照したり、ダッシュボードで描画するために集計処理が必要な状態のデータだと表示に時間がかかる原因になるため、データマートの作成も必要になります。

これらの工程を経たデータをBIツールに送信、またはBIツールから参照することで、初めてデータを可視化することができます。

CDPとBIツール連携

BIツールのダッシュボードを利用するためには、すべてのデータを1か所に集約し、分析したいデータを柔軟にBIツールに連携できる環境が必要です。そのインフラとしてCDP(Customer Data Platform)が1つの解決策となります。

関連:CDPとは?カスタマーデータプラットフォームの機能やメリット、活用例を解説

CDPとは「データの収集」「データを統合するための前処理」「データの統合」「データマートの作成」「BIツールへのデータ送信・BIツールからデータを参照」の5工程を一括で行えるデータ基盤です。特に、顧客に関するデータを分析したい場合に有効です。

例えば、サイト内の行動データなどはweb解析ツール、購買履歴はCRMツール、メールの配信結果はMAツールのように、データを持つそれぞれのツールと連携してCDPにデータを収集します。その後、keyとなるデータを決めて顧客単位で統合し、データマートを作成します。分析に必要なデータだけを必要な構造で格納し、BIツールに送信できます。

利用するBIツールに対象のデータソースがコネクタとして公式に連携されていれば、BIツール側の管理画面からの操作でデータを取り込み、そのまま利用することも可能です。

さらに、CDPはセグメントを作成することもでき、コミュニケーションツールに対してもデータを連携できるため、分析結果をもとに施策を行いたい場合にも役立ちます。CDPとBIツール連携について、詳しくは下記の資料をご覧ください。

無料資料:CDPによる顧客理解と分析|BI連携でひろがるデータの可視化をダウンロードする

CDPによる顧客理解と分析

EVERRISEが提供するCDP「INTEGRAL-CORE」

弊社EVERRISEでは、顧客データをノーコードで管理できるCDP「INTEGRAL-CORE」を提供しており、これまでTVerさまやキーコーヒーさま、hoyuさまなどを含め複数社の導入実績がございます。

  • CDP「INTEGRAL-CORE」の特長
    • 顧客に関するあらゆるデータを収集・統合
    • ノーコードでデータ集計やセグメント作成
    • 外部連携機能でBIツール・MA・CRMなどへデータを渡し、マーケティング施策へ活用可能
    • 自社開発システムならではの総合支援体制
    • 専用環境での提供も可能な国産CDP

CDP「INTEGRAL-CORE」の機能や特長、ユースケース、実際の画面については、以下の無料資料で詳しく紹介しています。データ活用にお困りの際はぜひお気軽にご相談ください!

無料資料:CDP「INTEGRAL-CORE」サービス資料のダウンロードはこちら

Related Post

関連記事