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顧客データと機器データを統合し、顧客理解の深化を支える基盤を構築|CDP構築支援事例

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CDP開発・構築

プロジェクト概要

リンナイ株式会社(以下リンナイ)は、ブランドプロミスに「Creating a healthier way of living(リンナイは、健全で心地よい暮らし方を創造します)」を掲げ、世界各国の生活文化、気候条件、エネルギー事情に適した熱機器を提供しています。

リンナイでは、自社の会員サイト(Rinnai Style)を通じて、消費者とつながって商品を販売する体制づくりに取り組んでいます。変化する市場背景に対応し、お客様に継続してリンナイ製品を選んでいただく関係性を築くため、顧客や製品に関するさまざまな情報を集約し、活用していく仕組みが必要でした。

EVERRISEは、その取り組みの中核を担う、顧客データ統合管理システム(CDP)の構築を支援しました。

今回は、この取り組みの一翼を担うEビジネス推進室の亀島直人さまに、課題背景や開発支援の評価を伺いました。

課題背景

―― 顧客データを活用していくうえで、当時どのような課題があったのでしょうか。

亀島さん
大きく3つの課題がありました。

1つ目は、お客様の個人情報が各部署のシステムに点在していたことです。顧客情報そのものは各部署で収集・管理されていましたが、それぞれが個別のシステムで保有している状態でした。

2つ目は、データが点在しているがゆえに、同一人物の情報を紐づけるための名寄せのKeyがなかったことです。お客様に関する情報が複数の部署に存在していても、それらを同じお客様の情報として束ねることができなければ、横断的な活用は難しくなります。

3つ目は、収集した個人情報を販促活動に利用するための同意が取得できていなかったことです。顧客データを活用していくためには、情報を集約するだけではなく、販促活動に使える状態に整える必要がありました。

また、CDPのような部門を横断するシステムを構築するには、専門的な知見を持つ人材が必要です。各部署にSEはいるものの、それぞれが本来の業務を抱えており、部門横断のプロジェクトに十分なリソースを割くことは困難でした。そのため、外部の専門家の力を借りて構築することは、当初から決めていました。

―― 顧客データの統合は、以前から必要性を感じられていたテーマだったのでしょうか。

亀島さん
以前から取り組むべきテーマとして認識していました。ただ、部門をまたいで情報を束ねるには、システム面だけでなく、各部署の理解や協力も必要になります。そうした中で、お客様とつながっていく仕組みが必要だという話になり、CDPの構築に取り組むことになりました。

解決したい課題

―― 今回のプロジェクトでは、単にデータを一か所に集めるだけではなく、今後の活用を見据えた基盤づくりが重要だったかと思います。

亀島さん
そうですね。各部署に点在していた情報を束ねることで、お客様がどの機器をお持ちなのか、どのような利用状況なのか、過去に修理したことがあるのか、いつ設置されたのかといった情報を把握できるようになります。そうした顧客理解をもとに、Rinnai Styleを通じたサポートやコミュニケーションの質を高めていくことが、 今回解決したい大きな課題でした。

一方で、顧客情報を統合する上では、名寄せの精度も重要な論点でした。電話番号や住所があれば簡単に名寄せできると考えられがちですが、実際にはそう単純ではありません。誤った名寄せをしてしまうと、マーケティング施策においてお客様にご迷惑をおかけする可能性もあります。

そのため、やみくもに名寄せを行うのではなく、Rinnai Style IDを軸に、正確に統合できる状態をつくっていくことを重視しました。各システムでRinnai Style IDを付与していくことで、顧客情報をより確実につなげられるようにする。その考え方が、今回のCDP構築における重要なポイントでした。

施策・支援内容

―― CDP構築プロジェクトを進めるにあたり、特有の難しさや面白さなどはありましたか。

大坂(EVERRISE)
今回のプロジェクトの大きな特徴は、お客様のデータだけでなく、製品である「機器のデータ」もあわせて統合する点でした。

一般的なCDPでは顧客データを中心に扱うことが多いですが、今回は顧客IDと機器IDの両方を統合・管理する必要がありました。顧客情報と機器情報を組み合わせることで、どのお客様がどの機器を利用しているのかを把握し、Rinnai Styleを通じたサポートや顧客コミュニケーションの高度化につなげていくことができます。

提案段階では、弊社のCDP製品である「INTEGRAL-CORE」を使用する案と、Google Cloudを用いてスクラッチ開発する案の2つの選択肢がありました。ただ、今回の要件では、顧客データだけでなく機器データも統合する必要があったため、より柔軟に対応できるGoogle Cloudでのスクラッチ開発をご提案しました。

―― 自社プロダクトありきではなく、今回の要件に合わせて構成を検討したということですね。

大坂(EVERRISE)
はい。INTEGRAL-COREで対応する方法も選択肢としてはありましたが、今回の要件に対しては、Google Cloudを用いたスクラッチ開発の方が適していると判断しました。

また、将来的なマーケティング活用を考えたときに、GA4のRaw Dataの活用やBigQueryとの連携を見据えられる点も重要でした。顧客データとWeb上の行動データを将来的に組み合わせて分析していくことを考えると、Google Cloudをベースにした構成の方が、その後の活用にもつなげやすいと考えました。

開発を進める中では、データの品質定義や名寄せのルール作りが重要でした。信頼性の低い名寄せは、マーケティング施策において顧客満足度を損ねるリスクがあります。そのため、データの状態に応じて、どの条件であれば信頼できるのか、どのレベルのデータは慎重に扱うべきなのかを段階的に定義していきました。

