2020.08.19

【2020年7月】CDP業界の最新情報|Customer Data Platform Industry Update【翻訳記事】

【2020年7月】CDP業界の最新情報|Customer Data Platform Industry Update【翻訳記事】

「Customer Data Platform Industry Update」は、CDP協会が半期に一度作成しているCDP業界のトレンドと成長についてのアップデート情報のレポートです。CDPの最新情報収集にぜひお役立てください。

最新の翻訳記事は下記をご覧ください。

関連:【2022年】CDP業界の最新情報|Customer Data Platform Industry Update【翻訳記事】

本記事は米国CDP協会(CDP Institute)の許諾の元、日本語訳で転載しています。

引用元:CDP Institute、「Customer Data Platform Industry Update July 2020」

CDP検討マニュアル

全体概要

2020年上半期は、企業向けソフトウェアベンダーがCDP製品を追加し、パンデミック(COVID-19関連)により、新興企業の成長が抑制され、また多くの既存企業の成長も鈍化したため、CDP業界に急激な変化が見られました。業界では22社の新規ベンダーが参入し、過去のどのレポートよりも多くなりましたが、新規雇用と新規資金調達は2年ぶりの低水準で、割合ベースでは過去最低となりました。

この半期のハイライトは以下のとおりです。

企業向け(エンタープライズ)ソフトウェアベンダー

Microsoft、Adobe、Oracle、SASはいずれもCDP製品をリリースしており、今回のレポートに含まれています。もう1つの企業向けソフトウェアベンダーであるInformaticaは、本レポートの過去版ですでにリストアップされており、Salesforceは2020年10月に製品をリリースする予定です。これらのベンダーの実際の販売実績については、ほとんど情報が出ていませんが、エンタープライズ市場のシェアを大幅に拡大する可能性があります。

本業によるオーガニックグロース(自律的成長)

過去のレポートに掲載されたベンダーは、前回のレポートでは平均5%、それ以前のレポートでは平均10%純雇用を増加させた一方で、今回は1%の純雇用の増加を示しました。過去のレポートに掲載された企業の半数近くは減少を示しました。

新規参入企業の増加

多くの業界が低迷している状況ですが、新しい企業がCDPを提供し続けています。新規参入企業は2つのグループに分類できます。

1つはキャンペーン管理と配信の機能を中心としたCDPを提供するアメリカの大手企業、もう1つはすべてのタイプの機能をかけ合わせたCDPを提供するベンチャー企業で、半数はアメリカに拠点を構えています。

投資の減少

新規の資金調達は2年ぶりの低水準で、1,000万ドル以上の投資ラウンドは前回の6件に対し2件のみとなりました。2019年下半期には4件だったのに対し、期間中の買収は1件のみです。 CDPベンダーによる主要な買収はなく、廃業もありませんでした。

引き続きCDPは注目を集めている

パンデミック関連の緊張感にもかかわらず、ベンダーとバイヤーはCDPへの関心を継続していると報告しています。一部の企業では、事業が強化されるまで購入を延期していますが、ダウンタイムを利用して通常業務の再開を待つために購入を加速させている企業もあります。業界の継続的な成長は、バイヤーにニーズに密着した製品を見つけやすくする新たな選択肢を提供しています。

推定収益

CDP協会は、2020年には業界の収益が13億ドルに達し、2019年より30%増加すると予測しています。

背景情報

CDPの定義

CDP(カスタマー・データ・プラットフォーム)は、CDP協会によって「他のシステムからアクセス可能で、永続的かつ統合された顧客データベースを作成するパッケージソフトウェア」として定義されています。定義における重要な要素は次のとおりです。

  • パッケージソフトウェア

CDPは一般にビジネスサイドにて検討し導入、管理するパッケージソフトウェアです。多くの場合マーケティング目的で利用され、IT部門にて管理されているデータウェアハウス(以下、DWH)やデータレイクとは区別されます。 システムがパッケージ化されているため、新たなニーズが発生した際の展開や変更が非常に容易になります。CDPの導入と保守には企業のIT部門と連携しなければなりませんが、CDPを利用するうえでの技術的なサポートは、マーケティング部門がベンダーや代理店に発注することが多いです。

