2023.05.01

人材業界のデータ活用

人材業界のデータ活用

人材業界には人材派遣、人材紹介、人材広告、人事コンサルなどの業種があります。

厚生労働省が発表した一般職業紹介状況によると、2022年11月の有効求人倍率は1.35倍であることからも分かるように、求職市場は現在売り手市場となっています。今後も売り手市場は続くと思われ、企業はそれぞれの求める人材を確保するためにマッチング力のある人材紹介の需要も高まると予想されます。

本記事では、今後さらに需要が高まるとされる人材紹介業界における課題と、データを活用した課題の解決策を説明します。

人材紹介業界における課題

求職者の確保

少子高齢化が進む中、生産活動の中心とされる15歳以上65歳未満の人口は1995年を境に減少を続けており、今後も労働力不足の加速が予想されます。

すでに人材不足に直面している業界も多く、求人企業が求人掲載媒体を利用して募集をしたり、採用担当が自らスカウトツールを使うなどの採用活動だけで確保しきれない人材を人材紹介事業者が確保・紹介することが期待されています。

このような理由によって人材紹介の需要が高まる中、数ある人材紹介事業者の中から求職者に自社を選んでもらうためには、他社よりも魅力的なサービスを提供する必要があります。

例えば、転職が頻繁な業界であれば、転職のたびに繰り返し自社のサービスを使ってもらうことが重要ですし、転職頻度が少ない業界であれば少ない機会の中でいざ転職をする際に自社を選択してもらえる関係を築いておく必要があります。

また、コロナ禍の影響もあり採用活動においてもオンラインでのコミュニケーションが一般化しています。以前は対面で行っていた求職者との面談をオンラインで行うケースが増え、時間や場所の制約がなくなり、気軽に面談設定が行えたり、遠方の候補者ともコミュニケーションが取りやすくなりました。

一方で、オンラインだと対面で顔を合わせるのに比べて求職者との信頼関係の構築が難しいというデメリットもあります。信頼関係が築けていないといざという時に他社へ流れてしまったり、最後まで良い関係を保てないリスクがあります。

求職者にとってのオンラインのメリットを活かしつつ、デメリットをカバーして信頼関係を築くコミュニケーションを構築し、他ではなく自社で転職しようと思ってくれる求職者を確保することが重要です。

業務の煩雑化・情報共有漏れによる機会損失

人材紹介事業者の業務は求職者の人材確保、求人企業への営業、契約周りの書類の作成など多岐にわたります。また、取り扱うデータも多く、それを管理するシステムが分断されていることも少なくありません。

例えば、求職者のデータベースと求人情報を別々に管理していたり、担当者ごとに求職者の情報を管理しているなどです。Excelで管理されている場合も少なくありません。Excelの場合、担当者ごとに管理されていることも多く、情報が閉じてしまってたり、共有の際にはその都度ファイルを共有すると言った手間が発生します。

情報管理のシステムが分断されていることにより、社内で情報の共有が不足したり、見たいデータごとに別のシステムを確認したり、情報を突き合わせるなど業務が煩雑化して求職者への対応に使うべき時間が奪われます。

その結果、最適な対応ができずに求職者の確保やマッチングの機会を失うリスクがあります。このような機会損失をなくすために、業務の煩雑化・情報共有漏れを防ぐことが課題と言えます。

働き方の多様化への対応

高度成長期の日本では終身雇用が主で年功序列、オフィスに出勤し、労働時間は長い傾向にありました。しかし、現在はさまざまな理由から働き方や仕事と私生活のバランスの取り方が多様化してきています。主な理由として下記が挙げられます。

  • 経済的理由や自立を望み結婚や出産後も働き続ける女性が増えた
  • 平均寿命の伸びとともに健康寿命も伸びており、定年後も働く高齢者が増えた
  • 新型コロナウイルスの流行でテレワークが急速に普及した
  • 景気の悪化により安定して雇用し続けることが難しく、必要なタイミングで即戦力を求める企業が増えた
  • キャリアアップのための転職を前向きに考える人が増えた

求職者側も求人企業側もニーズが多様化しており、人材紹介事業者にはそれらに対応できるマッチング力が求められています。

人材業界における課題の解決策

求職者に自社を選んでもらうための対策

転職の頻度が低い業界:長期で信頼関係を構築する

転職の頻度が低い業界では、少ないチャンスの1回のために長期的に信頼関係を構築する必要があります。

実際に求職者となる前から求職者にとって有益な情報を発信し、興味関心を把握して、転職を考えたタイミングで適切な提案をすることが大切です。自社を選択してもらうために、見込み顧客のデータを収集・蓄積した継続的なコミュニケーションを行いましょう。

例えば、対象者に向けた勉強会や交流会を開催して参加してくれた人に定期的にコミュニケーションを取ったり、情報サイトやブログを運営してコンテンツを提供したりメルマガで情報を発信したりなどが有効です。

転職の頻度が高い業界:リピーターを増やす

転職の頻度が高い業界では、一度転職してもまた同じ人が一定期間経った後に転職を考える可能性が高いです。よって、次回の転職時にも自社のサービスを使ってもらうことがLTVの向上に繋がります。

