2024.08.14

GA4のAPIに関する割り当て制限と4つの対応策|GA4のデータを活用しより深い分析を行うためには

GA4のAPIに関する割り当て制限と4つの対応策|GA4のデータを活用しより深い分析を行うためには

webサイトやアプリなどのユーザー行動を追跡・分析するために、GA4(Google Analytics 4)を利用しているマーケティング担当者は多いと思います。GA4のデータをLooker Studioを筆頭としたほかのBIツールやアプリケーションと連携する手段の1つに、Google Analytics Data APIがあります。しかし、Google Analytics Data APIにはリクエストに関する割り当て制限があり、制限を超えた場合は関連するエラーが表示されリクエストが失敗します。

本記事では、Google Analytics Data APIの概要や割り当て制限の詳細、対応策について紹介します。

なお、弊社EVERRISEでは、GA4のデータの高速抽出・スムーズなAWS連携を可能とするツールとして「JetJunction」を提供しています。JetJunctionを利用することで、APIの割り当て制限を気にすることなく、ユーザー単位ですべてのRAWデータを最短1分間隔で取得できます。詳細は、下記の無料資料をご覧ください。

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すでにGoogle Analytics Data APIにおける割り当て制限の概要について理解している方は、こちらをクリックしてください。具体的な対応策を紹介している部分までスキップできます。

Google Analytics Data APIとは

Google Analytics Data APIとは、GA4のデータを各種BIツールに呼び出す機能です。

各種BIツールからリクエストを送信すると、Google Analytics Data APIが内容に応じたデータをGA4から抽出するので、BIツール上でレポートが作成できるようになります。また、Google Analytics Data APIとGoogle Cloudが提供しているツールであるLooker Studioを連携することで、カスタマイズしたレポートやダッシュボードの構築が可能です。さらに、Looker StudioでGA4とGoogle Search Consoleを連携することで、両者のデータを組み合わせてLooker Studio上で可視化できるようになります。

データを可視化することで、チーム内やほかの事業部ともデータを共有しやすくなり、現状を把握しやすくなる、迅速な意思決定に繋がる、などのメリットを期待できます。

GA4のAPIに関する割り当て制限とは

GA4のAPIに関する割り当て制限

APIの使用量を制限しシステムの過負荷を防ぐ目的で、リクエストの量・回数に割り当てが設けられていて、これをGoogle Analytics Data APIの割り当て制限と呼びます。割り当ては「トークン」という単位で管理されています。

Google Analytics Data APIにはリクエストのカテゴリーがあり、目的別に以下の3種類に分けられています。

  • リアルタイム:GA4で計測されたリアルタイムデータの取得に必要なトークン
  • ファネル:ファネル探索のデータ取得に必要なトークン
  • コア:上記以外のデータ取得に必要なトークン

リクエストが実行されたタイミングで該当カテゴリーの割り当てが足りていれば、トークンを消費してリクエストが実行され、GA4のデータが共有されます。

GA4のAPIに関する割り当て制限超えた場合のエラー

GA4から抽出するデータ量が増えたり短時間でのリクエスト回数が多くなると、リクエスト実行のために必要なトークン数が増えて、割り当ての上限に達してしまうことがあります。割り当てを超えたリクエストを行うと、エラーが表示されデータを取得できず、最新のレポートを作成できません。

なお、1度のリクエストで必要なトークン数は、抽出するデータの行数や列数、フィルタ条件などによって異なるため、実行するたびに変動します。Google Analyticsの公式サイトで記載されているとおり、1度のリクエストで消費されるトークンの目安は10個程度です。

トークンは、完了までの複雑さに応じて、リクエストごとに計算されます。ほとんどのリクエストで課金されるトークンは 10 個以下です。

引用:Google Analytics「割り当てカテゴリ」

APIを利用して扱えるGA4のデータも限定的

Google Analytics Data APIを使ってGA4のデータを扱う際に、制限に関する問題だけでなく、扱えるデータが限定的であるという問題に直面する可能性もあります。

そもそも、Google Analytics Data APIを使って抽出できるデータは、全ユーザーの行動を合計、あるいは平均した形の分析用に加工されたものであるため、GA4にて収集しているデータ以外と統合して利用できず、データ分析の幅が限られます。加えて、ユーザー単位でのデータ分析ができないため、一人ひとりのユーザーの行動パターンを把握しにくいという問題もあります。

ga4 developmental use

事業フェーズが進むにつれ、さらなる事業拡大のためにより詳細な分析が必要となるケースは少なくないため、既存のGoogle Analytics Data APIを使い続けるか、加工前の生のデータであるRAWデータを扱う方法を取るかを検討する必要があります。

関連:GA4におけるAPIとBigQueryの問題。CDPならGA4のデータを最大限活用できるのか?