  • 永続的かつ統合された顧客データベース

CDPは、複数のシステムからデータを取得して同一の顧客に関連する情報を統合していき、その情報を保存して長期的に行動を追跡することによって、各顧客を横断的に見れるようにします。 CDPには顧客識別子が含まれており、マーケティングメッセージのターゲティングや各顧客のマーケティングの結果の計測に利用されます。CDPは主に、企業独自のシステムによって収集された特定の個人に関するデータを処理しています。 また、外部ソースからのデータや匿名の個人に関するデータも含まれることがあります。CDPは入力データのすべての詳細を無期限に保持することができますが、ユーザーは何が保存され、どのくらいの期間保存されるかを制限することが可能です。

  • 他システムにもアクセス可能

CDPに保存されたデータは、解析または顧客とのやり取りの管理をするために他のシステムで使用されることがあります。CDPはデータを再構成し、傾向やスコアモデルなどの計算結果を他のシステムに受け入れ可能な形式で共有します。アクセス方法には通常、API、データベースクエリ、およびファイル抽出などがあります。

このような特徴により、CDPは、主に自社のデータのみを扱うCRM(Customer Relation Management)や自社のデータでない大量の外部所有データを限定的な期間で格納するDMP(Data Management Platform)、永続的なデータベースを保有しないIntegration Platformなどのシステム、顧客とのコミュニケーションを行うメール、モバイルアプリやwebのコンテンツ・マネジメントのシステムと区別されます。

他のシステムがCDPと同様の機能を提供することがあります。例えば、データウェアハウス、ソフトウェアスイート、マーケティングクラウドなどです。多くの場合、これらは構造化データまたは内部入力に限定されています。このようなソリューションを提供している企業は、CDP協会の定義を満たすCDPを提供している場合のみ、本レポートに含まれています。

業界の歴史

CDP(カスタマー・データ・プラットフォーム)という用語は、元々、統合顧客データベースの構築機能を共有する数種類のマーケティングシステムを表すために2013年に造られました。それは当時珍しいことでした。

これらのシステムのほとんどは、予測モデリング、アトリビューション、webサイトのパーソナライズ、キャンペーン管理などのアプリケーションをサポートするためにデータベースを作成していました。そのうちに、多くのベンダーは、自社のデータベースが他のアプリケーションによっても使用される可能性があることに気づき始めます。これらのベンダーは、機能を追加することで他のシステムからのアクセスを可能にし、自社のシステムを完全なCDPに変換していったのです。同じ時期、データ収集システムを変更して永続データベースを作成し、別の形式のCDPを作成できることに気づいたweb解析・タグ管理システムのベンダーもいました。

2016年までに、両方のベンダーがCDP業界を形成するために集結しました。マーケティング担当者が統合データの必要性、およびDWH、データレイク、CRM、DMPなどの代替ソリューションの欠点を認識したことで、業界は急速に成長しました。欧州では、企業が一般データ保護規制(GDPR)に準拠するのに役立つCDP機能によって、業界の成長はさらに後押しされました。

CDP協会は、マーケティング担当者や技術者に向けて、CDP機能について教育するために2016年に設立されました。協会は2017年1月に最初の業界最新レポートを発行しました。それ以来、半年に一度最新版をリリースしています。

該当企業の定義

このレポートに含まれるベンダーは、CDP協会によってCDPとして証明された企業です。 彼らは、協会のCDPの定義(「他のシステムからアクセス可能な、統一された永続的な顧客データベースを構築するパッケージ化されたソフトウェア」)を満たす製品を持つ企業です。CDPが主要製品でない場合でも、CDPがCDPの定義を満たしている限り、CDPとして宣伝する企業が含まれます。 掲載のための支払いは必要ありません。

