アドテク

初心者向け!インターネット広告の基礎知識とトレンド(第2回)

by EVERRISE DXブログ編集部

インターネットで気になる単語を検索しても、SNSで日常をつぶやいていても、そのすぐそばにあるもの。それが広告です。
2006年の創業以来、EVERRISEはインターネット広告の配信関連技術(=アドテク)の開発に携わってきました。

「何度も同じ商品の広告が追いかけてくるのはなぜか」
「検索した覚えがないのに、なぜ自分の欲しいものの広告が出てくるのか」

今回の連載では、最近広告運用を始めた方や、広告業界に興味を持っている方向けに、インターネット広告の歴史や基本的な配信の仕組みの概要を弊社の知見をもとに紹介しつつ、上記のような疑問にも答えていきたいと思います。

第1回では、下の図にまとめたネット広告の形式や仕組みについて紹介しながら、ソーシャル広告が普及した2010年代前半までの歴史を辿りました。

第2回となる今回は、2015年ごろから現在までのインターネット広告のトレンドをご紹介していきます。

2015年ごろ:アドテク見直しの年

2015年はRTBなどの普及で巻き起こったアドテクブームが一旦落ち着いた年。アドテクが見直され、「良質なコンテンツを配信するメディアが儲かりづらい」問題への対策が行われ始ました。

これまでのアドテクの仕組みでは、無名の人のブログに表示された広告の「1imp(インプレッション)」と、大手新聞社などによるニュースサイトの「1imp」が同じ価値の「1imp」として扱われていました。さらにRTBでは「1番高い入札をした広告主が、2番目に高い入札額+1円で落札する」という「セカンドプライス方式」が主流でした。たとえば「1000円」「500円」と入札があると、落札額は「501円」になる仕組みです。

またコンテンツの質とは関係なく、PV、CV率を追い求めた運営をするメディアが高い広告収益をあげてしまう一方で、コストをかけて質の良いコンテンツを作っていても、それに見合う広告での利益が上がりづらい仕組みになっていました。(関連記事:東洋経済オンライン「WELQ問題の本質とは何か 「炎上」が暴いたDeNA劣悪メディアの仕掛け」

この状況がアドテク業界でも問題視され、「高い価値を持つメディアには適切な報酬を返すべき」という考えのもとに、「プライベートマーケットプレイス(PMP)」と「ヘッダービディング」という仕組みが作られました。

プライベートマーケットプレイス(PMP)

PMPとは、参加できる広告主とメディアを限定した広告取引の市場です。大手の広告主と、質の良いコンテンツ配信をしているメディア中心の取引になるため、広告主側は質のいい広告枠への配信が、メディア側は高単価での取引が可能になりました。

ヘッダービディング

ヘッダービディングとは、RTBなどオープンなオークションの前にメディア側が自前で開くオークションです。そこではセカンドプライス方式ではなく1番高い入札額での落札がされるため、その広告枠本来の価値に見合った報酬が得られることになります。

2016年:業界健全化の動き

2016年はインターネット広告の業界の健全化が進んだ時期です。発端は、電通による虚偽の運用レポートなどの不適切業務の問題でした。(関連記事:CNET Japan「電通、デジタル広告で総額1億1482万円の不適切取引–調査結果を発表」

最近も、NHKが 「ネット広告の闇」 としてこの業界にまつわる様々な問題を特集しています。

このような問題を受けて、広告主から「本当にうちの広告はちゃんと配信されているのか?」「おかしな場所に配信されていないか?」などの疑問の声があがりました。その対応策として出てきたのが「アドベリフィケーション」のサービスです。

  • ブランドイメージを傷つけるコンテンツの広告枠に配信されていないか(ブランドセーフティ)
  • ボットなどによる不正クリックで広告詐欺(アドフラウド)が行われていないか
  • 実際には誰の目にも触れないような場所に配信されていないか(ビューアビリティ)

アドベリフィケーションはこれらを監視するサービスとして、ここ数年で広まりつつあります。

また、自動で広告運用のレポーティングができるツールを導入する広告代理店も増えました。手作業での広告レポートをやめることで、間違いや改ざんを防ぐことが可能になりました。

