2022.10.06

データ収集工数を50%以上削減。東京ガスリブソリューションズがスモールスタートで始めるデータドリブン経営|データ統合基盤開発事例

データ収集工数を50%以上削減。東京ガスリブソリューションズがスモールスタートで始めるデータドリブン経営|データ統合基盤開発事例
業種 エネルギー・住宅設備業界
導入サービス データ統合基盤開発

東京ガス株式会社(以下東京ガス)の子会社である東京ガスリブソリューションズ株式会社(以下東京ガスリブソリューションズ)は、「お客さまファースト」の考え方を重視し、暮らしや社会課題解決型の新規事業創造と運営を行うために新しく設立された会社です。

東京ガスリブソリューションズさまでは、2つの事業の子会社を含めた、それぞれの事業を横断したデータの分析と活用のためのデータ統合基盤の整備が求められていました。

その中でEVERRISEは、実験的に現状のデータの収集と統合を行い、本格的なデータ統合基盤構築時に活かすための簡易的なデータ統合の仕組みを開発支援しました。

本プロジェクトを進められた、経営企画部企画総務グループマネージャーの今泉佐和子さまに、プロジェクトの課題背景やEVERRISEを選んだ理由について伺いました。

課題 ・事業内のデータを横断して分析・活用するためにデータ統合基盤を整備したい
・データ収集コストを削減したい
解決策 ・事業内で現在よく使われているデータを対象に簡易的なデータ統合の仕組みを構築し、データ活用の環境を整備
成果・効果 ・データ収集・整形にかけていた作業時間を50%以上削減
・データの共通化と統合によって、より正確なデータの利用が可能に

課題背景・目的

既存事業の枠にとらわれない、新規事業創出企業

―― はじめに、東京ガスリブソリューションズさまの事業について伺えますか?

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経営企画部 企画総務グループマネージャー 今泉佐和子さま

東京ガスリブソリューションズは、2019年3月に東京ガスの子会社として設立されました。弊社ではモノ・サービス・エネルギーを組み合わせた新規事業の創出を行い、新規事業を運営する子会社の運営管理や支援を行っています。

現在は、東京ガスリブソリューションズの子会社である株式会社ヒナタオエナジー(以下ヒナタオエナジー)と、株式会社スミレナ(以下スミレナ)の2社の運営・支援をメインに行っています。

ヒナタオエナジーには電気・ガスの小売事業と太陽光エネルギーサービス事業の2つの事業があります。電気・ガスの事業では、お客さまのニーズに応えるサービスを付加したエネルギープランを提供しているほか、初期費用0円で手軽に導入できる太陽光サービスを提供しています。(条件によっては費用が発生する場合があります)

スミレナは「web接点のリフォーム事業」として、住宅設備を月々定額という新しいスタイルで購入できるサービスを提供している会社です。

スミレナが提供するサービスでは、東京ガスグループで長年培われてきた住宅設備や施工に関する知見・経験を活かし、初期費用を抑えて家計に負担をかけずにガス機器・水回りのリフォームを可能にしています。

―― 今泉さまの業務内容について伺えますか?

私は東京ガスリブソリューションズの経営企画部に所属し、主にヒナタオエナジー・スミレナの事業の運営支援、基盤提供の2つを行っています。

事業の運営支援では、主に取締役会や経営会議、コーポレートガバナンスの実施を行っています。また、事業の基盤提供では、総務・人事・経理や、IT・OA関連の機能部分とデータの管理を行っています。

この基盤提供のITの部分で、データ基盤整備が課題となっていました。

新規事業を創出し続け、データドリブン経営を支えるためのデータ統合基盤

――データ基盤の整備によって、最終的にどのようなことを目指していたのでしょうか?

データを1か所に集約して分かりやすく可視化し、データドリブン経営の実現を目指しています。

東京ガスリブソリューションズは、子会社の事業の運営支援を行うとともに、技術革新や市場構造の変化を捉えつつ、既存の販売モデルとは異なる手法で素早く事業を創出・提供していく会社です。

新規事業の創出にはさまざまなデジタルツールを使いこなし、かつそこで発生したデータをもとに改善・運用、意思決定をしていく必要があります。また、ツールや事業ごとのデータを個別に見るのではなく、全事業を横断したデータを分析し、経営状況を正確に判断することが求められます。

しかし、当社と子会社の3社ではデータがバラバラに管理され、事業ごとに見られる経営指標なども異なり、事業を横断した経営状況の判断ができず、手作業で分析を行おうとしても必要なデータを集めるだけでも相当の時間がかかっており、そのコストも大きな問題になっていました。

3社全体のデータを一元管理し、事業の正確な分析とコスト削減を実現するために、データ基盤の構築が必要だと考えていました。

―― データの集計にはどの程度の時間をかけていましたか?