製品の明確な理解、製品の変更、または会社の事業の変更により、会社がリストから削除されることがあります。会社が削除されると、以前の期間の分析から除外されます。本レポートから削除されたベンダーには、PearlThinks、Umbel(現MVP Index)、Rekenerが含まれています。

雇用データ

このレポートの従業員数は、LinkedInから取得しています。他の情報と比較すると正しい数字であると考えられますが、米国企業であれば正しい可能性が高いもののヨーロッパやアジアの企業では正確さが劣る可能性があります。CDP協会はベンダーにも確認し、修正された数字を提供する機会を提供しています。

CDPを主な事業としていない企業の雇用者数は、CDP市場におけるそれらの企業の位置を誇張しないように、統計分析の中で削減されています。削減された推計値は「CDP雇用者数」と呼ばれ、従業員数は「総雇用者数」と表示されています。 推計値の削減は、これらの企業がCDP製品から得られる収益のシェアのCDP協会の推計値に基づいています。 いくつかの企業は、これらの見積もりのためのガイダンスを提供していますが、他の企業、特に大企業ソフトウェアベンダーはそれらを提供していません。

事業の一部としてCDP市場に参入している大企業が増加するに従って、雇用の変化を測定することはますます困難になっていくでしょう。これらの企業は、CDP事業に関する個別の情報を提供することはほとんどなく、多くの従業員がCDPに限らず複数の製品に携わっています。

資金調達データ

資金調達データはCrunchbaseからのものです。Crunchbaseは公示をもとにしていますが、それは必ずしも完全な投資記録ということではありません。スタートアップ企業やベンチャー企業以外の資金調達についてはCrunchbaseに掲載されていないものが多いです。また、Crunchbaseは米国以外の企業に関する情報を見逃している可能性もあります。

免責事項

本レポートの情報は2020年6月に収集したものです。CDP協会および元のデータ提供者は、本レポートに記載されている情報の正確性について責任を負いません。

ベンダーカテゴリー

このレポートでは、機能に基づいて、CDPベンダーを4つのカテゴリに分類しています。各カテゴリには、前のカテゴリで提供されていた機能が含まれています。各カテゴリ内のベンダー間で大きなばらつきがあります。カテゴリーは以下のとおりです。

  • データ型CDP

データ型CDPでは、各種ソースとなるデータを持つシステムから顧客データを収集し、顧客IDをもとに統合したデータを外部システムが利用可能な形でデータベースに保持します。これは、CDPの定義を満たすために必要な最低限の機能です。また、セグメントを切ったオーディエンスを抽出して外部システムに連携する機能を提供しています。このカテゴリーのシステムは、データ管理とアクセスのために特殊な技術を採用していることが多いです。タグ管理やweb解析システムとして始まったものもあり、サービスとして非常に長く継続しているものもあります。

  • アナリティクス型CDP

アナリティクス型CDPでは、データ型CDPの機能に加えて解析の機能を提供しています。顧客のセグメント機能が提供され、さらに機械学習の機能や予測モデルの提供、収益のアトリビューションやジャーニーマップの機能を提供しているものもあります。また多くの場合、外部システムに自動でデータを連携する機能を提供しています。

  • キャンペーン型

キャンペーン型では、データ型やアナリティクス型のCDPの機能に加えて顧客とのコミュニケーションの機能を提供します。 セグメンテーションとの違いは、セグメント内の異なる個人に対して異なる処理を指定できることです。処理方法は、パーソナライズされたメッセージ、アウトバウンドマーケティングキャンペーン、リアルタイムの相互作用、または製品やコンテンツのレコメンドなどです。多くの場合、チャネル全体で顧客の扱いを調整します。

  • デリバリー型

デリバリー型では、データ型CDPやアナリティクス型CDP、キャンペーン型に加えてメッセージ配信の機能を提供します。メール、webサイト、モバイルアプリ、CRM、広告の配信機能のうち、すべてを提供しているものや一部のみ提供しているものがあります。このカテゴリの製品の多くは、配信システムとしてスタートし、後にCDP機能が追加されています。

