データの可視化について、TableauやYellowfin BIといった既製品のBIツールを利用せず、自社システム内にグラフなどのレポート画面を表示させたい、といったご要望を受けることがあります。
既製品のBIツールを構築・導入するよりも初期開発の工数がかかり、レポートやグラフの編集・追加にエンジニアリングリソースが必要になりますが、コスト削減やより柔軟にカスタマイズできるなどメリットも大きいです。
本記事では、既製品のBIツールではなく、組み込み型BI、または、オープンソースライブラリを利用して自社システムにレポート画面を組み込むメリットとその方法について紹介します。
EVERRISEによる自社システム内へのBI・レポート構築
弊社EVERRISEは、御社のシステムにオープンソースを組み合わせてレポート画面を構築できます。また、別途開発や外部のBIツールを利用したカスタマイズも可能です。
BIツールの構築やデータの可視化に関してお困りのことがあればぜひお気軽にご質問・ご相談ください。
自社システムにレポート画面を組み込むメリット
コスト削減
自社システムのデータをBIツールで可視化することには大きなメリットがありますが、BIツールはライセンス費用がかかり、ユーザー数やデータ量に応じてコストが増加することがあります。
一方で、社内システムにBIツールのようなレポート表示機能を開発する場合、初期開発コストは発生するものの、ランニングコストは低く抑えられる可能性があります。また、追加ユーザーやデータ増加に対するコスト負担も軽減できます。
とくに自社システムを多くの企業に提供・利用しており、その中でレポートを表示させたい場合などに有効です。
カスタマイズ性の高さ
外部のBIツールでは、標準的なテンプレートや機能が用意されていますが、細かなカスタマイズには制限があります。
社内システムであれば、会社の業務フローや要件に完全に合わせたレポート画面を設計・開発することができ、独自のニーズに沿った視覚化や指標の構築が可能です。
セキュリティの向上
社内システムにレポート機能を組み込むことで、データが外部に出ることがなく、システム内部で一貫して処理されるため、セキュリティリスクが低くなります。
社内のセキュリティポリシーから、機密情報や個人情報など特定のデータでBIツールを利用できない場合も、自社システムに組み込む形であればデータの保管場所やアクセス権限を完全にコントロールしながらレポート画面を作ることができます。
自社システムにレポート画面を組み込む方法
自社システムにレポート画面を組み込む方法は2種類あります。
組み込み型BIを利用する
1つは、組み込み型(Embedded)BIを使うことです。
組み込み型BIとは、自社システムに直接統合される形で提供されるBIツールです。ユーザーが日常的に使用しているCRM・ERP・CMSなどのシステムの中でデータ分析やレポート機能を利用できるようにするためのものです。
組み込み型BIを利用するメリットは、以下のとおりです。
- 構築が簡単にできる
- さまざまなグラフのテンプレートが用意されている
- ユーザーごとにカスタマイズしたグラフを表示する機能などが容易に構築できる
しかし、デメリットとしてはその分ランニングコストがかかり、ユーザーが増えると従量課金でコストが増えていきます。また、テンプレートと異なるビジネスの特性に合わせた見せ方のグラフなどを作る場合は組み込み型BIだと対応が難しいです。
オープンソースライブラリを利用する
もう1つの方法は、グラフやチャートを描画できるオープンソースライブラリを利用することです。弊社としてはオープンソースライブラリの利用をおすすめしています。
オープンソースライブラリのメリットは柔軟性とコスト削減です。オープンソースライブラリは、さまざまなチャートやグラフを簡単に作成でき、特定のニーズに合わせてカスタマイズが可能です。
また、外部のBIツールでは実現できない独自のUIや機能を自社システムに統合することができます。ある程度決まったグラフを作る場合であればオープンソースライブラリで十分です。組み込み型BIで発生するランニングコストなどもありません。
オープンソースライブラリの種類
グラフやチャートを描画できるオープンソースライブラリとしては、以下がよく利用されています。
- Google Charts
- Chart.js
- ApexCharts
Google Charts
Google Chartsは、Googleが提供するグラフライブラリで、webアプリケーションに統合しやすく、さまざまな種類のチャートを提供しています。Google SheetsなどほかのGoogleサービスとの連携も簡単です。
- 特徴
- Googleサービスとの統合がスムーズ
- 簡単に使えるが、カスタマイズ性はほかのライブラリより限定的
- SVGを使ったレンダリングで、品質の高いグラフを生成
- ドキュメントとサポートが充実しており、とくに初学者向き
Chart.js
Chart.jsは、シンプルなグラフ作成ライブラリで、HTML5 Canvasを利用してレンダリングを行います。小規模なプロジェクトや迅速なグラフ作成に向いています。
- 特徴
- 学習コストが低く、コードの書き方が直感的で分かりやすい
- 軽量で、Canvas を使った高性能なレンダリングが可能
- カスタマイズ性はあるが、複雑なグラフを表示させるのには適してない
- 拡張プラグインが多く、ほかの機能を追加可能
ApexCharts
ApexChartsは、モダンなインタラクティブチャートを作成するためのライブラリで、主にフロントエンドでの可視化に適しています。Vue.jsやReactなどのフレームワークとも相性が良いです。カスタマイズ性を高くしたい場合はApexChartsがおすすめです
- 特徴
- 高度なインタラクションやアニメーションに対応しており、ダッシュボードやリアルタイムデータの可視化に向いている
- カスタマイズの自由度が高く、エンタープライズ用途にも適している
- 軽量でパフォーマンスが高く、モバイルフレンドリーな設計
- React・Vue・AngularといったJavaScriptフレームワークとシームレスに統合可能
自社システムにレポート画面を組み込む際の考慮点
UI / UXの向上
レポート画面は、見やすさと操作性が重要です。シンプルなデザインで、ユーザーが必要な情報に簡単にアクセスできるように設計する必要があります。
パフォーマンスの最適化
大量のデータを扱う場合、ブラウザでの描画速度が問題になることがあります。データの管理やサーバーサイドでの処理を検討し、パフォーマンスを最適化することが大切です。
データのセキュリティ
自社システム内でデータを処理する際、データのセキュリティとプライバシー保護が重要です。データの暗号化やアクセス制御を徹底する必要があります。
EVERRISEによる解決・ご支援
弊社EVERRISEは、自社システム内へのBI・レポート構築のご支援をしています。
上記の考慮点について解決しながら、どのようなグラフを選べばいいか、どのような見せ方をすれば良いかといった提案が可能です。
また、レポート表示のための開発だけでなく、それ以外の基幹システムなども合わせて開発できます。オリジナルの見せ方をしたいケースなども対応できます。
弊社開発実績
ある企業では外部のBIツールを利用していましたが、動作の重さや表現の限界を感じられたため、フルリプレースで弊社が開発を行いました。
- チャート表示を高速化したい
- 地図上にデータを表示するなど自由な表現をしたい
上記の希望があったため、ヒアリングやデザインの調整なども重ねながらスピーディーなレポート表示が可能になり、ご評価いただきました。
対応可能なBIツール
さまざまなBIツールも取り扱っており、外部のBIツールのカスタマイズもお手伝いできます。
企業の目的に合わせて対応可能ですので、BIツールやデータの可視化に関してお困りのことがあればぜひお気軽にご質問・ご相談ください。
- Power BI
- Tableau
- Amazon QuickSight
- Qlik Sense
- Domo
- Looker
- Looker Studio
- Yellowfin BI
- Exploratory
- Motion Board など