GA4のAPIにおける割り当て制限への対応策

Google Analytics Data APIの割り当て制限に対する対応策として、主に下記の4つの方法が挙げられます。

  1. Googleアナリティクス360の利用
  2. 既存の Looker Studioレポートの再構築
  3. BigQueryを利用
  4. JetJunctionを利用

1・2がGoogle Analytics Data APIをそのまま使い続けることを前提とした方法であり、3・4がGA4のRAWデータを扱う方法です。

1.Googleアナリティクス360の利用

Googleアナリティクス360とは、アップグレードされた有料のGA4という位置づけのツールです。無料版のGA4である標準プロパティよりも幅広い機能が使えるようになり、かつデータの収集量や保持期間が増えます。

また、Googleアナリティクス360は標準プロパティよりもトークンの割り当て数が多いため、APIの割り当て制限の問題を解決できる可能性があります。

標準プロパティとGoogleアナリティクス360プロパティのトークンの割り当てについて、主な上限数をまとめた表が下記のとおりです。

割り当て名 標準プロパティの上限 アナリティクス360プロパティの上限
1プロパティの1日あたりのコアトークン 200,000 2,000,000
1プロパティ・1時間あたりのコアトークン 40,000 400,000
1プロジェクト・1プロパティ・1時間あたりのコアトークン 14,000 140,000
1プロパティあたりのコアトークンの同時リクエスト数 10 50
1プロパティの1日あたりのリアルタイムトークン 200,000 2,000,000
1プロパティ・1時間あたりのリアルタイムトークン 40,000 400,000
1プロジェクト・1プロパティ・1時間あたりのリアルタイムトークン 14,000 140,000
1プロパティあたりのリアルタイムのトークン同時リクエスト数 10 50
1プロパティの1日あたりのファネルトークン 200,000 2,000,000
1プロパティ・1時間あたりのファネルトークン 40,000 400,000
1プロジェクト・1プロパティ・1時間あたりのファネルトークン 14,000 140,000
1プロパティあたりのファネルトークンの同時リクエスト数 10 50

参照:Google Analytics「割り当てカテゴリ」

標準プロパティと比較して、アナリティクス360はトークンの割り当て数が最大10倍まで増えます。

ただし、Googleアナリティクス360は扱うデータ量が非常に多い大企業向けのツールであり、膨大なコストがかかる可能性があります。コスト面で大きな負担となるため、Google Analytics Data APIの割り当て制限に関する問題解決のためだけに利用するのは現実的ではありません。

2.既存のLooker Studioレポートの再構築

Looker Studioを利用していて、かつGoogle Analytics Data APIを使って今後もレポートを作成する予定の場合は、レポートの構築を下記のように修正することで、トークンの消費を抑えることに繋がり、割り当て制限の問題を解決できる可能性があります。

  • 行数や列数を少なくする
  • フィルターを簡単なものにする
  • 期間を短くする

ただし、データ量が多い場合は、レポートの構築を見直しても対応しきれないことが少なくないため、根本的な解決にならないケースも多いです。

また、「APIを利用して扱えるGA4のデータも限定的」の段落でも紹介したとおり、この方法で扱えるデータは限られており、ユーザー単位でのデータ分析ができないという問題もあります。

3.BigQueryを利用

Google Analytics Data APIを使わずにGA4のデータをLooker StudioなどのBIツールに連携する方法があり、その1つにBigQueryを利用した方法があります。

BigQueryとは、Google Cloudが提供するクラウドDWHです。BigQueryのストリーミング エクスポートを使った方法であれば、当日の最新データをニアリアルタイムで抽出可能です。

そもそも、Google Analytics Data APIの割り当て制限は、GA4をデータソースにした場合に発生します。したがって、BigQueryから加工されていないRAWデータをそのままエクスポートすることで、割り当て制限の問題をクリアしつつLooker StudioなどのBIツールに連携できます。

また、RAWデータを活用しGA4のデータと他のツールのデータを連携すれば、より深い分析が可能です。GA4上で各ユーザーを識別するためのIDを設定・取得し、自社アプリなどで取得したwebデータと連携することで、デバイスやブラウザが変わっても同一ユーザーとして識別できるようになります。その結果、一人ひとりの行動を追跡できるようになり、ユーザーの行動パターンを把握しやすくなります。

