2015.03.19

広告配信サーバを独自制作した方が良い理由

広告配信サーバを独自制作した方が良い理由

先日、広告配信サーバについて、造詣が深いエントリーが公開されました。

「Contents Delivery Managementという考え方 - 最速配信研究会(@yamaz) 」

書き手は、スケールアウトの山崎さん(@yamaz)で、この業界の技術者ではもっとも尊敬できる技術者の1人です。

広告配信サーバを最初から作る場合に必要な考え方なので、関係する人は少ないでしょうが、とても良い考え方です。

大事なところを、抜粋させていただきます。

その瞬間の状況に応じた最適なコンテンツ(=MLで記述された小さなテキスト片)を超柔軟かつ超高速に選択し、配信し、集計できる仕組みこそが広告配信システムの本質

(省略)

さて「その瞬間の状況に応じた最適なコンテンツ」とはいったい何だろう?

  1. 手元にあるコンテンツのうちで
  2. その瞬間に出してOKなもののうち
  3. その瞬間において一番優先度が高いもの

がその答えになる。

凄い!これを、9年前に思いついて、実際にそのような実装を実現できたのが凄いです。そして、今後もこの配信サーバの「基本概念」は変わらないでしょう。

とはいえ進化している広告配信サーバ

広告配信サーバ自体は、9年前どころか、20年以上前の1990年代前半からありました。明確に、広告用の配信サーバとして認知されはじめたのは、1990年代後半の頃でしょうか?私が見たことのある一番古い配信サーバのプログラムソースは、90年代前半のものだったと思います。

その頃から見れば、比べ物にならないほど進化した配信サーバですが、さて何が進化したのでしょうか?

1.応答速度の進化

まず、応答速度が格段に進化しました。

物理的なネットワーク速度、サーバの速度アップに伴い、早くなったこともありますが、プログラミング手法もどんどん進化しており、「いかに早く応答するか」は、かなり突き詰められてきてます。

2.配信可能なコンテンツの進化

一昔前に配信可能だったものは、静止画(バナー)や、テキスト広告のみでした。それが最近では、動画やリッチコンテンツ(FlashやHTML5での素材)を、広告として配信することが可能になりました。 リッチなコンテンツとは「容量の大きいファイル」の事ですが、それら「重いコンテンツをいかに早く見せるか」の技術進化だとも言えます。

3.優先順位付けの進化

上記した「応答速度」や「配信可能コンテンツ」の進化は相当なものですが、「優先順位づけ」が一番進化した技術です。

山崎さんのブログにもありますが、

  1. 手元にあるコンテンツのうちで
  2. その瞬間に出してOKなもののうち
  3. その瞬間において一番優先度が高いもの

「一番優先度が高いもの」という、どう定義することも可能な曖昧なルールであるからこそ、各配信サーバの違いが出ます。配信サーバを有する各企業の「強み、差別化ポイント」と言えます。

この優先順位づけについて、詳細を記載します。

広告配信サーバの基本的な優先順位づけとは?

まずは、以下の画像をご覧ください。

adserver original 01

掲載元:http://adsense-ja.blogspot.jp/2012/02/dfp-faq.html

DFPサーバの、「配信優先度」を端的にあらわした画像です。 スポンサーシップ、標準、ネットワークなど

優先順位階層ごとに名称がついていますが、これは運営者が理解しやすいようにつけられた名称です。

実際の配信サーバ内の仕組みとしては、配信する広告商材(キャンペーン、クリエイティブ)ごとに、「優先順位点数」をつけて、それによって決まります。同じ「標準」階層の広告商材でも、優先順位点数が高いものが優先的に選ばれます。

同階層内での点数づけルールはさまざまありますが、主に「収益最大化」されるように動きます。「宣伝を開始した直後の優先配信」や「宣伝期間の終了間際の優先配信」などを合わせて考慮しつつ、複雑な点数づけがされています。各配信サーバごとに細かい点は異なりますが、大枠は上記した優先順位づけになっています。

基本ルールが分かったところで、各配信サーバの差別化ポイントを記載します。

各配信サーバのルール(差別化ポイント)

媒体が専用で作っている広告配信サーバや、メディアレップ・インターネット代理店が間に入って広告配信をする場合には、特別なルールが付加される場合が多いです。

1.検索連動型広告

検索したキーワードにマッチした広告が表示されますが、その際に、広告単価の高い広告が一番上に出るという単純なルールではありません。「検索結果に表示されるべきコンテンツ」とのマッチ度合も考慮されて、表示の順位が決まります。詳細は不明ですが「広告であっても、利用者に役に立つものを表示する」というのを第一義に置いていると思われます。

2.Facebook広告

収益性最適化よりも、CTR最適化が行われているようです。

Facebookのスタンスは「利用するユーザーに役立つコンテンツを出す」と言う事です。「良くclickされる(見られる)コンテンツ=役に立つコンテンツ」ということで、CTRが重要視されているようです。 上記した検索連動型広告と最適化の手法は異なりますが、考え方は近いですね。

3.アプリインストール数最大化配信

1つ1つの広告の収益性よりも、配信プラットフォーム全体でのアプリインストール数の最大化を目指す配信も可能です(要するにコンバージョン数最大化)。「良いアプリが、よりインストールされやすい」ルールなので、やはり1と2の考え方に近いです。

4.売上最大化、収益の均等分配

収益性が低くても、売上を最大化するための配信ルールを適用させることもできます。また、媒体側へ支払う収益をまんべんなく利益が出るように調整して配信させることもできます。かなり特殊な配信最適化例ですが、そういったニーズもあります。

収益を最大化するということ以外に、その媒体、メディアレップ、代理店によって「実現したいこと」を、配信サーバに思いとして付加することができます。

広告配信サーバを独自制作する理由は、サービスやアプリ、メディアの価値をさらに向上させるため!

単純に自分の媒体の一部を広告枠として提供するのであれば、既存の広告配信サービスを利用すれば良いです。ただし、昨今ブランドセーフティーやアドフラウドが話題となっています。

自社で運営しているサービス、アプリ、メディアなどの特徴を活かし、広告配信にもこだわるべきだと私たちは考えています。そうすることでユーザーに煙たがれがちな広告も受け入れられやすくなり、広告枠の価値も高くなります。

多くのサービスのマネタイズの大部分をしめる広告配信を自社で担うことで、自由で価値のある広告メニューを持つことができます。

弊社では、そういった、こだわりある広告配信サーバの構築を、お手伝いしております。ご要望いただければ、最適な配信サーバを構築させていただきます。

アドサーバーのソースコードライセンス販売をはじめました

弊社では、これまで多くのお客さまのアドサーバーを作らせていただきました。そのノウハウを活かし、アドサーバーのソースコードライセンス販売を開始しました。

基本的なアドサーバーの機能は標準で備わっています。ご購入後のカスタマイズ、追加開発は自由にしていただけるため、既存のサービスへの組み込みももちろん可能です。弊社へのカスタマイズのご依頼も承っております。

アドサーバーの導入をお考えのお客さまはぜひ一度ご相談ください。

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