売上予測

業界の売上は従業員数から推定しています。従業員1人あたりの売上は、複数のCDPベンダーから提供されたデータと業界平均に基づいています。この数値は、従業員数、会社の種類、地域、および資金調達に基づいて、個々の企業に対して調整して算出しています。。調整後の平均は、従業員あたり年間140,000ドルです。

現在のデータに基づき、CDP協会は2020年の業界収入を13億ドルと予測しており、2019年の10億ドルから増加しています。

半年間の概要

CDP業界は2020年上半期も拡大を続け、ベンダー121社、従業員9,500人、資金調達額23億ドルに達しました。

本レポートでもっとも注目すべき発展は、Microsoft、Adobe、SAS、Oracleなどのエンタープライズのソフトウェアベンダーが加わったことであり、これらのベンダーは現在、市場に真のCDPシステムを導入しています。雇用の計算には、これらの企業でCDP製品に従事する従業員の推定数のみが含まれており、他の企業のビジネスは主にCDPではありません。このレポートにおける、全企業の総雇用者数は485,000人です。

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新規企業数は過去最高を記録しましたが、追加雇用と資金調達は2年ぶりの低水準で、割合ベースでは過去最低となりました。雇用の増加のほぼすべてが新規企業によるものでした。一部の企業の成長が他の企業の雇用の減少とほぼ均衡していたため、既上場企業の純雇用はわずか1%の増加にとどまりました。

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参入企業

このレポートには、CDP協会が把握した企業が追加されます。追加企業には、CDPとして設立された新規事業、CDPとして立ち位置を変えた既存企業、既存の製品ラインナップにCDPの機能を追加した企業が含まれます。

追加された企業のうち、59%が米国を拠点とする企業でした。これは、新規企業の多くが米国外からのものであるという最近の業界の傾向とは逆に、3分の1以上(36%)が2008年以前に設立された企業であり、既存のベンダーがCDP市場に進出したことを示しています。

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キャンペーン型およびデリバリー型のベンダーは、追加ベンダーの72%を占めており、これもまた既存のCDP以外のツールを提供していていた企業が参入していることを示しています。この数字は、市場に参入したエンタープライズソフトウェアベンダーの規模や資金調達状況を反映したものではありませんが、新規参入した企業は平均的に規模が小さく、以前の企業よりも資金調達が少ないという結果になりました。

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CDPの種類

デリバリー型のCDPのシェアは、既存のCDP以外のツールを提供していた企業がCDP機能を追加することで伸びています。そのような企業は現在、企業の25%、CDP雇用の26%を占めています。

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データ型CDPは、他のグループよりも資金調達額が大幅に高く、合併や買収を伴わない売上の成長率も高くなっています。これは、データ統合を専門とするデータ型CDPと他のデータ統合に加えて、アナリティクス型、キャンペーン型、デリバリー型など他の機能を幅広く提供する企業の間で差が広がっていることを示しています。 平均従業員数において大きな差はありませんが、キャンペーン型やデリバリー型CDPを提供するベンダーのCDP事業以外の従業員数を含んでいないためです。

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地域

この半年間、新規ベンダー、従業員、資金調達の半分以上を占めていたのは米国を拠点とする企業でした。米国以外を拠点とする企業の成長が加速する傾向が長期的に見られましたが逆転しました。

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米国ではCDPを提供する企業が増えていますが、企業数としてはCDP企業のうち半分以下のシェアです。ただし、米国企業が従業員数の60%、資金調達金額の91%を占めておりCDP市場の中心といえます。 米国企業の中には他の地域に展開している企業が多くありますが、米国以外の市場で存在感のある企業は少なく、米国でのシェアが依然として高くなっています。 米国を拠点とする大規模なソフトウェアベンダーがCDPを提供しているため、総従業員数の割合はCDP事業に携わる従業員数の割合よりも非常に高くなっています。