2017年〜:業界の発展、細分化

2017年以降、広告配信の仕組みの転換のような大ニュースこそありませんが、業界としては大きく発展してきています。これまでの技術を応用した広告手法のバリエーションが増え、細分化してきているという印象です。

駅などでもよく見かける動画広告やデジタルサイネージ、アマゾンや楽天などのECサイト内の広告、位置情報を活用した広告配信も広まりつつあります。

今後も時代に合わせて、新たな広告手法が出てくると考えられます。自動運転で手持ち無沙汰になる運転者に見せるための広告や、VR/AR内の広告も可能性は大きいです。すでに実施されていますが、広告を見ることでサービス提供が受けられるリワード広告もさらに普及するでしょう。

ではなぜ、この数年の間でアドテク業界はここまで発展・細分化が進んでいるのでしょうか?

市場の拡大

その背景としては、「市場の拡大」「スマホの普及」「データの増加」が考えられます。

まずは、2007年以降の広告費の伸びを示したグラフをご覧ください。順調に成長し、2014年からは1兆円市場となっています。


※電通「日本の広告費」より作成

スマホの普及

市場の拡大に影響しているのがスマホの普及です。1人1台のデバイス所持、パケット定額制の普及などにより、個人がいつでもどこでも自由にインターネットに接続できるようになった環境の変化が大きく影響していると考えられます。これにより、一人一人に最適な広告を表示することが重要になり、かつ表示できる場面が増えたことで、インターネット広告の需要が増していきました。

2018年には1兆7000億円規模まで市場が拡大。インターネット広告市場は、そのうち1%でもとれば100〜200億円の市場になるほどの巨大なものに成長しました。その結果、この数年での多様なプレーヤーの参入、ニッチな手法・技術の発展、細分化が起こっていると考えられます。


※電通「日本の広告費」より作成

ちなみに、上記の電通による調査では、「うちマス四媒体由来のデジタル広告費」の項目が2018年から新たに増えています。マス媒体が運営するサイト上の広告に使われていた費用は、これまでマス媒体のカテゴリーで集計されていました(ex.ラジオ放送事業者が運営するアプリ上の広告については、ラジオ広告費に集計)。このような広告費を、デジタル上のものはデジタル広告費として仕分け始めたのです。

EVERRISE ではインターネット広告の出稿先がどこなのか、自社で保有するデータから調査を行いました。調査では「運用型広告費のうち50%は Google への出稿」との結果が出ています。
(詳しくはプレスリリース「【調査・データ】インターネット運用型広告の出稿先、50%がGoogle 年間400億円分」をご覧ください)

※上記調査は EVERRISE で開発しているマーケティングETLツール「HARBEST(ハーベスト)」で収集した運用データから集計したものです。

データ量の増加

アドテク業界発展の背景としては、「とれる情報(データ)が多くなった」ことも挙げられます。

デジタル上での行動が増え、端末も普及するに従い、データは爆発的に増えています。さらに技術の進展で、今までは捨てていたような情報も全て拾ってシグナルとして扱えるようにまりました。アドテク業界では月に3ペタバイト、4ペタバイト発生するログをリアルタイムに扱っています。まさに「ビッグデータ」です。

また、ターゲティングのためのAI技術が発展したことも影響しています。「アルファ碁」などで有名になった機械学習で、簡単に最適解が見つけられるようになりました。「こういうシグナルが発生した人は、こういうものを買うだろう」と容易に推定できるようになったのです。

「検索していないのに自分の欲しいものの広告が出る」のは、これらの技術の結果と考えられます。

今回は、2010年代後半のアドテク業界の動き、市場の拡大について、アドテクベンダーとして得てきた知見をもとに振り返りました。

最終回はプライバシーの問題など、インターネット広告にまつわる課題について考えていきます。

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この記事を書いた人:EVERRISE DXブログ編集部

「攻めのDX」をサポートする株式会社EVERRISEのブログです。