2024.04.05

高精度なターゲティングを実現する広告データ基盤。スカパーJSATの新たな価値を生み出すDMP構築|広告システム開発事例

高精度なターゲティングを実現する広告データ基盤。スカパーJSATの新たな価値を生み出すDMP構築|広告システム開発事例
業種 情報・通信業界
導入サービス 広告システム開発 / DMP開発・構築

スカパーJSAT株式会社(以下 スカパーJSAT)さまは、アジア最大の17機の衛星を保有しており、有料多チャンネル放送サービスの放送や国内外への衛星通信サービスを提供している企業です。

EVERRISEは、スカパーJSATさまの持つ動画配信サービスのユーザーデータから広告配信用のセグメント生成を行う広告DMPの構築と、広告配信ログを取得しレポートを作成する機能の開発を行いました。

自社サービス成長のための戦略立案と開発を行っている部門である、事業戦略室の夏原さまに、課題背景や開発支援の評価を伺いました。

課題 ・新しい広告ビジネスを始めるにあたり、精度の高いターゲティングが可能な広告配信システムを作りたい
解決策 ・広告DMPの開発・構築
成果・効果 ・SPOOXのデータを活用した広告配信が可能な環境が整った

課題背景・目的

スカパーJSAT株式会社について

―― はじめに、スカパーJSATさまについて伺えますか?

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スカパーJSAT株式会社 メディア事業部門 事業戦略室 事業企画部 夏原速人さま(写真右)株式会社EVERRISE CI事業部 富山眞之介 (写真左)

スカパーJSATは、自社で保有している通信衛星によるサービスを中心に幅広い事業を展開している、アジア最大の「宇宙実業社」です。大きく分けると宇宙、メディアの2つの事業があります。

宇宙事業では、幅広い地域へ向けた大容量の情報を柔軟に送信でき、自然災害などの影響を受けにくいという、通信衛星の特長を活かしたさまざまなサービスを提供しています。多くの自治体やインフラ系の企業さまに採用されている災害対策に適したサービスや、航空機・船舶向けの通信サービスなどがあるほか、最近では従来の通信衛星以外に低軌道衛星から得られる衛星データなどを活用した新しい取り組みにも力を入れています。

メディア事業では、「パーフェクTV」を前身とする有料多チャンネル放送「スカパー」や動画配信サービスの運営を担う、放送事業・配信事業を中心としたサービスを提供しています。また、光回線でさまざまなチャンネルを視聴できる一般家庭向けのサービスを提供するFTTH(Fiber To The Home)事業、自社で蓄積してきた放送設備・技術を有効活用し、企業の動画配信などの支援をするメディアソリューション事業なども手掛けています。

―― 夏原さまの所属部門について伺えますか?

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私が所属するメディア事業部門事業戦略室は、新規・既存問わず自社のさまざまなサービスをスケールアップさせるための戦略立案、企画、実行までを行う部門です。 今は特に「コネクテッドTV」「配信サービス」「広告ビジネス」の3つをより成長させることを主なミッションとしています。

1つ目のコネクテッドTV領域では、コネクテッドTVの1つである動画配信サービスをテレビで視聴できる端末の開発や、サービス自体の企画・開発を行っています。

私たちはコネクテッドTVを「インターネットに接続したテレビ端末」と定義しており、代表的なものにはスマートテレビやFire TV Stickなどのストリーミング・デバイス、ゲーム端末などが挙げられます。スカパーJSATは長年衛星放送によってお客さまへコンテンツ提供をしてきましたが、テレビにインターネットを繋ぐことが当たり前の時代になった中で、より便利で簡単にコンテンツを届けていくための手段・場所として、コネクテッドTVに着目し、企画を進めています。

2つ目の配信サービス領域では、サービス向上や利用促進のための取り組みを行っています。配信サービスにはスカパー加入者さま向けのオンデマンドサービス「スカパー番組配信」と、放送サービスを未契約のお客さまでも幅広いコンテンツを楽しんでいただける有料動画配信サービスとして、2021年にリニューアルを行った「SPOOX」があります。

3つ目は、EVERRISEさんにも関わっていただいている広告ビジネスの取り組みです。これまでにご紹介したコネクテッドTVや配信サービスなどのオウンドメディアはもちろん、外部メディアとも接続できる広告プラットフォームの開発を行っています。

ユーザーにもクライアントにも価値ある広告配信を目指して

―― 事業戦略室のミッションである広告プラットフォームの開発にあたり、どのような課題があったのでしょうか?