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米国と欧州での成長は、キャンペーン型およびデリバリー型ベンダーに集中しており、その多くはCDP機能を追加している大規模な既存企業です。APACベンダーの中では、データ型ベンダーのシェアが引き続き上昇しており、CDPとして製品を新しく開発して参入した新規企業が多く含まれています。

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同じCDPタイプのベンダーでも、地域によって大きな違いがあります。 米国ではデータ型CDPのシェアがもっとも大きく資金調達金額ももっとも大きいですが、APACではデータ型CDPのシェアはもっとも小さく資金調達額ももっとも小さく急成長しているとは言えません。 デリバリー型では逆の傾向が見られ、米国ではシェアが小さく資金調達が小さく、APACではもっともシェアが大きく資金調達学ももっとも大きく急成長しています。 欧州のCDP業界は企業規模が小さく、キャンペーン型ベンダーの従業員数がもっとも多くなっています。

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企業年齢

このレポートでは、2013年~2014年に設立したベンダーがもっとも多く、全体の28%を占めていますが、2016年末は44%だったことから割合としては減っています。 企業年齢を平均してみると、2014年以降に設立した企業が増えている一方で2008年以前に設立した企業も増えているため、大きな変化は見られません。

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実際、2008年以前に設立された企業のシェアは、今回のレポートでは26%に達し、過去最高となりました。2013-2014年のグループに属する企業のCDP雇用率(43%)と資金調達率(55%)は依然としてもっとも高いです。

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ベンダーは各グループでそれぞれ異なる特徴を持っています。

  • 2008年以前に設立された企業は、元々何か別の事業を行っており、製品としてCDPを追加したか、CDPに特化した事業にシフトしています。このグループでは、メール配信機能を持っていたり、マーケティングスイートといった形で提供している製品を含むデリバリー型CDPの集中度が非常に高いです(グループ全体の45%、デリバリー型CDP全体の47%)。このグループの業界シェアが近年増加しているのは、このような企業でのCDP製品の追加を反映しています。このグループに属する企業の多くは大企業ですが、これはCDPの従業員数に基づく報告には反映されていません。同様に、これらの企業の多くは、データに反映されていない資金提供を受けています。
  • 2008年~2012年に設立された企業には第1世代のCDPが含まれており、その多くは分析機能やキャンペーン機能をサポートするために統一された顧客データベースを構築する機能を提供しています。このグループのデータ型CDPは、平均の従業員数や資金調達額が非常に大きいですが、これはSegment社による影響が大きく、他の小規模の2社と平均化した数字となっているためです。
  • 2013年~2014年に設立された企業には第2世代のCDPが含まれており、特にデータ型CDPが集中しています(グループ全体の19%、データCDP全体の47%)。これらの企業の多くはもともと顧客データの統合を行うための機能を持つシステムを提供していました。キャンペーン型CDPやアナリティクス型CDPは、他の設立年が古い企業では比率が小さいですが、このグループでは一般的なタイプとなっています。
  • 2015年以降に設立された企業は、一般的にCDPとして目的を持って構築されているか、メインの機能の一部としてCDPの機能を提供する形で構築されている製品を提供しています。このグループにはアナリティクス型CDPの割合が高く(グループ全体の32%、アナリティクスCDP全体の25%)、これは最新のAIベースの技術を使用していることを反映しています。これらは最新のベンダーとして、もっとも規模が小さく、資金調達がもっとも少ないベンダーでもあります。

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地域別のデータを見ると、米国を拠点とするCDPは欧州のCDPに比べてやや高齢であるのに対し、APACのCDPは非常に若くなっています。2008~2012 年に設立された企業が米国産業の中核を形成しています。これら20 社が米国のベンダーの 35%を占めるにすぎませんが、雇用の56%、資金調達の60%を占めています。

他の地域では2008年から2012年までのグループはあまり目立っておらず、EMEA企業の23%、APAC企業の18%しか占めておらず、資金調達のシェアもほぼ同程度です。APACのCDPの29%が2015年以降に設立されましたが、それらの企業は非常に小規模であり、雇用の11%を占めるに過ぎず、資金調達の報告もありませんでした。 APACでは企業年齢が高いグループのシェアが大きく、2008年以前に設立された企業が企業の18%を占めていますが、雇用の38%、資金調達の78%を占めています。これらは、既存の製品ラインにCDP機能を追加した大規模で確立された企業です。

