2024.05.10

日本テレビ放送網のDXの中核を担うデータ基盤|データ活用支援事例

日本テレビ放送網のDXの中核を担うデータ基盤|データ活用支援事例
業種 テレビ・ラジオ放送局業界
導入サービス データ分析基盤構築 / BIダッシュボード・レポート構築

日本テレビ放送網株式会社(以下 日本テレビ)は、2023年に開局70周年を迎え、放送事業を中心にさまざまな事業を展開する民法テレビ局です。

EVERRISEは、日本テレビの「FACTlyプロジェクト」の中で、データ基盤のメンテナンスや、安定稼働のためのインフラ改善などに取り組んだほか、BIツールのダッシュボード構築や、収支データの集計・可視化・分析システム、生成AIなどの社内システムツール開発などに貢献しました。

FACTlyプロジェクトを進めているDX推進局 データ戦略部 専門副部長 川越五郎さま、副主任 辻理奈さまに、課題背景や開発支援の評価を伺いました。

課題 ・多数のデータソースからデータ収集をしているデータ基盤のデータ管理とメンテナンスにコストがかかっていた
・プロジェクト内の複数のチームにそれぞれ個別のパートナーが参画しており、開発したシステムの品質のばらつきやナレッジの分散が起きていた
解決策 ・データ基盤の運用保守・インフラ改善など
・プロジェクト内の複数チームへのメンバー参画
成果・効果 ・データ基盤のスリム化に貢献し、接続サービスや機能追加を継続的に行っても最適なコストでの運用が可能に
・FACTly全体の品質の安定化への実現とナレッジの集約

日本テレビ放送網株式会社について

日本テレビは、国内では最も古い歴史を持ち、2023年8月に開局70周年を迎えた民放テレビ局です。地上波放送、放送番組の企画・製作を始め、放送関連事業を中心に、動画配信事業、映画事業など、さまざまな事業を展開しています。

課題背景・目的

日本テレビのDXの中核を担う、FACTlyプロジェクト

―― 川越さま、辻さまの所属部門について伺えますか?

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日本テレビ放送網株式会社 川越五郎さま(写真中央) 辻理奈さま(写真左)株式会社EVERRISE 吉井ひかり(写真右)

川越
データ戦略部は、日本テレビ独自のデータ基盤「FACTly」の開発・運用を中心に、社内用の生成AIやローコードアプリケーションの開発のような、社員が利用するシステムの開発や業務改善といったDX推進を行っています。

私はもともと配信エンジニアとして「TVer」や「日テレ無料!(TADA)」、「Hulu」向けの動画配信関連システムの開発を手掛けており、インターネットを通じてコンテンツを届ける仕組み構築をしていました。その次の段階として、届けたコンテンツがどのように視聴されているかをデータで可視化したいと考え、日本テレビ全体のデータを集約し管理するための基盤を作るFACTlyプロジェクトとデータ戦略部を立ち上げました。

FACTlyは、日本テレビ内外のさまざまなデータを収集・管理し、データをもとにしたコンテンツの価値向上や意思決定、業務効率化を行うための基盤です。

FACTlyには各コンテンツの視聴データ、広告やSNSから収集したデータだけでなく、会員情報などの個人情報や収支情報まで、多種多様なデータが蓄積されています。個人情報関連データを扱う部分はCDP領域として専任のチームがありますが、それ以外のすべてのデータが関わる部分のプロダクトマネジメントを、私と辻で担当しています。

―― 日本テレビの重要なデータ基盤を作るプロジェクトということで、どのような課題があったのでしょうか。

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川越
まずシステムの課題として、データの多さとメンテナンスの難しさがありました。FACTlyが収集するデータは100種類ほどあり、そもそも管理が大変です。外部からのデータ収集時には、データの連携のタイミングが安定しなかったり、データの整形が必要だったりするため、必要なデータを確実に蓄積できる仕組みの構築と維持コストが課題でした。