なお、GA4上で識別するためのIDを付ける際、氏名やメールアドレスといった個人を特定できるデータや特定のデバイスを恒久的に識別できるデータなどは、Google Analyticsのポリシー違反となるため注意が必要です。詳細はGoogle アナリティクス 4 SDK と User-ID の機能に関するポリシーをご確認ください。

BigQueryを利用する際は各種処理の実行にコストがかかり、課金体系が分かりにくいためコスト管理が難しいという問題もありますが、Googleアナリティクス360のような膨大なコストが発生するケースはほとんどありません。

しかし、RAWデータを利用するためには、JSONデータを解析して必要な形に加工したり、扱いやすい形にデータを定義・加工する前処理が必要です。そのため、BigQueryを利用する方法はマーケターだけでは対応が難しく、専門知識をもった人材が必要であり、工数もある程度かかる点が課題として残ります。

関連:GA4とBigQueryの連携で実現できること|RAWデータ活用でコスト削減する方法

4.JetJunctionを利用

弊社EVERRISEが提供している「JetJunction」を利用すれば、BigQueryを使った方法の課題を解決できる可能性があります。JetJunctionとは、GA4のRAWデータを簡単に抽出・集計できるツールです。そのため、Google Analytics Data APIの制限の問題を解決できるうえに、ユーザー単位ですべてのRAWデータを最短1分間隔で取得できます。

JetJunctionを使った場合、管理画面上でRAWデータの列の項目の種類や順番を自由にカスタマイズして構築可能です。そのため、RAWデータ活用に伴う加工・連携の工数を削減できます。また、セッションに属する情報として集計する加工データを用意しているため、データの前処理も不要です。

ga4 integralcore cooperate

コスト面についても、JetJunctionはPVごとの課金体系であるため管理しやすく、利用前に他の方法と比較したうえで検討できます。さらに、JetJunctionはGA4のデータをAmazon RedshiftやAmazon S3にも出力できるため、BigQueryの管理コストも削減可能です。

より少ない工数で大量データを深く分析したい企業やAWS環境をメインで使っている企業にとって、JetJunctionはベストソリューションになりえます。

JetJunctionの詳しい料金体系や機能については、下記の無料資料をご覧ください。

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GA4のデータを活用しさらなる分析を可能にするCDP

データ分析・活用のステップが進むにつれ、ECサイトでの購買データやスマホアプリのログデータなどのGA4で収集できる以外のwebデータや実店舗の来店履歴といったオフラインデータを連携し、より複雑な分析・施策の実行が必要となるケースもあります。

そのためには、自社のデータを一元管理するデータ基盤が必要となりますが、選択肢の1つとしてCDPの導入が挙げられます。

CDPとは「カスタマー データ プラットフォーム:Customer Data Platform」の略称で、顧客理解を深めることを目的としたマーケティングシステムです。GA4のデータをほかのツールで取得したデータと組み合わせることで、より一人ひとりの顧客像を鮮明に理解することに繋がります。

integralcore integration

関連:CDPとは?顧客データ活用に特化したCDPの機能とメリット、事例などの基礎知識まとめ

また、CDPは顧客により良いアプローチをするために、BIツールやMAツール、プッシュ通知、web接客ツールなどの分析・施策を行うツールと連携できるようになっています。例えば、MAツールと連携すれば、商品を購入したことのある顧客と購入したことのない顧客で異なるクーポンを配信するといった顧客目線に立った施策の実行も可能です。

CDPの主な機能やほかのツールとの違い、各部門でのユースケース・効果などについては、下記の無料資料で紹介しています。

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EVERRISEが提供するCDP「INTEGRAL-CORE」

弊社EVERRISEでは、顧客データをノーコードで管理できるCDP「INTEGRAL-CORE」を提供しており、これまでTVerさまやキーコーヒーさま、hoyuさまなどを含め複数社の導入実績がございます。

CDP「INTEGRAL-CORE」はJetJunctionと連携でき、JetJunctionの加工データなどの機能を使いながら、CDPとしてのデータ収集・統合・加工・連携の機能も扱えるため、より顧客データ活用がしやすいシステムとなっています。

  • CDP「INTEGRAL-CORE」の特長
    • 顧客に関するデータをノーコードで統合
    • 統合データをノーコードで加工・セグメントを作成
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