また、機器データについても、機器IDなどの共通指標を用いて、信頼できるデータを統合・管理する仕組みを構築しました。顧客データと機器データをそれぞれ適切に管理し、信頼できるものは活用できる状態にすることが、今回のプロジェクトでは非常に重要でした。

使用技術(例)

ビジネスインテリジェンスデータ統合基盤

成果・導入効果

―― 本プロジェクトによって、どのような成果や効果が得られましたか。

亀島さん
最大の成果は、顧客情報を持つ各部署が「一つのIDでつながるべきだ」という共通認識を持てたことです。

CDPという統合基盤ができたことで、すべての顧客接点においてRinnai Style IDを付与していく方針へと、社内のベクトルが統一されました。CDPがなければ、各システムでRinnai Style IDを付与していくという方向には、なかなか進まなかったと思います。「CDPがあるからこそ、各データを統合できる。だからこそ、各システムでもRinnai Style IDを取得していくべきだ」という理解が、エンジニア以外のメンバーにも伝わるようになりました。これは大きな変化でした。

また、Eビジネス・修理・施工・製品登録を担当する部署が、横断して議論できる体制が整ったことも大きな成果です。これまでは部署ごとにバラバラに動いていたところから、今では4つの部署が同じ方向を向いて議論できるようになりました。データを通じて組織のベクトルが束ねられたことは、本当に大きな成果だと思っています。

―― 単にシステムを構築したというよりも、データを軸に組織横断で同じ方向を向けるようになったことが、大きな成果だったのですね。

亀島さん
そうですね。実際の利活用はまだこれから進めていく部分もありますが、まずは顧客情報を持つ部署が、一つのIDでつながるべきだと考えられるようになったこと。その考え方ができたことが、今後のデータ活用を進める上での大きな土台になったと思います。

EVERRISEを選んだ理由

―― 多くの企業の中から、最終的にEVERRISEを選定いただいた理由を教えてください。

亀島さん
決め手になったのは、自社プロダクトの押し売りに終始せず、我々の要件に真摯に向き合ってくれた誠実さです。

EVERRISEさんにはCDP製品であるINTEGRAL-COREがありますが、今回の要件に対しては、それを前提にするのではなく、Google Cloudでのスクラッチ開発を提案してくれました。顧客データだけでなく機器データも統合する必要があるという要件を踏まえ、より柔軟に対応できる方法を提示してくれた点に、信頼を感じました。

また、Google Cloudでのスクラッチ開発を提案いただいた点からも、要件に合わせて柔軟に設計できる技術的な知見を感じました。自社プロダクトでの実績がある中で、あえて別の基盤を提案するということは、顧客側の要件や将来的な活用まで見据えて構成を検討できるからこそだと思いました。

もう一つ大きかったのは、EVERRISEさんがデジタルマーケティングや広告領域の知見を持っていることです。CDPは、システムを構築して終わりではありません。構築したデータ基盤をマーケティングに活かして初めて、システムとしての価値が出てきます。その点で、EVERRISEさんであれば、構築後のマーケティング活用まで伴走してくれるパートナーだと感じました。システム構築の知見だけでなく、マーケティング活用まで見据えた支援を期待できることが、選定理由の一つでした。

大坂(EVERRISE)
提案時には、INTEGRAL-COREで対応する選択肢もありました。ただ、それがリンナイさまにとって最適な答えにはならないだろうと考え、Google Cloudを中心にした構成へ切り替えてご提案しました。Google Cloudは、サービスの成長に合わせた構成を取りやすいことに加え、EVERRISEとしても広告配信やアドサーバーの文脈で活用してきた知見がありました。そうした経験も踏まえて、今回の要件に合う形をご提案できたと考えています。

今後の展望

―― 今後のデータ活用やビジネス展開における展望についてお聞かせください。

亀島さん
まずは、CDPを活用した顧客ステータスに基づくアプローチを強化していきたいと考えています。

たとえば、顧客へのコミュニケーションにおいて、単に対象者を絞り込むだけではなく、日々更新される顧客の状態を踏まえてコミュニケーションできる仕組みをつくっていきたいです。修理に訪問したばかりのお客様なのか、新しい製品を購入して登録されたお客様なのかといった最新のステータスを見ながら、適切なアプローチを行うことを目指しています。

顧客理解や顧客の状態に基づいたアプローチを行うことで、成約率の向上につながりますし、ブランド価値を損なわないコミュニケーションにもつながると考えています。

また、コールセンターでの活用も進めていきたいです。お客様からお問い合わせをいただいた際に、そのお客様の状況を理解した上で、最適な対応ができるようにしていく。たとえば、最近修理をしたお客様なのか、購入直後のお客様なのか、ご利用機器が製造から10年経年されたお客様なのかを把握した上で対応できれば、サービスレベルの向上にもつながります。

さらに、Rinnai Styleを中心としたWeb上の顧客接点についても、成果をより見える形にしていきたいと考えています。Web上の接点からつながったお客様が、その後どのような行動を取り、どのような価値につながっているのか。LTVなどの数値で可視化することで、マーケティング予算の最適化にもつなげていきたいです。

大坂(EVERRISE)
EVERRISEとしては、今後GA4のデータ活用を進めるほか、IoT機器のデータも取り込むことで、よりリアルタイムなアクションにつなげる支援を行っていきたいと考えています。

顧客データ、機器データ、Web上の行動データを組み合わせることで、オンラインとオフラインの接点をより立体的に捉えられるようになります。今後も、データ活用の幅を広げながら、マーケティング活用や顧客対応の高度化に向けて伴走していきたいと考えています。

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