人員体制の面でも課題がありました。FACTlyプロジェクトが拡大していくと、システムや機能別にチームが立ち上がるようになりました。チームごとに個別パートナーが参画していたため、開発したものの品質のばらつきやナレッジの分散が起きたり、パートナーが変わる際の引き継ぎにコストがかかったりしてしまい、プロジェクト全体の安定稼働が難しいという問題がありました。その結果、各パートナーにお任せできる仕事の幅も狭くなってしまっていました。

このような背景から、プロジェクトを安定して進めていくためにチームとして仕事を任せられる実力のある企業を探していました。

EVERRISEを選んだ決め手

求めていたのは、伴走しながらFACTlyを一緒に作っていける人材

―― パートナー企業を探すにあたって、どのようなことを重視していましたか?


限られた社内リソースの中で動いているプロジェクトのため、伴走してもらえるパートナーであるかが選定の基準で、現在でも期待していることです。指示をこなすだけではなく、プロジェクトやシステムを向上させるための提案を積極的にしていただける人材、チーム力を求めていました。

―― EVERRISEをお選びいただいた決め手は何でしょうか?

川越
他社と比較した中でも、広告、データ統合に関連する実績があり、会社への信頼感がありました。また、参画するメンバーの方との面談を通して、主体的に動いていただけそうか、提案力を持ち合わせている方かという点でも信頼できると感じました。

EVERRISEの支援内容と評価

EVERRISE開発事例 システム構成イメージ図
システム構成イメージ図

プロジェクト概要

EVERRISEは最初にFACTly内のデータ基盤の運用保守業務に参画し、データ基盤のメンテナンスや、安定稼働のためのインフラ改善などに取り組みました。

FACTlyプロジェクトの進行とともに、BIツールのダッシュボード構築や、収支データの集計・可視化・分析システム、生成AIなどの社内システムツール開発など、役割別の各種チームにも複数メンバーが参画しました。

現在ではプロダクトマネジメントも含め、継続的にFACTlyのさまざまな開発のご支援を行っています。

FACTlyのCCoE的存在に

―― EVERRISEへの評価を教えてください。

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私たちが期待している伴走を実現し、主体性を持って取り組んでいただいています。新規開発の検討時などにデメリットや懸念点を提示いただく際も、私たちの依頼や指示よりも先に動いてくれることが多いです。

また、EVERRISEさんが複数チームに所属していることで、データ基盤のCCoE(Cloud Center of Excellence)のような役割を果たしてくださっています。

別のパートナーが参画しているチームでも、EVERRISEさんのメンバーがいると、データ基盤のことをよく理解しているうえでのレビューが入るので、全体最適化に繋がっていると感じています。

―― 当初の課題の解決にも繋がったでしょうか?


FACTly全体の品質維持に貢献していただいています。インフラ部分には必ずEVERRISEさんが参画しており、今回支援を依頼する課題背景でもあった、品質のばらつきやナレッジの分散を解消してくださっています。

FACTly内での新しいチームの発足時には、EVERRISEさんのメンバーに1人は入っていただきたい、という流れになってきています。

川越
最初はデータ基盤運用保守のチームのみの参画から始まっていますが、徐々に開発の案件にも入り、日本テレビの他の部門、他のシステムとも関わる開発も着実に進めてくださっています。プロジェクトが次の段階へ進む時にも新しいことを安心してお任せできる関係になっていると思います。

成果・導入効果

データ基盤のスリム化によるコストへの貢献

―― EVERRISEの支援による成果には何があるでしょうか?