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雇用

合併や買収を伴わない人員の増加率は、少なくとも1つ前のレポートに記載されているベンダーの成長率と定義されていますが、過去数期は鈍化しており、2020年前半はほぼ横ばいでした。

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以前のレポートで追加された企業の方が、それ以降に追加された企業よりも高い合併や買収を伴わない従業員数の成長率を示していますが、この半年間では同程度の成長率でした。 2008年以降に設立された企業はいずれもほぼ同程度の成長率を示していますが、2008年以前に設立された企業はいずれのレポートにおいてもほとんど成長を示していません。古い企業と後から加わった企業の成長が遅いことは、CDPが企業全体に占める割合が小さすぎて重要な影響を示すことができないためか、CDP産業に進出しても彼らのビジネスは大きくは伸びなかったことを示唆しています。

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既存事業の従業員数の増加率は、データ型CDPと米国ベースのCDPの間で一貫して高くなっており、これらのグループが業界の中核に位置していることを反映しています。

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資金調達

資金調達額は期間中に1億8,400万ドル増加しましたが、この中には新規の資金調達5,700万ドルと、本レポートで追加した企業が以前に調達した1億2,700万ドルが含まれています。 この合計は、過去2期と比較して大幅に減少しています。これらの数字は、前回レポートに含まれていたActionIQが2020年1月に調達した3,200万ドルと、Zeotapが2020年7月15日に調達した4,200万ドルを除いたものです。

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買収

この半年間の買収は、SalesforceによるEvergageの買収のみでした。SalesforceはEvergageをCDPではなくリアルタイムパーソナライゼーションツールと位置付けています。マーケティングデータ&ソリューション企業のVericastは、2019年に配信CDP QuickPivotを買収したことを明らかにしました。

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CDPベンダーによる目立った買収はなく、廃業もありませんでした。

企業集中

CDP業界では、従業員数の多い大手ベンダー数社と、従業員数が少ない小規模ベンダーが多く存在する形となっており、典型的な「ロングテール」の分布を示しています。

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CDP事業における雇用者数でみると、上位5社のベンダーが企業の4%、CDP雇用者数の21%、資金調達額の27%を占めています。このグループは他の業界よりも大幅に速いペースで成長しています。推定CDP雇用者数は期間中に9%増加したのに対し、他のすべての業界では1%減少しています。

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CDP事業における雇用者数のランキングでは、上位25%のベンダーがCDP雇用者数の60%、資金調達の69%を占めています。この期間のCDP雇用者数の増加率は上位25%で6%であり、その他のグループではマイナスでした。 全期間において、上位25%の企業は平均11%の合併や買収を伴わない従業員増加率だったのに対して、その他の企業は1%でした。従業員の増加率は従業員数が少ないグループがもっとも低い結果となっています。

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グループ平均は、企業規模、成長率、資金調達の間に明確な関係を示していますが、企業レベルでの相関関係は限定的です。

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成長と従業員一人あたりの資金調達の間には相関関係がさらに少なくなっています。 多額の資金調達だけでは小規模企業の成長は早まらないことを示唆しています。

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付録 - ベンダーサマリー

※本付録はCDP協会に登録されているCDPベンダーの一覧です。

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CDP協会について

CDP協会は、統一された永続的な顧客データベースを作成するための問題点、方法、技術に関する中立的な情報を提供しています。活動内容には、教材の出版、業界名簿、業界開発に関するニュース、ベストプラクティスガイド、トレーニングワークショップなどがあります。詳細については、www.cdpinstitute.orgをご覧ください。

※本記事の内容は米国CDP協会(CDP Institute)の許諾の元、日本語訳で転載しています。 CDP Institute、「Customer Data Platform Industry Update July 2020」

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