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広告ビジネスを始めようとした時点ではすでにSPOOXも立ち上がっており、広告配信先のメディアはあったのですが、肝心の広告配信の仕組みが無い状態でした。どうやって広告配信を実現するか、という検討の際に重視したのは、データを活用した精度の高い広告配信です。

将来的に、各配信サービスで蓄積しているさまざまなデータを使い、サービスユーザーの興味関心にマッチする広告配信が実現できれば、クライアントさまも私たちも嬉しいですし、多くのメリットがあるビジネスになり得ます。

そこで、まずはSPOOXのデータを使い、ユーザーに最適な広告配信を可能にするシステムを作ることを最初の目的としました。

昨今、広告配信においてはCookie規制の影響などもあり、従来の技術だけではターゲティングが難しくなってきています。その中で新しい広告配信システムを作るということで、The Trade Desk社が開発したUnified ID 2.0という広告識別子を採用しました。Unified ID 2.0によってユーザーの個人情報を守りながら、SPOOXの持つ視聴データなどをもとに精度の高い広告配信を実現したいと考えました。

広告配信システムの開発ではベンダーの協力が必要でした。中でも重要なデータを貯める部分をお任せするにあたり、広告の新しい技術にも対応できるような広告関連の知識・経験を豊富に持つ会社を探していました。

EVERRISEを選んだ決め手

豊富な実績への期待

―― EVERRISEを選んでいただいた決め手を伺えますか?

広告関連の知識を持ち合わせたうえで、メディア業界での支援実績が豊富だったことです。動画配信業界特有のニーズや課題を素早く掴んでくれるのではないか、という点に期待していました。

また、ご提案いただいた内容がスマートだったのも決め手の1つです。

EVERRISEの支援内容と評価

EVERRISE開発事例 システム構成イメージ図
システム構成イメージ図

プロジェクト概要

EVERRISEは本プロジェクトで、SPOOX内のユーザーデータを取得・蓄積・加工し、広告配信用のセグメント生成を行う広告DMPの構築を行いました。

また、広告配信ログを収集し配信結果レポートを生成する機能の開発を行いました。

システム全体の開発を主導し、確実に進めていく力

―― 本プロジェクトにおけるEVERRISEへの評価を教えてください。

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丁寧に作業いただき、スケジュール通りにしっかりと開発を進めてくださっているのでとてもありがたいです。

今回の広告配信システムでは、DWHや広告配信プラットフォームと広告DMPとのデータ連携が重要でした。それぞれを開発しているチームが異なるため、全体を先導してくれる存在がいないと開発を進めるのが難しい状態だったのですが、EVERRISEさんがその役割を果たしてくれました。

広告DMPの部分だけではなくシステムの全体観を整理したうえで、目的達成のためにどう開発を進めるべきかの提案をしていただけました。

また、要望に対して100%ではなく120%のような、期待を超えるものを返してくれるんです。さらに、私たちが気づかないような細かいことなどもすぐにアラートを出してくれています。そういった働きから新しい課題が生まれ、開発を次のステージへどんどん進めていくことができています。

成果・導入効果

―― 広告ビジネスの最初の一歩としての広告配信の仕組みが完成したということで、今後SPOOX以外にも広告配信が拡がっていくのが楽しみです。

はい。今回は0から1を作るところをお任せしていますので、実際に広告配信ができる状態になったというのは大きな成果だと思います。

今の段階では配信面がSPOOXだけですが、ここからさらにコネクテッドTV、他社メディアと拡げていければと思います。

今後の展望

さまざまなデータを活用し、より良い広告配信の仕組み作りに挑戦したい

―― 広告ビジネスの今後の展望について教えていただけますか。

今後はさらに、クライアントさまやビジネスパートナーも含めたデータのコラボレーションを実現したく、データクリーンルームのような他社とデータをシェアできる環境の整備を進めていき、より有益な広告の効果検証やターゲティングをしたいと考えています。

そのためにはUnified ID 2.0だけに固執せず、さまざまな識別子の選択肢の拡張をしていければと思います。規制が進んでいるCookieも、きちんとユーザーの同意を得たうえで適切に使うことで、サービスや広告の向上へ繋げられるものだと思っています。

EVERRISEさんには広告識別子を扱う部分などもしっかり対応していただいているので、弊社のパートナーとして、一緒に新しい技術や知識をアップデートしながら、新たな領域に挑戦できればと思います。

EVERRISEの広告システム開発支援

EVERRISEでは、創業から15年以上アドテク領域の開発を手掛けてきた実績と知見をもとに、 広告システムに関する適切な改修方針やアーキテクチャのご提案、開発支援を行っています。

レポートシステムのような業務効率化を目指す仕組みやツールの開発、アドサーバーやDSPをはじめとする広告配信システムの開発など、幅広く対応が可能です。ぜひお気軽にご相談ください。

広告システム開発

お客さま情報

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企業名 スカパーJSAT株式会社
事業内容 宇宙事業、メディア事業
webサイト https://www.skyperfectjsat.space/

※本記事は、2024年4月時点の情報です。

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