月に一度、各社の会計などのデータを集計して見ていますが、作業としては4〜5時間ほどかかっていました。まとまった作業時間を取れるわけではないので、着手してからデータの集計が完了するまで1日〜1日半かかってしまうこともありました。

事業内ではさまざまなシステムを使っていますが、すべて個別に管理されデータが繋がっておらず、まさにデータのサイロ化が起きていました。

さらに、事業として成長段階ということもあり、各担当者がデータの管理を試行錯誤する過程で、データのレイアウトが変わる、データの場所が変わる、といったことが頻繁に起き、その確認作業にも手間がかかっていました。

本格的なデータ基盤構築の前段階として、まずは3社間のデータ収集の流れを整理し、データの収集から整形までの工数削減を目的として本プロジェクトを進めました。

EVERRISEを選んだ決め手

本当に実現したいことへの解決策を一緒に考える姿勢

―― データ基盤の整備が急務となる中で、どのようにしてEVERRISEを見つけたのでしょうか?

データを扱うツールやサービスは数多くあるので、MAツール・BIツール・CDPと、とにかくたくさんの会社にヒアリングをしていました。

プロジェクトメンバーとデータの整理は行ったものの、それをどのように実現するのか、ツールを導入するのであればどのサービスが最適なのか、バラバラになっているデータをどのように管理していけばいいのか。また、まだ会社としての規模が小さく社内のデータ量が少ない段階で、どのように投資をしていくかも考えねばならず、悩んでいる日々でした。

そのような中でEVERRISEさんのデータ活用セミナーを見つけ、参加したのがきっかけです。

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―― ありがとうございます。さまざまなツール、企業を検討する中で、EVERRISEを選んでいただいた理由についてもお聞かせ願えますか?

セミナーの中の「システムやツールを導入する前に、まずデータが整っていることが大切」というお話が強く印象に残り、セミナー終了後すぐにご相談しました。

自社の課題について相談をすると、他社さんはツールの説明が中心だったのですが、EVERRISEさんは当社の実現したいことをヒアリングしたうえで、それならこうした方が良いのではないですか、といった進め方をしてくれました。

単にツール導入を勧めるのではなく、当社にとって最適な解決策を提案してくれるところが信頼できると感じ、開発を依頼することにしました。

EVERRISEの支援内容と評価

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システム構成イメージ図

プロジェクト概要

EVERRISEは本プロジェクトで、要件定義とデータ整形・変換を行うスクリプトの開発を行いました。

東京ガスリブソリューションズさまは事業の成長段階で、本当に統合すべきデータ項目の選定やデータ量の増加の予測などが難しい状態だったため、まずは簡易的なデータ統合の仕組みを構築・運用することで、実際にデータを活用可能なのかを検証するべきと考えました。

そこで、扱うデータの対象を現在運用しているものに絞り、1か所のクラウドストレージに集約し、アップロードされた各データを整形して活用する仕組みを提案しました。安価な環境と優れたメンテナンス性を重視することで、データ統合基盤の継続的にかかるコストを最小化させました。

また、現場の方々が使いやすく慣れている環境をできる限り維持するため、アウトプットするデータ形式はcsvファイルとし、Excelなどで表示・分析ができるようにしました。これにより各社担当者さまに新しい仕組みをスムーズに受け入れていただき、改善のフィードバックを受けやすい環境を目指しました。

先を見据えたシステム設計と迅速な開発スピード

―― 本プロジェクトにおけるEVERRISEへの評価を伺えますか?

まず、私たちのデータ統合に関する知識がまだ少ない中で、要件定義から丁寧にしていただけたのがありがたかったです。

最初にデータのフォーマットを各社別々ではなく共通化しましょう、ということを提案いただき、そのために必要なツールの選定においても、それぞれのメリットやデメリットを分かりやすく説明してくださいました。特に、現状の課題だけではなく、将来起こるであろう問題などまで予測して知見を提供いただけたことにはとても感謝しています。

―― 開発がスタートしてからはいかがでしたか?

