本記事では、広告配信システムに携わる人がまず最初に耳にする「OpenRTB」について紹介します。
今はもう知ってて当たり前の単語なので、今さら書くことでもないかと思いますが、新卒の方や新しくアドテク業界に参戦した方々が理解しやすいように短くまとめて書いたつもりです。
RTBとは
OpenRTB を解説する前に「RTB」についても軽く説明したいと思います。
RTB とは、「Real Time Bidding」の略で広告の入札をリアルタイムで取引する方式のことです。事前に枠を抑えておく事前予約制の純広告などとは異なり、ユーザーがサイトに訪問したタイミングで広告の選定を行います。
純広告の例
RTBの例
OpenRTBとは
OpenRTB とは、簡単に言うと RTB を行う際のルールです。
各社さまざまな独自のデータを用いて広告の配信を行っている中で何のデータをやり取りするのか、またどういう形でやり取りを行うのか、といったことを標準的に定めているのが OpenRTB です。
例えば、ある媒体ページにユーザーが訪れたとき、広告主に広告要求リクエストが飛ぶとします。このとき媒体側は、サイトの情報(ゲーム、自動車など)や訪れたユーザーの情報(ID、訪問履歴など)を広告主側に渡します。これらの情報がただ羅列されているだけでは、広告主側は何が何のデータなのかわかりませんよね。
そこで OpenRTB という標準ルールに則り、サイトの情報はサイトの情報として、ユーザーの情報はユーザーの情報として1つにまとめて送ります。こうすることであらかじめ決められた位置の情報にアクセスすることでほしい情報のやり取りを行うことができるようになっています。
また OpenRTB ではさまざまな区分も決めています。例えば、サイトの種類です。
- IAB1 アート & エンターテイメント
- IAB2 自動車
- IAB3 ビジネス
など、サイトの種類を大きく分けたときの区分は26種類あります。
自動車に関連するサイトが広告主に広告要求を行う際には、サイト情報のカテゴリーに「IAB2」という値を入れて渡します。
BID 情報例
"site": {
"id": "102855",
"cat": [ "IAB2" ],
"domain": "www.foobar.com",
"page": "http://www.foobar.com/1234.html ",
"publisher": {
"id": "8953", "name": "foobar.com",
"cat": [ "IAB3-1" ],
"domain": "foobar.com"
}
}
参考:http://www.iab.com/wp-content/uploads/2016/01/OpenRTB-API-Specification-Version-2-4-DRAFT.pdf
こうすることで、広告主側ではサイトカテゴリーの中に入っている情報は「IAB2」だから自動車のサイトからリクエストが来たんだなということがわかり、サイトに適した広告を選ぶことができます。
こういった区分が取り決められていることで自分たちで独自の定義をしなくてもよくなり、多くの広告配信システムがやり取りを簡単に行えるようになっています。
またルールと言いましたが、すべての情報を定義しているわけではなく、あくまでも標準的な取り決めなので、各社独自の定義を行うことで不足している情報のやり取りを行うこともできます。例えば、区分をもっと細かくしたいなど、各社が必要とする情報はさまざまなので、媒体側と広告主側の双方で合意が取れれば独自のルールを用いることも可能です。
何が取り決められているかは OpenRTB の定義書がIABのガイドライン(http://www.iab.com/guidelines/real-time-bidding-rtb-project/)にあり、1年に 1,2回 更新されるのでたまにチェックしてみてください。
次の OpenRTB 2.5 について
現在の OpenRTB 定義書の最新バージョンは2016年03月にリリースされた 2.4 です。2.4 では主に、位置情報や動画に関するサポートが追加されました。
では、次の 2.5 では何が追加されるのでしょうか。
先日、Google のフォーラム記事内でその話題に関する議論がされていました。 (~~https://groups.google.com/forum/#!topic/openrtb-dev/X8mm2yyTa90~~) ※現在は削除されてしまったようです
そこで取り上げられていたのはヘッダー入札に関することで、既存のまとまりの中にヘッダー入札か否かのフラグを取り入れるか、それともヘッダー情報はヘッダー情報で1つにしてしまおうかなどといった議論がされていました。
現在さまざまな配信システムで取り扱われているヘッダー入札は、次の OpenRTB2.5 がリリースされるときには当たり前になっているんでしょうね。またヘッダー入札とは関係ありませんが、カーナビやデジタルサイネージなど人と一緒に動く媒体へのアプローチがもっと賑わっていかないかなと個人的には期待してます。
まとめ
OpenRTBとはつまり、「どのような情報をどういう形でやり取りするのか」といったことを定義しているものです。
広告配信ってどのような情報をやり取りしてんの?と思ったら OpenRTB の定義書を読めばある程度のことは書かれているので一度読んでみてはいかがでしょうか。