前回の転職の際に入力してもらったデータを保存し、さらに定期的にコミュニケーションを取って変化をデータとして蓄積することで、次回転職時に求職者が情報を再登録する手間が省けたり、自分の現状を把握してもらえている安心感から信頼関係を築くことができ、自社サービスを選択してもらいやすくなります。

また、データを分析して転職のサイクルが掴めれば、いち早く転職のニーズに気がつき、良いタイミングでアプローチが可能になります。

業界に関係なく、オンラインのコミュニケーションが普及したメリットを活かしつつ、対面よりも信頼関係が築きにくいというデメリットをカバーできるようなコミュニケーションの構築を行い、そのためにデータを活用することが重要です。

選ばれ続ける企業となるために取り組むべきコミュニケーションの全体設計について、詳しくは下記の資料をご覧ください。

無料資料:データによる顧客中心のコミュニケーション再構築|これからの市場で選ばれる企業になるために

データによる顧客中心のコミュニケーション再構築|これからの市場で選ばれる企業になるために

データの一元管理による作業の効率化でマンパワーを有効に利用

人材紹介事業者で扱うデータをデータ基盤で一元管理し、目的に応じたツールと連携することで作業を効率化することができます。さまざまなデータを貯める箱であるデータ基盤とツール連携の例を紹介します。

例えば、BIツールを連携してダッシュボードを作成することで、見たいデータを可視化できます。膨大なデータの中から見たいデータのみを分かりやすい状態でいつでも確認することができるようになり、社内での共有も簡単になります。

また、CRMツールを連携すれば選考プロセスやコミュニケーションの管理をシステム上で行うことが可能になり、管理コストの削減や対応漏れのリスクの減少に繋がります。MAツールを連携すれば、見込み顧客(未来の求職者)に対するメールでのコミュニケーションの自動化も実現し、個別にメールを送る手間がなくなります。

データの一元管理とツールの活用によって業務が効率化し、生まれた時間を人にしかできないキャリア・採用コンサルティングなどに力を注ぐことができるようになります。

データに基づくマッチングの自動化・精度向上

求職者も求人企業もニーズが多様化する中で、求職者データと求人データをデータ基盤で一元管理して、マッチングを自動化し、成功パターンをデータとして蓄積・分析しマッチングの条件設定や求職者への提案に活かすことマッチングの精度の向上に繋がります。

データに基づくマッチングには2つの選択肢があります。1つ目は自社でマッチングシステムを構築すること、2つ目は既存のサービスを選択することです。既存のサービスにはマッチングのみに特化したシステムや、マッチング機能を備えた人材業界に特化したCRMツールなどがあります。

マッチングの具体的な方法としては任意の条件をシステム上で指定し、データ基盤で管理している求職者と求人データの中からマッチするものを自動で表示するといったものです。マッチングにシステムを利用することで、今まで見逃していた可能性のあるマッチングの機会を逃さずに提供することができるようになります。

また、さまざまなニーズに対するマッチングを人の手で行うのは大変ですが、システムを利用すれば時間をかけずに対応することが可能になります。

人材業界がアプローチを成功させるCDPでのデータ活用

人材紹介事業で扱うあらゆるデータを一元管理するデータ基盤としてCDPという選択肢があります。CDPとは「カスタマー データ プラットフォーム:Customer Data Platform」の略称で、企業の顧客に関するデータを管理し、顧客一人ひとりを理解するための基盤のことです。

関連:CDPとは?カスタマーデータプラットフォームの機能やメリット、活用例を解説

人材紹介事業では、よく以下のようなツール・システムや自社構築のプラットフォームが導入・利用されていますが、求職者の年収や職歴など個人情報の取り扱いが多いため、バラバラなシステムで管理するよりも、CDPでデータを一元管理することで権限の管理が容易になり、セキュリティ対策もしやすくなるためデータの安全性も高まります。

ツール名 webアクセス解析ツール CRM / SFAツール MA / メール配信 / その他施策 BI / 分析ツール
ツールの例 ・Adobe Analytics
・Google Analytics
・Ptengine など
・Salesforce
・Synergy!
・HubSpot CRM
・eセールスマネージャー
・F-RevoCRM
・kintone
・Zoho CRM など
・Marketo
・Marketing Cloud Account Engagement(旧 Pardot)
・HubSpot
・Synergy!
・Karte
・DLPO
・LINE
・Repro
・WEBCAS email など
・Tableau
・Looker Studio(旧Google Data Portal)
・Yellowfin
・Amazon QuickSight
・DOMO
・Redash など

顧客データを一元管理し活用することで、webサイト、メール、社内共有など2重3重で入力や更新をする工数も削減できます。

EVERRISEが提供するCDP「INTEGRAL-CORE」

弊社EVERRISEでは、顧客データをノーコードで管理できるCDP「INTEGRAL-CORE」を提供しており、これまでTVerさまやキーコーヒーさま、hoyuさまなどを含め複数社の導入実績がございます。

  • CDP「INTEGRAL-CORE」の特長
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