開発面はとにかくスピードが早かったです。

プロジェクトによってはスケジュールが伸びてしまうこともしばしばあるかと思いますが、EVERRISEさんの場合は予定よりも早く進めていただけて驚きました。

また、仕様に関わる部分でご相談した時はいつも柔軟に対応してくださいました。

開発終了後も、とても自由度の高いシステムにしていただいたおかげで、修正が必要な際にも専属のメンバーが1〜2日で作業を完了させることができており、とても助かっています。

成果・導入効果

データ集計作業工数は半分以下に削減。データ統合によって正確なデータ利用も可能に

―― データ集計には毎回4〜5時間かかっているというお話でしたが、今回構築したシステムによってどの程度の工数削減に繋がったのでしょうか?

4〜5時間かけていた作業時間を30分〜1時間程度にまで削減することができました。また、他の業務の合間にデータの集計が行えるようになりました。

また、データが共通化され、格納場所が1か所に固定されたことにより、データの不明点に関する担当者とのやり取りやデータを探す手間を大幅に省くことができています。工数だけでなく、毎月データを探さなければならないという心理的負荷を軽減できたこともよかったです。

さらに、データが整形されることでデータの重複などもなくなり、より正しいデータを出せるようにもなりました。

今後の展望

データ活用の文化を組織全体に根付かせたい

―― データドリブン経営を目指す中で、本プロジェクトはその先駆けになったかと思います。今後の展望についてはいかがでしょうか?

最初のステップであるデータの整備ができてきたので、次はデータの可視化、分析の部分をさらに強化していきたいと考えています。今はBIツールにデータを取り込み、グラフなどの見やすい形でのデータ表示に取り組んでいます。

もう1つはシステム間の自動連携ですね。データのアップロードなどには手作業の部分が多く残っています。

今は分析レポートの形式が頻繁に更新されている段階であることや、自動化にかかる工数を考慮した結果、システム間の自動連携はデータ基盤構築の次期フェーズで進めることになり、計画を進めています。

今回のシステムで大幅に工数を削減することができましたが、このままではまだ事業会社(ヒナタオエナジー・スミレナ)側のスピード感に追いつけていないと思っています。自動化によってデータの可視化までの時間をさらに短縮したいと考えています。

事業会社側のメンバーもデータをすぐに見られる環境を作って、新規顧客獲得の施策などにも役立ててもらえればと思います。

―― データ活用においては組織内でのデータに対する意識改革なども重要になりますが、その辺りはいかがでしょうか?

先ほどもお話したEVERRISEさんのセミナーで、データ分析をうまく進めるコツのようなテーマがあったのですが、その中でまさに文化・組織づくりが大切だというお話があり、「データに文化づくりが大切なのか!」と、とても印象に残ったのを覚えています。実際に今回のプロジェクトなどを通して、本当に必要なことだと感じています。

そこで、今はデータの大切さや、データ管理の考え方などを教育していく取り組みも進めています。社内全体でデータを何に使っていくのかを自分ごととして考える文化の基盤を作ることも非常に大事だと思っています。

EVERRISEのデータ統合基盤開発

今回はスモールスタートでの、データを集約・整形する仕組み構築のご支援となりました。

データ統合基盤の構築では、開発そのものよりも組織内でのデータに関わる取り決めやフロー作成などに時間がかかり、なかなかプロジェクトが進まないといった問題が発生するケースもあります。

今回のように、組織の一部で試験的にデータ統合の仕組みを作り、素早くPDCAを回しながら全社へ展開していく方法もデータ活用には有効です。

EVERRISEではデータ統合・活用に関する開発のご相談を承っております。クラウドサービスを組み合わせたデータ統合基盤開発をはじめ、既存システムを含めたシステム連携開発など、御社に最適な基盤構築のご提案をいたします。ぜひお気軽にご相談ください。

データ統合基盤開発

お客さま情報

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企業名 東京ガスリブソリューションズ株式会社
事業内容 新規事業創出
webサイト https://www.tg-livsol.co.jp/

※本記事は、2022年9月時点の情報です。

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