川越
データ基盤のスリム化によってコストの面で貢献いただけました。

EVERRISEさんの参画前はデータ収集の部分が複雑で、収集・管理コストが大きかったです。FACTlyプロジェクトでは新しく挑戦したいことが日々増えており、接続サービスや機能の追加をし続けているため、さらに収集・管理コストが増加する懸念がありました。しかし、データ基盤全体をスリム化していただいたことにより、コストを膨らませることなく維持できています。これは大きな成果だと思っています。


プロジェクトマネージャーを担当している吉井さんを中心にデータ基盤内のデータを整理し、データガバナンス・データマネジメント領域の活動をしてきてくれたことが、データ基盤のスリム化に繋がっていると思います。

今後の展望

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―― FACTlyプロジェクトが立ち上がってから数年が経ちます。データ基盤の完成に近づいたでしょうか?

川越
プロジェクトの発足時は、デジタルで扱いやすい視聴データなどの収集から始まり、徐々に蓄積するデータの種類を増やしていきました。最近では、収支データの取り込みまで進んでおり、データ基盤の完成に大きく近づけています。


データ活用全体の取り組みにおいて、データの基盤が一通り整うため、これから本格的に新たな施策などのデータを活用する段階へ進んでいきます。

必要になったタイミングでデータを整えようと考えていた場合、実際に使えるようになるまでのタイムラグが大きくなってしまいますが、データ基盤を先に作っていたことで、欲しい時にデータをすぐに抽出できる状態にできました。

ーーFACTlyプロジェクトの今後の展望を教えてください。

川越
データ基盤とデータを可視化する環境は整ってきたものの、定性データの取り扱いやデータ加工の要望など、データ基盤とBIツールだけでは対応しきれない課題も新たに出てきています。そこで、収集したデータを活用するための生成AIやローコードアプリケーションの開発も進めています。

「データ基盤」「データの可視化」「生成AI」「ローコードアプリケーション」、この4つの組み合わせで、新しいデータ活用の実現や新しい働き方を作っていくことに挑戦しています。

ーーこれからもFACTlyプロジェクトが進んでいく中で、EVERRISEに期待していることを教えてください。


プロダクトとしては、生成AIをはじめとする新しいテクノロジーとの連携のしやすさや保守性をさらに向上させるなど、常に進化していきたいという思いがあります。EVERRISEさんには、プロダクトをより良くするためにはどうすべきかをともに考える存在として、SRE(Site Reliability Engineering)的な役割をしていただきたいと思っています。

また、EVERRISEさんは一緒に仕事をしていて、とても良いチームだと思うことが多いです。個々ではなくチーム全体で優先度などを整理し、一丸となって動いてくださっているため、そのチーム力をこれからも活かしていただきたいです。

川越
発注側・受注側のような区切りをなくし、1つのチームとしてFACTlyプロジェクトを進めたいです。EVERRISEさんは今までもそういった垣根を超え、日本テレビの社員とほぼ同じ動き方をしてきてくれました。

吉井さんには重要な会議にも出席してもらい、私たちと同じ目線で議論に参加していただいています。吉井さんが日本テレビが実現したいことを理解してメンバーに伝え、各メンバーは自走している、良いチームだと思います。

EVERRISEさんには今後もビジネスへの理解や他部門との交流をさらに深めたうえで、私たち日本テレビ社員だけではできないことを進めていっていただきたいと思っています。

EVERRISEのデータ分析基盤構築

EVERRISEでは、「FACTly」のようなデータ分析基盤に関する開発・構築から運用保守、人材の提供など、幅広いご支援が可能です。クラウドサービスを組み合わせたデータ分析基盤構築をはじめ、既存システムとの連携開発など、最適な基盤構築のご提案をいたします。

また、顧客データ管理に特化したデータプラットフォームCDP「INTEGRAL-CORE」の開発・提供も行っており、データ統合・活用の目的や課題に合わせたご支援をいたします。ぜひお気軽にご相談ください。

データ分析基盤構築

お客さま情報

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企業名 日本テレビ放送網株式会社
事業内容 放送法による基幹放送事業及び一般放送事業、メディア事業、その他放送に関連する事業
webサイト https://www.ntv.co.jp/

※本記事は、2024年5月時点の情報です。

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